社長の一言集

第120号 「重い悲しみの見える眼を持とう」

2016/06/20
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重い悲しみの見える眼を持とう
                            2016年120号
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お蔭様で、今回のRHIZOME PRESSで第120号を迎えさせて頂きます。
本当にありがとうございます。

2006年からの10年の間には、リーマン・ショックや東日本大震災、熊本大地震
など、本当に色々な出来事がありました。
しかし、東日本大震災、熊本大地震は過去ではなく、現在も被災者の皆様のご
苦労は続いています。

私たちの周りには、見えるものと見えないものがあります。
肉体・物体・お金・テレビ・新聞・ネットの情報などは見えるもの。
見えないものは、時間・空気・命・心などです。

島根県大田市仁摩町の「仁摩サンドミュージアム」に1トンの砂が1年かけて時
を刻む「世界一の砂時計」があります。
1トンの砂が音もなく巨大な容器に積もっていく様子を見ていると、時は流れ
去るものではなく、人生に積りゆくものと実感させられるそうです。

人は目に見えるものには関心を持ち、意識しコントロールしようと心がけます
が、目に見えないものには、関心を持つ事や、行動を起こすことは少ないよう
な気がします。

しかし、年を重ねると、だんだん見えないものの大切さや、はかなさを感じ始
めるようです。
私自身も今年還暦を迎えますが、ここ数年、身内、知人の訃報に落胆する機会
が増え、今まで生きてきた時間、そして自分に残された時間について、改めて
意識し考えさせられます。

そんな時、過去のメルマガを読み返し、掲載させて頂いた経営者の方々の晩年
の言葉に触れ、新たな気づきを頂くことがあります。

<シャープの創業者 早川徳次氏> 2015年108号
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 私の苦労は宿命のようだった。時代も違っていた。
 私は自分が過去にやってきたことを、いまの人たちに強制しようという
 気持ちはさらさらない。
 ただ苦労に明け暮れたころが、いまとなってみると限りなく楽しい思い出と
 なっているのである。
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想像を絶する幼少期のご苦労、関東大震災での奥様、子供さんとの死別を乗り
越えてのこのお言葉には涙してしまいます。

<オムロン創業者の立石一真氏>『「できません」と云うな。』
(湯谷昇羊著/ダイヤモンド社)
日本電産の創業者永守氏が悩んで相談に来た時の会話より 2009年33号
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 「よう来たなあ。何か悩みがあるんか」
 永守が悩みを打ち明けると
 「何やそんなことか。そんなん悩みやない。私も同じ経験がある。
  高い山に登る時には、川を越え、岩を越え、時には道なき道を
  進まんならん。するとヘビに咬まれたり、野壷に落ちたりする。
  それは川で洗って乾かすしかない」

 永守が失敗した話をすると
 「あのなあ、失敗は島と同じや。わしらの乗っているのは大きな船やない。
  小さなボートや。だからいっきに向こう岸には行かれへん。
  島に寄りながらやないと向こう側には行かれへんのや。
  失敗の基盤が次の発展のタネになる。それでないと成功はない。
  野球だって三打数一安打で名選手なんやろ」

 卸室の蕎麦屋で一真は、倒産の危機に瀕した時の話をした。
 「あのころはここの蕎麦代が払えず、株で払ったんや。家賃も払えん。
  それに妻を亡くしてなあ」
 蕎麦を食べながら一真は涙目で話した。永守は失敗したことを話すと、
 一真も九割がた同じ失敗をしていた。
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失敗は単に失敗ではなく、成功・成長のための試練なのですね。

<本田技術工業の創業者 本田宗一郎氏>  2013年91号
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 悲しみも、喜びも、感動も、落胆も、つねに素直に味わうことが大事だ。
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"悲しみに始まり、落胆に終わる"ところが、心に深く沁みます。

どんな宿命であったとしても、全て必然であり、そこから学び、現実と格闘
し、使命に変えてきた人間の深い時間と、大きな優しさが残されています。

<相田みつを氏>
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 澄んだ眼の底にある
 深い憂いのわかる人間になろう
 重い悲しみの見える眼を持とう
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今後の人生、いつなんどきも、素直に、深く、物や事を見ることが出来るよう
に成長できたらと願います。

今後とも引き続き、ご愛顧、ご指導の程よろしくお願い申し上げます。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光
                       
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