社長の一言集

第44号 峠

2010/01/27
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 「峠」 
                                            2010年44号
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遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

前号で三つの坂のお話をさせて頂きました。
上り坂、下り坂、そして真坂(まさか)です。

年末から年始にかけてシステム工学博士の片方善治先生の本を読んでいましたら
上り坂はアイデアや構想を広げる段階、下り坂はそれを具体的に落とし込む段階で
その間に意思決定という「峠」があるという文章を見つけビックリしました。
片方善治先生は、システムの概念を工学的視点だけではなく仏教的視点等様々な
視点で捉え、分かり易くお話をされる素晴らしい先生です。
その先生の出版された戦略論の本で「坂と峠」の表現が出てくるとは面白いです。
人生にも、経営にも「坂」ばかりではなく「峠」という節目があったのですね。

漢字のほとんどは中国からもたらされたものですが、「峠」という漢字は日本で
天武天皇の時代につくられたようです。
人が旅して、越し方と行く末の「中道」に立って、振り返り越し方を懐かしみ、
又、一方では行く末を祈る為に、手向けをする、祈願をする、回向をするという
意味が含まれているそうです。

それを今の自分自身に当てはめてみると
「峠」は、なんのために自分は生まれてきたのか?
なんのためにこの会社が存在するのかを自問自答する場でもあります。

月刊『致知』で掲載された池川クリニック院長池川明氏の
「胎内記憶について語る子どもたち」の文章に、とても興味深いものがあります。
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本文より

「おなかの中は暗くて、でもあったかくて、泳いでたんだ。
                       早くママにあいたいと思ってた」
これはある2歳の男の子の言葉です。

池川明氏は、産婦人科医として多くのお産と関わり合う中で、
母親のおなかの中にいた時のことを覚えている子どもがいることに気づき、
「胎内記憶」についてのアンケートを取り始めたそうです。
幼稚園や保育園の協力を得て、最終的には3500名以上のアンケートを行いました。
その結果、約3割の子どもに胎内記憶があるということが確認できたのです。
「包丁が入ってきて足を掴まれて引きずり出された」などと、
帝王切開で生まれた際の記憶を語る子もいます。
それから「赤ちゃんは母親を選んでくる」ということも読み取ることが
できたそうです。
「パパとママを選んだんだよ」
「お母さんがさみしそうな顔してたから笑ってほしくて来たんだ」
こんなことを言う子どもが実にたくさんいるのです。
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そして、人が生まれてくるのは、
結局それぞれが何らかの形で「人の役に立つため」と考えるに至ったそうです。
私たちは無数の縁に支えられて「今」というこの瞬間の連続の中を生きています。
家族、同僚、お取引先、ライバル会社、すれ違う人々、電車の同乗者...。
そして、このメルマガを読んで頂いている皆さま。

「峠」の上で行く末を願う時−−−。
「全ての縁と結果は必然。」という、今を素直に受け入れる考え方が、
次の坂を良き方向に導いてくれる羅針盤なのかもしれません。
過去を肯定し、未来を信じ、今を真剣に活かすという「峠の境地」です。
そして、人も会社も「縁ある人のために」存在する...。
大切な人や、お客様に喜んで頂く事は誰にとっても幸せな事です。
それは、人間として生まれてきた本来の目的が、縁ある人に喜んで頂くという
役割であるからかもしれません。
「峠」はそれを思い起こし、感謝し、奮い立たせる
「命の原点」なのではないでしょうか。
坂ばかりに囚われていてはいけません。必ず人生には「峠」という節目があります。
その節目をどう認識し、自らを更に成長させるかが大切です。

今年も、日本は色々な出来事に翻弄される年になりそうですが、
皆さまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。

「峠の境地」でがんばりましょう。

追伸
先週、横浜で行われたSCビジネスフェアでは沢山の方からメルマガの激励を
頂きました。
改めてお礼を申し上げます。

                        株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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