社長の一言集

第123号 「「損得」ではなく「尊徳」を」

2016/09/20
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「損得」ではなく「尊徳」を
                            2016年123号
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江戸時代に「金のなる木」という話が庶民の間で流行りました。

ある時、徳川家康が家臣に「金のなる木を知っているか?」と尋ねました。
しかし、誰一人として知る者はいなかったそうです。
そこで、家康はおもむろに自ら筆をとり、三本の幹を描き、それぞれの幹に
「しようじ木(正直)」
「じひぶか木(慈悲深き)」
「よろずほどよ木(よろず程良き)」と書き、
この三つの木を常に信じ、実践すれば、必ず富貴になれると諭しました。

すると、側近の細川三斎が御前に出て、幹の左右にこのように枝を付けては
いかがでしょうと進言し、
「あさお木(朝起き)」
「いさきよ木(潔き)」
「しんはうつよ木(辛抱強き)」
「ゆたんな木(油断なき)」
「かせ木(稼ぎ)」
「ついえのな木(費えのなき)」
「やうしやうよ木(養生良き)」
「かないむつまし木(家内睦まじき)」を書き加えたそうです。

家康は「金のなる木」の教えが、一段とすばらしいものになったと大喜びして、
周囲の人びとにそれぞれ写し取って家の者にも伝えよと命じたそうです。

正直である事、思いやりがある事、足るを知る事が人生の成功の要諦であるこ
とは400年以上の昔も、今も変わりはないようです。

京セラ㈱名誉会長 稲盛和夫氏語録より
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 ウソを言わない、人を騙さない 人を妬んだり恨んだりしない 愚痴を言わ
 ない 
 常に勇気を持って仕事にあたる 優しい思いやりの心を常に持つ
 謙虚にしておごらず、誰にも負けない努力をしていく 正義を重んじて仕事
 をする 
 足るを知り、決して欲張らない 勢いにまかせて怒ることを抑える 
 このような原始的であり、幼稚とも思えるような倫理観こそが、
 経営者として、トップとして持たねばならない哲学、思想なのだと思います
 「誠実であれ、正直であれ、謙虚であれ」というようなことは口では容易に
 いえます
 
 しかし日常生活の中で、それが常に行動として表れていなければ何もならない
 その実践こそがたいへん難しいことなのです
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自分は正直であると胸を張って断言できる人間がどれだけ存在するでしょう? 
自分が断言できたとしても、他から見て本当に正直かどうかは甚だ疑問です。
残念ながら、今でも不祥事を露呈した企業、政治家、官僚、教育者は後を絶ち
ません。

私が商売を学ばせて頂いた、㈱ニチイ(現㈱マイカル)創業者 故西端行雄氏の
奥様の西端春枝様のお言葉より
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 「馬鹿正直でもいい、目立たないのがいい、お客様の幸せを願うだけ。
 西端行雄は、そんな商人でした」
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「損得」ではなく「尊徳」を心がけることが正直への道のようです。
                       
                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光
                       
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