社長の一言集

第99号 「成長力とは、量の増大ではなく新しいことを生み出す力である。」

2014/08/29
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 「成長力とは、量の増大ではなく新しいことを生み出す力である。」
                                                       2014年99号
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「子曰く、学びて時に之を習う、亦説(またよろこ)ばしからずや。」は、二千
五百年前に書かれた「論語」の有名な一節です。

今年発刊された伊與田 覺(いよたさとる)先生の「人はいかにして大成するか」
(致知出版社)にその解釈が詳しく語られています。
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 学ぶというのは、人を通じて学ぶ、あるいは、書物を通じて学ぶのが普通です。
 つまり、外から学んで「ああ、これはいいことだ」と頭に吸収するわけです。
 しかし、孔子はそれだけではなかったのです。時に応じて学んだことを実践して
 「あの先生のおっしゃることは本当だな」「あの書物に書いてある事は本当だ」
  と、自分で体得しました。これが「学びて時に之を習う」ということです。
 「習う」とは、たびたび繰り返しながら行うということです。
  雛鳥は親の飛ぶ様子を巣の中からじっと見つめながら「われもまた、あのよう
  に飛びたい」と雛は雛なりに何遍も羽ばたきの練習をするのでしょう。
  われわれがテレビでその様子を見るときは、一回か二回、羽ばたきの稽古をす
  るところしか映っておりませんが、おそらく数え切れないぐらい稽古をしてい
  るのでしょう。
  そして、親と同じように飛べたとき、雛鳥は「説ばしからずや」と感じるので
  はないでしょうか。「亦(また)」とは「なんと」ということですので、「なん
  と喜ばしいことではないか」という意味になります。
  実際に自分がやってみて納得したときの喜びというものは、例えようもないも
  のだと思います。
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学んだ事を、実践する。体得するまで更に繰り返す。「知る」ことが、「悟る」と
いう境地に達した時の喜びは、本当に「亦説(またよろこ)ばしからずや。」です。

私自身、経営で悩んだり、考えが行き詰った時に、先人たちの残した書籍や学ん
だときのメモ、過去の「社長からの一言」を何度も読み返すことがあります。
その中に、ハッと気付かされる文章や、本当にその通りだなと改めて実感させら
れる事があります。時には涙する先人のメッセージもあります。
自分の経験の積み重ねや苦しみの中で、今まで見過ごしていたメッセージの持つ
意味、大切さが心に深く浸み込むときが、「亦説(またよろこ)ばしからずや。」
の境地に触れた瞬間です。

例えば2008年21号のリゾームのメルマガで掲載したドラッカー博士の言葉で
「成長力とは、量の増大ではなく新しいことを生み出す力である。」は
翻訳者の上田 惇生(うえだ あつお)先生の講演でお聞きしたものです。
成長力を「量」や「質」で判断しようとしていた時に、「新しいことを生み出す
力である。」というのは明快で、新鮮でした。
しかし当時は、その力が及ぼす影響の大きさをイメージすることは出来ていませ
んでした。

社会構造の変革、ITの更なる進化が大きく経営に影響を及ぼし始めた現在、ドラッ
カー博士の「成長力とは、量の増大ではなく新しいことを生み出す力である。」
は経営の最重要テーマであり、企業の格差がその力の差である事が実感できます。

ドラッカー博士は、丁寧に別の視点での成長のメッセージを残してくれています。
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P・F・ドラッカー著 「実践する経営者」ダイヤモンド社より

 「成長についての最大の問題」
  ほとんどの会社が成長を欲し、その多くが成長を公言する。
  だがそれらのうち、成長のための戦略はおろか、成長のための方策すらもって
  いる経営者はほんの一握りしかいない。
  本当に成長しているのか、肥大化しているにすぎないかを知っている経営者は
  さらに少ない。
  成長は望んで実現するものではない。成長そのものに価値があるわけではない。
  より大きな会社が優れていると言えないことは、像が蜜蜂よりも優れていると
  言えないのと同じである。 (中略)
 成長についての最大の問題は、どれほどの成長を望むかではない。
 市場の成長が見込まれるなかにあって、限界的な存在に落ち込まないために
 どれほどの成長が必要かが問題である。答えを出すことは容易でない。
 見方は分かれる。
 自らの市場をいかに定義するかによって変わってくる。
 産業構造によっても変わってくる。
 ある産業では十分によい地位であっても、他の産業では限界的であるかもしれ
 ない。
 そのうえ、市場の定義と産業構造は、市場と技術の実態によって変化する。
 それも劇的に変化する。
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「市場の定義」と「産業構造」のところは、強く意識して学び、実践していきたい
ところです。

常に、「時代に適応して新しいことを生み出し続ける」ために。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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