社長の一言集

第205号「我を亡ぼす者は我なり。人、自ら亡ぼさずんば、誰か能く之を亡ぼさん」

2023/07/28

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「我を亡ぼす者は我なり。人、自ら亡ぼさずんば、誰か能く之を亡ぼさん」

                2023年205号
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経営学者であり社会学者のドラッカー博士はその著書『マネジメント』の序文で渋沢栄一氏を名指し、
「私は、経営の『社会的責任』について論じた歴史的人物の中で、かの偉大な人物の一人である渋沢栄一の右に出るものを知らない。
彼は世界のだれよりも早く、経営の本質は"責任"にほかならないということを見抜いていた」と高く評価しています。

又、安岡正篤先生は東洋思想に基づいて、人物を磨くための4つの観点を残されています。
① しっかりとした「志」と「礼」を持つ 
② 全ての責任を自らに帰す
③ 直観力を養成する
④ 人間的魅力を高める、を挙げておられます。

この中の第二の「全ての責任を自らに帰す」という観点は、東洋思想の根本です。
全ての事象を他者や環境のせいにするのではなく、自分自身が原因であると認め、責任を持つことで、真の成長が可能となります。

又、別の表現として「我を亡ぼす者は我なり。人、自ら亡ぼさずんば、誰か能く之を亡ぼさん」
(自分を滅ぼすことができるのは自分自身だけである。人は自らを滅ぼさなければ、他者によって滅ぼされることはない)
という意味の言葉も残されています。

ジャパネットたかた 高田明氏著 『伝えることから始めよう』東洋経済新報社 より
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目標は持たない経営に徹してきた私ですが、
自分自身が向上する、会社を成長させる
ということについては強い意識を持ってきました。
しかも、大きな向上を常に目指す。
そんなことではできないと思われるようなことでも、成功する姿をイメージして挑戦してきました。

私が思っていることを口に出すと、
「そんなのできない」と言われることがよくありました。
しかし、私はできないと決めているのは、その人自身だ、
やろうとする前から、できないと決めつけていては何もできないと思っていました。
本気になって、死にものぐるいになれば、
大抵のことはなんだってできるようになると思うのです。

一流を目指す人は、「できない」なんて決めつけません。
「できない」と思うようなことに果敢にぶつかっていきますよね。
一流になりたいと願う人はたくさんいますが、
本当になりたいなら、本気で行動しなければいけません。
大きな向上を目指さないと、一流には近づいていけないと思うのです。

世阿弥は「自己更新」ということを説きました。
一流であり続けようとするなら、死ぬまで自己更新していかなければ、なれません。

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高田氏は、世阿弥を敬愛し、世阿弥の考え方を通して、
「人生100年時代」を最後まで楽しく生きるヒントを散りばめた書籍『高田明と読む世阿弥(日経PB社)』も出されています。

世阿弥の残した有名な言葉には「初心忘るべからず」、「秘すれば花なり。秘せずば花なるべからず」等がありますが、
「住する所なきを、まず花と知るべし」も好きな言葉です。
「住するところなき」とは、「そこに留まり続けることなく」という意味です。
一時的な成功や、立場に甘んじて停滞することなく、変化することこそが芸術の中心であり、人生の花である。

限られた人生ですが、自分の「花」を咲かせ、感謝の「実」を残すことに挑戦したいですね。


株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光