社長の一言集

第121号 「人物をみる八観法」

2016/07/15
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人物をみる八観法
                            2016年121号
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ここ数か月の間にセブン&アイHDの鈴木敏文会長、ソフトバンクグループの
ニケシュ・アローラ副社長など、突然の退任発表が続きました。
凡人には想像すら出来ない課題と意味を含んだ大企業の人事報道です。

あらゆる意思決定の中で、トップ・幹部人事ほど重要なものはありません。
人間性、能力、実績、将来性等を見極め、決断するわけですが、どんな企業
でも、実際は困難を極めているのが実情ではないでしょうか。
ドラッカー氏もトップ人事はギャンブルだと「ドラッカー 365の金言」の
著書で述べています。

大塚家具のように、信頼すべき親子の間にも経営方針の違いから亀裂が生じ、
会社の評価・業績を大幅に低迷させてしまった事例もあります。

人物の評価について陽明学者であり思想家の安岡正篤氏の゛八観法゛という
教えがあります。

「人物をみる八観法」 『安岡正篤 一日一言』(致知出版社刊)より
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 一、通ずれば其の礼する所を観る
    すらすらうまく行き出した時に、どういうものを尊重するかを観る。

 一、貴(たか)ければ其の進むる所を観る
    地位が上がるにつれ、其の登用する人間を見て人物が分かる。

 一、富めば其の養う所を観る
   金ができると何を養い出すか。

 一、聴けば其の行う所を観る
   善いことを聞いたら、それを実行するかどうかを観る。

 一、習えば其の言う所を観る
   習熟すればその人間の言うところを観る。

 一、止(いた)れば其の好む所を観る
   この「止」は板につくという意味。
     一人前に仕事ができるようになると、何を好むか。

 一、窮すれば其の受けざる所を観る
   貧乏したときに何を受けないかを観る。

 一、賤なれば其の為さざる所を観る
   人間落ちぶれると何をするかわからない。だから為さない所を観る。
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人物の真価については、色々な場面を観ての判断となります。
そして、困難な人事判断の繰り返しの中で、自らの仕事観、人間観、人生観に
ついても学び続けることが必要です。

松下幸之助翁の言葉
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 ぼくは、会社というもの、あるいは社会というものは、
 人間なり人生について教わる学校だと考えてみたらどうかと思うのです。
 この学校にはいろいろな人間がいて、さまざまな人間模様がくり広げられて
 いる。
 学ばなければならないことは無限にある。
 そう考えれば、人生を学び人生を探求するために、
 何にでも進んで取り組もう、吸収していこう
 そういう意欲も湧いて、日々楽しさも生まれてくるのではないでしょうか。
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人を否定せず、自分が学び成長することにより「人を活かす天道の経営」を貫
いた、松下幸之助翁の考え方です。

どんな時代であろうと、会社は働く人の学びと成長の場であり、幸せ実現の場
でなければと思います。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光
                       
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