商業施設を運営するデベロッパー企業は、リーシング、デジタル化、テナント支援、販売促進といった多岐にわたる課題を抱えています。
それらの課題を調査すべく、運営企業のご担当者様154人に「特に重視している・優先的に取り組みたいと考えている課題」についての独自のアンケートを行いました。その結果、154人のうち50人が「リーシング」と回答し、最も多い結果となりました。
今回は、リーシングだけに焦点を当てた独自アンケートをもとに、ご担当者様が抱えている課題を掘り下げていきます。
商業施設運営企業が抱える優先課題についてはこちらをご参考ください。
【商業施設運営企業のご担当者154人に聞いた】アンケートから見えた商業施設の優先課題とは?(リゾーム調べ)
【アンケート概要】
調査期間:2022年8月~2024年2月
調査期間:自社調査
調査対象:商業施設運営企業のご担当者様
調査方法:アンケート調査
有効回答人数:49人
ご担当者様に聞いた「リーシング業務の課題」とは?
商業施設を運営する企業のご担当者様に「リーシング業務における、具体的な課題は何ですか?(複数回答可)」というアンケートを継続的に実施しました。その結果、リーシングの課題として最も多く回答されたのは、「テナントへのアタック業務」と「情報・データ不足」でした。
アタック業務とは、商業施設が新規オープン、リニューアルする際や空き区画が生じた際に、自施設にあったテナントを誘致するための営業活動を指します。今回のアンケート調査では、テナント候補企業へのアタック方法からアタック数不足まで、広く課題を抱えているご担当者様が多いことが分かりました。
また、「情報・データ不足」が課題として多く回答されたことからは、業界の動向、他施設のテナント出退店状況やテナント情報などを参考にリーシングを行いたい、という背景が伺えます。
次いで、リーシングリスト作成、リーシング精度・質、経験不足などが課題として回答されました。ご担当者様からの回答内容は「その他」を含め9つもの内容に分散されたことからも、商業施設におけるリーシング業務の課題は多様化していると考えられます。
ここからは、リーシング業務の課題として多く回答された「テナントへのアタック業務、情報・データ不足、リーシングリスト作成、リーシング精度・質、経験不足、その他」の具体的な内容をご紹介していきます。
※自由回答形式の内容を課題ごとにカテゴライズして集計しております。(複数回答含む)
【課題:テナントへのアタック業務】回答内容
・退店が続く中でのリーシングで、十分にテナントへのアタックが出来ていない。
・地方の有力テナントへのアタック方法が課題。
・時間が不足しており、アタック数が足りていない。新しい企業へのアプローチが出来ていない。
テナントへのアタック業務において浮き彫りとなった課題は、空床発生後の対応では最適なテナント確保に集中できない点 、地方の有力テナントの情報や効果的なアプローチ方法が分からない点、そして時間不足によるアタック数の不足等が挙げられました。
これらを解決するためには、空床発生前の早めの対処、効率的なリーシングリストの作成、大都市だけでなく地方のテナントも含めた広範な情報の入手、そしてアタック数の確保が必要です。
【課題:情報・データ不足】回答内容
・業界全体の情報収集不足。
・どのSCでも同じようなテナントが入っている。リーシングの幅が狭いと感じている。
・経験だけに頼らずデータを活用したリーシングを行いたい。
商業施設のリーシング対象となるテナント企業は全国に数多くあります。その中から自施設にあったテナント企業を見つけ、交渉し誘致を成功させるためには、有益な情報やデータを収集し、リーシングに活用することが必要不可欠なようです。
【課題:リーシングリスト作成】回答内容
・リーシングアタックリストの作成。
・出店ニーズはあるのでテナント情報の収集と定期的なリスト作成。
・アウトレット出店を検討するブランドの掘り起こし。
リーシングリスト作成の中では、「出店ニーズに合わせたテナント情報の収集」と「アプローチする先のリスト作成」の大きく2つの課題が浮き彫りとなりました。リーシングリストの作成は、最適なテナントミックスを実現するための土台となる業務です。ご担当者様から回答のあった「情報・データ不足」を解決することが、リスト作成の課題解決の糸口となりそうです。
【課題:リーシング精度・質】回答内容
・地方の小規模SCだと、そもそも条件に合うテナントが少ない。新規出店しても早々に退店するお店もあり、リーシングの成功確率を上げることが課題。
・実際の区画に対してのマッチング。
・新規開業後、テナントの業績悪化による退店により誘致できる後継テナントの質が低下し、施設のイメージが悪くなってしまうことが懸念。
リーシング精度・質が落ちることは、商業施設の業績低下に直結します。このため、多くのご担当者様が課題を感じているという結果が出ました。この結果からも、精度・質の高いリーシングを実行することが自施設の魅力を高めるための重要なポイントであることが伺えます。
【課題:経験不足】回答内容
・経験値不足。
・人的資源の確保。
・テナント知識がある人が少ない。
ご担当者様の回答内容から、高精度のリーシングを行うには、経験も重要なことが分かります。リーシング業務における経験不足を補うことができる、有益な情報・データの活用や、業務をサポートするITツール等の活用が課題解決への糸口になりそうです。
【課題:その他】回答内容
・リーシング活動の前提となる開発コンセプト・施設コンセプトの立案の難易度が高まっている。
・業種のトレンドを踏まえたSCの将来像。
・カテゴリー構成比のセオリーが変化してきている事。
その他の中で、複数のご担当者様が課題として回答されたのは、「商業施設に求められていることや必要なテナントが変わってきている」ということです。消費者ニーズも多様化し商業施設に求めることが変わりつつあり、それに合わせてテナントの業種構成比やトレンドも変化している、変化させていく必要があると考えられます。
リーシング業務の課題まとめ
商業施設を運営する企業のご担当者様にリーシング課題を聞いたところ、「テナントへのアタック業務」と「データ・情報不足」が最も多い結果となりました。
テナントへのアタック業務は、交渉をすすめ、最適なテナントを誘致するための重要な業務であり、商業施設の魅力を最大化するためには、迅速に対処すべき課題となりそうです。
また、自施設にあったテナント企業を見つけ、リーシング精度を高めるには、有益なデータや情報を収集し、活かす必要があります。
その他にも、リーシングリスト作成、リーシング精度・質、経験不足などが課題として回答されました。
リーシング以外にも、多岐にわたる課題を抱えている中で、これらのリーシング課題の解決することは容易ではありません。しかし、商業施設の魅力を最大化し、独自の価値を持続的に提供するためには、最重要タスクであるリーシング業務において、数ある課題にひとつひとつ対応していく必要があります。
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