社長の一言集

第207号「君、人生の壁は天が与えてくれるまたとない試練やで」

2023/09/28

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「君、人生の壁は天が与えてくれるまたとない試練やで」

                2023年207号
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今年は記録的な猛暑日の多さ、気象災害多発と、今まで誰も経験したことのない厳しい夏となりました。
経済面では、円安、インフレによる物価・コスト上昇、更にゼロゼロ融資の返済不履行等で企業の倒産件数が大幅に増えています。
正に、予測不能の試練の連続です。

現在、私たちのまわりには、業種、規模等に関係なく色々な会社が存在しています。
・バレなきゃ、なんでもありの、邪道をすすむ会社
・そのうちなんとかなるさと、開き直り傍観する会社
・とりあえずなんとかしなきゃと、目先の問題対応に迷走する会社
・既存のお客様のために今の商売で、更にがんばる、まじめな会社
・面白い、チャンスと、新たな顧客、商品、ビジネスモデルづくりに挑戦する会社

同じ環境・試練の中でも、会社は経営者のビジョン・ミッションによって歩む道も結末も違ってくるのですね。


木野親之先生の『松下幸之助に学ぶ指導者の三六五日』(コスモ教育出版)より
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<人の壁は、誰にでも訪れる>
人の壁は、誰にでも訪れるものです。
壁に苦しみ、悩み、傷つき、苦闘し格闘する中で、人は人格を高めていくのです。
幸之助はそうやって道を開いていったのです。
「君、人生の壁は天が与えてくれるまたとない試練やで」とよく言われました。
自分に与えられた天命を自覚し、「このことは、後になって必ず役に立つ」と、決意すれば、道は自然と開けるのです。

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この文章の「人」を「会社」に、「人格」を「ミッション」に置き換えてみるとより深い意味を感じ取れます。

私の好きな言葉に「鍛錬」という言葉があります。宮本武蔵の名言としても有名です。
「千日(せんじつ)の稽古をもって 鍛(たん)となし、 万(まん)日(じつ)の稽古をもって 錬(れん)となす」
継続して、努力することの大切さを説いて、千日は3年、万日は30年続けることで、名実ともに、「その道の達人」になれるという意味です。

又、千日、万日に、さまざまな「試練」が加わることにより、「鍛錬」に「修練」が組み合わされます。
そのことにより、より深い、誰も真似のできない独自の境地、磨き上げられた技が身に着けられます。
正に「その道だけではなく人生の名人」になれるのではないでしょうか。

現代経営学の父・ピーター・ドラッカーが、真の経営者として絶賛したオムロン創業者の立石一真氏のエピソードです。


『「できません」と云うな』(湯谷昇羊著/ダイヤモンド社)
日本電産の創業者永守氏が悩んで相談に来た時の会話より 
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「よう来たなあ。何か悩みがあるんか」永守が悩みを打ち明けると
「何やそんなことか。そんなん悩みやない。私も同じ経験がある。
高い山に登る時には、川を越え、岩を越え、時には道なき道を進まんならん。
するとヘビに咬まれたり、野壷に落ちたりする。それは川で洗って乾かすしかない」

永守が失敗した話をすると
「あのなあ、失敗は島と同じや。わしらの乗っているのは大きな船やない。小さなボートや。
だからいっきに向こう岸には行かれへん。島に寄りながらやないと向こう側には行かれへんのや。
失敗の基盤が次の発展のタネになる。それでないと成功はない。野球だって三打数一安打で名選手なんやろ」

卸室の蕎麦屋で一真は、倒産の危機に瀕した時の話をした。
「あのころはここの蕎麦代が払えず、株で払ったんや。家賃も払えん。それに妻を亡くしてなあ」
蕎麦を食べながら一真は涙目で話した。
永守は失敗したことを話すと、一真も九割がた同じ失敗をしていた。

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どんな試練があろうと、経営者のビジョンと、強い覚悟があれば未来は必ず開けるのですね。

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光