社長の一言集

第124号 「君、誠実が一番大切やな。」

2016/10/20
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「君、誠実が一番大切やな。」
                            2016年124号
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10月も半ばを過ぎ、今年も残り2ヶ月余りとなりました。
今年はまだ終わっていませんが、北海道新幹線開業、マイナス金利の導入、
熊本地震、リオオリンピック等、本当に色々な事がありました。
又、東日本大震災から5年を迎え、節目の年ですが、まだまだ問題は山積です。

更に、今年は7月の小池知事の誕生で、都政に大きな風が吹き始めました。
テレビは連日、豊洲、東京オリンピック関連ニュースで溢れています。
数千億円単位のお金が不透明に、責任者不在で使われている今の国政、都政の
無責任体質は異常としか言いようがありません。

歴史小説家として有名な童門冬二氏は、戦後東京都に入都、目黒区役所の係員
から、知事秘書、広報室長等を歴任し、美濃部都政3期12年を知事のスピーチ
ライターとして支えた人物です。
月刊誌「致知」に童門氏の目黒区役所時代のあるエピソードが残されていました。

「わが人生の師」童門冬二(作家) 『致知』2012年7月号より
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 目黒区役所には13年奉職したが、そのうちの11年は税務課での仕事であった。

 私が徴収を担当していた住民税は、誰にでも一律の額が課税される均等割と、
 所得に比例して税が加算される所得割の2つから構成され、滞納者のほとんど
 は均等割しか課せられていない低所得の人たちだった。

 そういう家を訪ねていくと、ギャーギャー泣いている赤ん坊を何人も抱えて
 いる母親や働きたくても仕事がない人たちばかり。
 あまりに困窮した暮らしぶりに税金を立て替えたこともあった。

 納税義務者の生活実態を目の当たりにして、そういう人たちの血の涙のおか
 げで、たとえ安くても給料をもらっているんだなと思い、決して生半可な生
 き方をしてはいけないと心に誓ったことをいまでも覚えている。

 ただ、当時は、食料や衣服などがもの凄く不足していたため、私は夏になる
 と、ランニングシャツにズボン、下駄という格好で仕事をしていた。
 それを見ていた区議会議員が、ある時の区議会で、
 「公務員は主人である区民に対して礼儀を尽くさなければならない。
    しかるに税務課のあの若い職員の服装は何事か」と、糾弾してきたのだ。

 これに対して、答弁に立ったのが私の第2の師である君塚助役である。

 「先生のおっしゃることは一言の弁明もできません。
  ただ、先生はその職員が月いくらもらっているかご存じですか。
  我われでさえ、頭を下げざるを得ないほど薄給でございます。
  もしも先生が、本当に住民のための公務員のあるべき姿をお考えでしたら、
  せめて若い職員がワイシャツ1枚、ネクタイ1本買えるほどベースアップし
  てやってくれと、こうおっしゃったらその職員も如何ばかり喜んだことで
  ございましょう」

 私は傍聴席で聞いていて、感動のあまり涙が止まらなかった。
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歴史小説の中で伝わってくる童門氏の世界観、人間観はこのような経験の積み
重ねの中で育まれたのですね。

最近「血税」や「公僕」という言葉をあまり聞かなくなりました。
国債を垂れ流し、不正を繰り返す一部の政治家には未来に付けを回した結末の
悲惨さなど他人事なのでしょう。

しかし、一方では2006年に353億円もの巨額赤字で財政破綻した夕張市の再建の
ために、東京都の職員を辞め、夕張市長としてがんばっている鈴木直道氏のよ
うな人物も存在します。
年収300万円台で、政治活動費もほとんど自腹で奔走しています。
マイナス情報を含め、全ての情報を市民に公開し、辛抱強く説明を繰り返し、
極限までのコスト削減をすすめている姿をTV等で拝見しますが、本当に頭が下
がります。

 木野親之氏 著『松下幸之助に学ぶ指導者の三六五日』コスモ教育出版より
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 至誠に生きた人が幸之助でした。
 どんなことに対しても、誠実に接し、真剣にベストを尽くして行動したので
 す。
 人生には、予想も出来ない結果が生じます。

 幸之助は、苦労する時にも誠実に苦労に取り組み、そのことで人々の心を動
 かしていったのです。
 誠意誠実以上に幸せに生きる道はありません。

 「君、誠実が一番大切やな」 
 ある時ポツリと幸之助が言ったことを覚えています。  
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数々の正念場を乗り越えてきた経営の神様「松下幸之助翁」の性根は、正に
「誠実」そのものです。

戦後、松下幸之助翁や土光敏夫氏などの名経営者が学び、事業経営に大きく活
かしたといわれている「二宮尊徳翁」の言葉があります。
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 「誠実にして、はじめて禍を福に変えることができる。術策は役に立たない」
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2020年の東京オリンピックへ向け、なんとか禍を福に変えてほしいものです。
                                                
                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光
                       
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