社長の一言集
第119号 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
2016/05/17
---------------------------------------------------------------------- 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ 2016年119号 ---------------------------------------------------------------------- 熊本地震は、発生から1ヶ月を過ぎようとしていますが、日々余震が続いて おり、未だ不安な状況が続いています。 避難者も現時点で1万人を超えたままで、なかなか復旧が進みません。 被災された皆様、そのご家族の方々には心からお見舞い申し上げます。 地震発生当時、気象庁も「前例がない」とし、誰もが何故、熊本でこのよう な大きな地震が発生したのか....。私も「まさか」という気持ちでした。 しかし、歴史学者の磯田道史氏のお話によると1611年に東日本大震災と同規 模の「慶長の三陸沖地震」が東北地方で起き、その8年後に今回と同じ肥後 地方で、大地震が起きていた事が熊本藩の地誌「肥後国志」に残されていた そうです。 気象庁の「前例がない」というのは、自分たちが計測を始めた時からだった ようです。 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉はドイツ初代宰相のビ スマルクが語ったとされています。 独りよがりな愚か者は学ぶことなく自分の経験、知識だけで考え、行動し、 その結果失敗して、初めて己の間違いを知る。 しかし、賢明な者は歴史に刻まれた物事の因果や、先人の知恵、知識から言 動の是非を理解して行動するので、失敗しないという意味だそうです。 被災した企業の再建にも学びの差が出ています。 企業によっては再開に1ヶ月以上要するケースがある中、ルネサス エレク トロニクス㈱は被災した工場を僅か1週間で再開しました。 ルネサス エレクトロニクス㈱は、5年前の東日本の大震災後の再開に3ケ月 以上を要した教訓からBCPを見直し、国内拠点を耐震補強しており、今回被 災した工場も先端の免震機能を搭載していたそうです。 日本では、災害について安全な場所など何処にもないという認識と備えが必 要です。 5年前の東日本大震災の後にメルマガに掲載させて頂いたものです。 月刊誌『致知』より --------------------------------------------------------------------- 山本のぶさんという盲目のマッサージ師がいた。 私とは戦争前からのつき合いがあった。 私の寺から500メートルほど離れた所に住んでいたが、 空襲で家を焼かれて、寺へ避難してきた。 手に持っていたのは、過去帳と杖、茶碗だけである。 当時、寺には30人ほどの罹災者がいたが、警報が鳴ると、 みんないっせいに逃げ出して、寺を守る者もいなくなった。 その中で、山本さんだけは本堂に残ってお経を読んでいた。 戦争が終わってからも、私は山本さんを呼んで、 マッサージをしてもらっていたが、 彼女が家の前の路地に電灯をつけたという話を聞いた。 家といっても、もちろんバラックである。 当時は金だけですまず、米かあるいは何がしかのプラスアルファを つけないと、電灯工事などしてくれなかった。 ずいぶんなムリをしたんだな思い、さらに訊いてみると、 電灯がついたのは家の前だけで、家の中にはついていないのだという。 あと1メートルも延ばせば、家の中も明るくなるというのに。 私は思わず「なんてバカなことをしたんだ」と言ってしまった。 しかし、彼女の答えを聞いて、 バカなのは自分であったと悟らされたのである。 彼女は盲目である。 したがって、家の中に電灯は必要ないわけだ。 どこだって必要がない。杖が1本あれば足りる。 しかし、彼女の家の前の路地は、バス通りへの近道になっていて、 大勢の人が通るという。 雨が降ると、ぬかるみになってみんなが難儀をするのである。 電灯が1つでもあれば、それが少しは救いになるだろう、と彼女は考えた。 自分にはまったく必要ない。 しかし、他人に必要なことだから、実行したのであった。 この話を聞いた時、私はいきなり 心臓を突かれたような思いがしたものである。 --------------------------------------------------------------------- 今、目の前に見えるもの、損得を計算できるものからの発想ではなく、未来 に備え、目に見えないもの、目先の損得だけで計算できないものをしっかり 認識して備えることが大切です。 今後、自分たちは困難な未来に向けてどう備えるか? 大震災、企業倒産、M&A、リストラ、老後破産、年金消滅、大増税等....。 何事も、他人事ではありません。自分の目の前に迫っている現実です。 株式会社リゾーム 代表取締役 中山博光 +---------------------------------------------------------------------+