社長の一言集

第150号 「人々の生活を幸福にするうえで不可欠の存在となる」

2019/01/29

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「人々の生活を幸福にするうえで不可欠の存在となる」
                            2018年150号
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今年2018年は、明治元年(1868年)から起算して満150年に当たる年でした。
NHK大河ドラマは「西郷どん」が放映され、明治維新の立役者、西郷隆盛の
明治10年(1877年)までの波乱万丈の人生と、激動の日本を放映し話題を呼びました。

日本各地でも、明治維新150年の記念行事が催され、当時の資料展示や、偉人達の
紹介がされています。
偉人というと、維新に尽力した西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允、江藤新平等、
有名な志士をイメージしてしまいますが、独創的で先進的な発想で日本の情報通信に
貢献した人物が存在していました。
佐賀の多久出身の志田林三郎博士です。

幼くして父を失い、母の饅頭売りを手伝っていましたが、数学に優れた才能を
多久藩幹部に知られ、東原庠舎で学び、工部省工学寮(現在は東京大学工学部)電信科を
首席で卒業しました。
その後、英国グラスゴー大学で学び、帰国後は帝国大学で日本人初の工学博士となり、
逓信省(後の郵政省)設置や日本郵便事業、電気学会創設に尽力した人物です。

私がとても驚いたのは、その志田林三郎博士が明治21年6月に電気学会の第一回通常会で
演説された内容「将来可能となるであろうエレクトロニクス技術予測」です。
遠隔地との通信通話、音声の伝送や録音が可能になることや、
電気による列車や船舶が普及すること等、西郷隆盛と同じ時代に生きていた人物が、
電灯くらいにしか利用できていなかった電気と、発明されたばかりの電信技術から、
100年後の未来を見事に予見していたのです。
当時、誰がこのような予測が出来たでしょう?

今、世界中で、特に米国、中国が先端技術の覇権争いに血眼になっています。
GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)、BAT(Baidu・Alibaba・Tencent)」が
膨大なデータと資金力で、ネットだけでなくリアルのあらゆるビジネスを飲み込んでいます。
AI、通信、キャッシュレス、ロボット等の先進技術、膨大な情報管理は私たちに、
どのような未来をもたらしてくれるのでしょう?
勝者総取り、勝者による総管理、勝者による総選別...。にならない事を祈ります。

来年も、自然、経済、政治、思想等、何が起こるか予測不能です。
しかし、想定外という事態に備えなければならない。
常に未来を信じて挑戦しなければならないのです。

<志田林三郎博士電気学会の第一回通常会の締めくくりの言葉>
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 会員諸君の熱心な協力によって、将来、本会がその目的を達成し、
 この電気学会が我が国の世運を高め、
 人々の生活を幸福にするうえで不可欠の存在となることを熱望するものである。
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「世のため、人のため」を本気で願った人には、見えるはずない未来が見えるのですね。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

不思議なタイミングですが、今月で150号を迎える事が出来ました。
今年一年、ご愛読ありがとうございました。
志田林三郎博士のお生まれは、私と同じ佐賀県の多久市です。
素晴らしい先人と、ご縁が繋がったことが分かり大変光栄です。

毎年、12月にお送りするご縁のお話です。時間がございましたら、是非ご一読下さい。
「志が縁をつくり、感謝が縁を活かす」(RHIZOME PRESS〔Vol.026〕)
⇒ https://www.rhizome-e.com/company/collection/collection26.php

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