社長の一言集

第182号「ビジネス五体論」

2021/08/31

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「ビジネス五体論

                2021年182号
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8月は、新型コロナウィルスの新規陽性者の急増、お盆の集中豪雨と、災害級の事態がいくつも発生しました。
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

私たちは東日本大震災等の大災害から「備える」事の重要性を学んできました。
「事後の百策より事前の一策」です。

しかし、最近の災害は、今まで経験したことのない猛威で、「逃れきれない、備えきれない」レベルの、想定をはるかに超える規模と激しさになってきています。

今からは、「災害にならないように備える」から、一歩踏み込んで「災害時、被災後のためにいかに備えるか」が重要になると考えられます。
そして、今まで良いとされたこと、あたりまえ、常識とされたことを疑い、更に、隠ぺい・改ざん等の「まさか ! の備え」が必要です。
これは、災害だけではなく、社会・経営環境の劇的変化による企業の危機についても同様です。
そのためには、総和力の揃ったタフな人材の存在が不可欠です。

『NEVER STOP イノベーティブに勝ち抜く経営』
著者:フィリップ・コトラー氏 
   富士フイルムホールディングス株式会社 最高顧問 古森重隆氏
訳者:早稲田大学教授 恩藏直人氏
発行:日経BP 日本経済新聞出版本部

『CHAPTER2 富士フイルムの改革 絶対に負けられない戦い』古森重隆氏著
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ここからは、私が考える個人のパフォーマンスについて説明する。私は、ビジネスパーソンの仕事の成果は、その人の持つ「人間力の総和」だと考えている。

仕事のパフォーマンスが良いか悪いか、成功するかしないか、勝つか負けるかは、人間の五体すべての総和で決まる。私はこれを「ビジネス五体論」と呼んでいるが、危機に直面した際も、平時の際も、ビジネスパーソンの基盤となる力である。

この「ビジネス五体論」は、全ての人間力を使って会社と従業員を引っ張っていく経営者にとって特に必要だが、私はこの基本概念を国内外の全ての従業員に対して、さまざまな仕事の場面において実践していくことを求めてきた。

仕事のパフォーマンス(成果等)は、その人の持つ人間力の総和であり、人間力とは五体全部の力の総和である。少し詳しく言うと

①「目や耳」
これは情報収集力。何が起きているのか、その背後にある本質的なものは何かをつかむ力。「鼻」「皮膚」「第六感」も必要で、はっきり表れているものの他に匂いや感覚、勘でつかむ力も必要。

②「頭(脳)」
情報と脳内のデータベースに基づき分析し、本質を見抜き、課題を立て、対応のための戦略戦術を考える最重要な部分。

③「胸・ハート」
良心や道徳、人間に対する関心、共感度、思いやり、愛情といった心的要素。これが少ないと他の人はついてこない。人間関係が充分でなくなる。仕事は他人と協働してやるものである。

④「肚・腹」
「肚の座った、肝の太い」等で表現される度胸・勇気や根性を指す。これが無ければいくら頭や心がよくても判断、決定が出来ない、最後までやり遂げられない。自分を鍛えて修練を積む。

⑤「足腰」
行動力、現地現場主義。実践的な行動力や現場実証の重要性。これがなければ「机上の空論」に終わる。

⑥「腕・手」
テクニックやスキルという面といざという時の「パワープレー」に必要な腕力という面の両方が必要。

⑦「口」
自分の考えをしっかり表現する力、ディベート力。国際語としての英語は必須。

⑧「顔・姿勢」
これまで述べてきたような人の内面を表す。しっかりした姿勢・態度・知性・内面の輝き、正しい生活習慣を反映する。社会人として重要な要素である。

ビジネスパーソンは、これらを認識し、生活や仕事のスパイラルの中でこうした諸要素を磨くことが求められる。良いスパイラルを作った人は、五体バランスよく成長し、人生や仕事が充実していく。この中で自己を成長させ、自己実現を図っていくことが出来る。自己実現こそが人生の意義、目的であろう。それはまた、同時に人生と仕事という二重の社会性を賢く調和させていく唯一の方法であると思う。

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総和力の揃ったタフなリーダー(人材)に対して、一方的に依存したり、評論家になってはいけません。
個々人が、結果に対して自らが最終責任者としてリーダーをしっかり支えないと危機は乗り越えられません。今回のコロナ禍は、国民全員の総力戦です。

常識を捨てろ!全員が総和戦で戦え!

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光