社長の一言集
第152号 「現在の危機感はもう200%、深海の深さだ。今のままでは次の100年どころか10年も持たない。」
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「現在の危機感はもう200%、深海の深さだ。
今のままでは次の100年どころか10年も持たない。」
2019年152号
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10年先が読めない。
これは、企業の大小、社歴の長さに関係なく、多くの企業の経営者の本音では
ないでしょうか。
会社の平均寿命が30年から10年近くに短縮しているそうです。
正に、先が読めるかどうかという話ではなく、10年後に自社が存在しているか
どうかという死活問題です。
一方では、国民の平均寿命が毎年伸び続け、政府は「人生100年時代」の到来を
打ち出し、高齢者の労働促進をすすめようとしています。
この企業寿命の短命化と、人々の長寿化のギャップは、社会保証制度の破綻が
見え隠れする中、最後は個人の力量、才覚で人生を乗り切らなければならない
のが現実です。
最近、大手企業の経営者の本音が記事になっています。
日本経済新聞 2019年2月21日掲載
「IT大手リストラ続く」より
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今春までに3千人を削減するNECの新野隆社長は「恥ずかしいが10年前には
想像できなかった。気づいたときには追いつけなくなっていた」と振り返る。
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日本経済新聞 2019年2月10日掲載 未踏に挑む
「モノ作らぬメーカーに」「今のまま、10年もたない」
パナソニック社長 津賀一宏氏 より
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-名門意識は邪魔じゃないですか。
「ずっと足かせになってきましたよ。パナソニックは潰れない。
よい会社であると。
先々代の中村(邦夫・元社長)が危機感をあおり、初めて大々的にリストラした。
意識は少し変わった」
「ただね、いまだに既存事業を一生懸命やればいいんでしょ、
少しでもアップグレードした商品を出せば日本メーカーがみんなへたるから、
自分たちだけは頑張れるという意識は残っている。
これでは何も変わっていない。
お客様から見れば一旦選択肢が減るだけで、結局ダイソンやアイリスオーヤマ
が出てくる」
「現在の危機感はもう200%、深海の深さだ。今のままでは次の100年どころか
10年も持たない。会社をばらばらにすれば生き延びる事業もある。
だがパナソニックを任されている私にその選択肢はない」
-日本マイクロソフト元社長の樋口泰行氏ら外部からの人材登用を進めています。
「やはり既存の人は既存の事しか考えられない。
既存事業は人口減などの変化にさらされ急速に成長が見込めなくなる。
ビジネスモデルを変えないといけない時に、ビジネスモデルが議論できる人に
来てもらう」
「私も社長になったからこそ過去を否定しているが、普通は抵抗を受けて
面倒くさくなる。
パナソニツクを外から見たらこんな矛盾があります、とダイレクトに言ってもらう。
中国人の社員なんか私に好き放題言いますよ。しかも上から目線で。
それが必要なんだ。」
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新しいビジネスモデルを創出している人たちの時代認識は「新しいこと、変化を
求められる時代は、脅威ではなく、大きなチャンスである」ということです。
そして、「どのようにして行うか」ではなく、「何を行うべきか」を最優先し、
まずいきなり走り出せる「デザイン思考」を有しています。
※デザイン思考については2018年143号のメルマガをご覧ください
時代に乗り遅れている会社は、「茹で蛙」状態の組織と、不要な資産を抱え、
社内外のしがらみに縛られ、「どのようにして行うか」というところから
始めなければなりません。
内部の出来ない理由を潰している間に、手遅れになってしまっています。
『ベロシティ思考』 パイ インターナショナル発行
アジャズ・アーメッド(以下A)/ステファン・オーランダー(以下S)著 より
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A 欲しいものを手に入れるために、いま持っているものを危険に曝(さら)すことを
いとわないという精神。これは、ライバルにやらせるぐらいなら、これまでの
事業をつぶしたほうがましだと考える起業家ならではの特徴だ。
一方、既存の組織構造を壊してまで、まだ実績のないものと入れ替えてもいいと
言う企業はほとんどない。
S 未知の世界に飛び込もうとしている時、自信を引き出してくれるのは、
最も重要なつながり、つまり顧客との直接的なつながりだ。
それが本来あるべき姿なんだと思う。
手がけている製品やサービスが、会社の収益にどれだけ貢献できるかという
ところからスタートするのではなく、その製品やサービスが人々の暮らしを
どれだけ便利にし、どれだけ快適に楽しくするか、という視点で考えていけば、
ビジネスはもっと成功する。
ベロシティという独特の時代には、情報に基づいて賭けに出なければならないんだ。
お互いにつながり合った世界に移行している現在、新しいテクノロジーによって
毎日のようにルールが変わり、すべての答えを持っている人なんて、どこにも
いないわけだから。
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危機と、チャンスに溢れた10年後に向けてどうするべきか?
変化を楽しむ。
変化に適応するために自らの成功体験を捨てる。
変化を掴むために素直になる。
変化を仁をもって創り出す。ことでしょうか。
株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光
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