社長の一言集

第151号 「人材育成とは人を育てることではなく、人が育つ土壌を作ること」

2019/02/27

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「人材育成とは人を育てることではなく、人が育つ土壌を作ること」
                            2019年151号
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今年は、天皇陛下の御退位、皇太子殿下の御即位と改元、消費税率10%への
引き上げなど、歴史の節目になる年になりそうです。

その中でも、日本の歴史の中で大きな節目になるのは、4月に施行予定の、
外国人労働者受け入れ促進のための、改正入管法ではないでしょうか。

国連人口部は「移民」の定義を「出生あるいは市民権のある国の外に12カ月以上
いる人」としています。
厚生労働省が発表した10月末時点での外国人労働者は146万なので、国連の定義だと、
既に日本は140万人近くの移民を受け入れている事になります。
改正入管法では、更に5年間で34万人を増やそうという計画です。

深刻な人不足とはいえ、付け焼刃的な外国人の受け入れ緩和に対して、きちんと
課題を把握せず、ほとんど無策のまま、見切り発車というのは、将来、大きな
禍根を残すのではないかと危惧しています。

日本で仕事をする外国の方は、単なる労働力ではなく、共に生活していく
人間(移民)なのですから、地域コミュニティの中での生活支援、劣悪な労働環境の
是正、社会保障、教育等、様々な受け入れ態勢づくりが不可欠です。
問題の本質は、外国の方ではなく、日本政府・国民の(移民)受け入れ覚悟の
欠落と、あきらかな準備不足です。

一方、世界的な人材争奪戦の中で、残念ながら日本は外国の人材を選ぶ立場では
なく、選ばれる立場であることの認識も必要です。

日本へ来て、仕事をしたいという外国の方の多くは、成長意欲が高く、非常に
勤勉で、いい意味゛貪欲゛で、前向きです。

しかし、採用できたとしても、職場のマネジメントをしっかりしないと、会社に
貢献をもたらす人財が、管理の難しい人罪にもなりかねません。

日本人、外国人の分け隔てなく、日本の未来のために「共に働き、共に成長する」
という意識を持って、活力ある組織づくりに挑戦しなければいけません。

リゾームでは、昨年から中国人の社員を採用していますが、その勤勉さと仕事への
取り組み姿勢は、社内にいい刺激と、新たな成果をもたらしてくれています。

致知 2019年2月号『人の成長のために働かないかぎり、自ら成長することはない』
ドラッガー学会理事 佐藤等氏 より
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 あなたは、日々、誰の成長を願って働いているでしょうか。
 人の成長に関するドラッ力ーの言葉は数多くあります。
 なぜでしょうか。
 
 ドラッ力ーの思想の原点にあるのは、「世のため人のため」という一言です。
 この言葉には、組織という社会的道具の二つの目的が込められています。
 
 ドラッ力ーは、「組織は社会的な道具」だといいます。
 時計や携帯電話と同じように組織も人類が生み出した道具です。
 道具には、必ず目的があります。世の中に目的のない道具は存在しません。
 しかし、組織という道具の目的は意外に知られていません。
 もしくは、日々のことで忙殺され忘れ去られています。
 目的を忘れて道具本来の機能を最大限に引き出すことはできません。
 
 組織という道具の効果的な使い方をマネジメントといいます。
 その原点に目的の確認があります。
 
 組織の目的の第一は、世の中の人に喜ばれること、具体的には、
 魅力的な製品やサービスを提供することでお客様に満足してもらうことです。
 目的の第二は、組織で働く人を成長させることです。
 その実現のための基本的な心構えが、人の成長のために働くことです。
 
 両者は相互補完的です。
 魅力的な製品やサービスを提供するための仕事をとおして人は成長するとい
 うことです。
 「組織に働く者が成長するとき、組織はさらに多くをなしとげる。
 (略)しかも、組織が真剣さ、真摯さ、意識、能力において成長するほど、
 そこに働く者が人として成長する」(『変貌する産業社会』)
 
 今こそこの言葉の意味を噛みしめるべきときです。日本の若年労働力は減る
 一方だからです。
 1992年に200万人以上あった18歳人口は、今では120万人を切り、
 将来100万人を割ることは確実です。人材不足は喫緊の課題です。
 少ない人材で組織を成長させようとしたら、これまで以上に人の成長が重要
 になります。
 
 誰もが組織の成長を願います。
 しかし、そこに働く者の成長を真に願っている者はどれだけいるでしょうか。
 組織の成長を願うならば、そこで働く者の成長に目を向け、その手助けをした
 いものです。
 (中略)
 人材育成とは人を育てることではなく、人が育つ土壌を作ることです。
 結局、人は自らの力で自らを成長させるしかないのです。
 自ら火を灯し、社会の役割を担う存在として一隅を照らすのは自らの覚悟しだい
 です。
 ここに人の成長のために働くことの原点があります。
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世論調査団体ピュー・リサーチ・センターによると、アメリカのIT企業TOP25の
創業者の6割は、外国からの移民もしくは2世だそうです。

アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、シリア系移民の子として生まれた後、
アメリカ人の家庭に養子として迎えられた2世です。
フェイスブック共同創業者エドゥアルド・サベリンはブラジル系移民1世。
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスはキューバ系移民2世です。

TOP企業の多くの創業メンバーは、出身国は違えど「多様性」、「意外性」、
「独自性」を育む組織と、ビジネスの目的は「世のため、人のため」であるという
信念の両輪で、創造的発展を推し進めています。

そして、その事業を支えている社員の多くも、移民の皆さんです。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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