社長の一言集

第113号 「あしたのために、いまやろう。」

2015/10/30
----------------------------------------------------------------------
あしたのために、いまやろう。
                             2015年113号
----------------------------------------------------------------------
今から9年前の2006年に、ソフトバンクグループが1兆7,500億円でボーダ
フォンを買収しました。
ソフトバンクモバイル(株)として新たな店舗展開を始めた時、
私は店頭看板のデザインのシンプルさを不思議に思いました。
白地に黒の文字、銀の二本線と、とにかく地味で目立たなかったのです。
ソフトバンクらしくない....。ずっとそれが頭に残っていました。

先日、ある書籍を読んだ時に、やっとその謎が解けました。

ソフトバンクの社長室長を務められた三木雄信氏の著書
『ソフトバンクで孫社長に学んだ夢を「10倍速」で実現する方法』PHP研究所
---------------------------------------------------------------------
 孫社長はiPhoneの交渉をスタートするずっと以前から、
 アップルと組むことを視野に入れてさまざまな下準備をしていました。
 (中略)
 覚えている人もいるかもしれませんが、かつてのソフトバンクの会社の
 ロゴには、黄色の二本線が入っていました。
 しかし現在は、白地に銀色の二本線が入っています。
 なぜ変えたのかというと、銀色はiPodのイメージカラーだったから。
 孫社長は、このカラーリングをそのまま自分の会社に取り入れたのです。
 それだけでなく、ソフトバンクモバイルの店舗も白を基調としたデザイン
 で統一しました。
 これはもちろん、アップルストアのデザインに強く影響を受けてのこと
 です。
 こうして孫社長は、「私たちはアップルをこれほどまでにリスペクトして
 います」と相手に伝える材料にしたのです。
 会社のイメージカラーを変えるというのは、経営者にとってかなり大きな
 決断です。
 スティーブ・ジョブスも同じ経営者として孫社長の本気度を感じ取ったの
 でしょう。
 このエピソードからわかるのは、孫社長は決して交渉の場だけで勝負して
 いるわけではないということです。
 会社のロゴを変えたのは、iPhoneの独占販売についてアップルと合意した
 事を発表する二年も前の事です。
 おそらくその頃から、いつかアップルと組むことを視野に入れていたので
 しょう。
----------------------------------------------------------------------------
時代の変化を読み取り、未来に備え万全の準備をしておくことは大変重要な
事です。
しかし、目まぐるしく進化する未知なる時代に、どの分野に集中・特化すべきか?
誰と組むのか?  どのような準備、投資をすすめるか? 
これは、とても難しい経営判断です。

その難しい判断の根底にあるものは、やはり「経営理念」ではないでしょうか。
経営理念がない会社は、損か得かが意思決定における判断基準の全てとなって
しまいます。
そこからは、独自性やチャレンジ精神に溢れた新しい商品・サービスモデルは
生まれてきません。

----------------------------------------------------------------------------
 誰でも考えることは同じで喜一郎が天才であったわけでもない。
 大切なのは〝一般的〟にはできないと思われることを単に考えるだけでなく、
 なんとしてでもやらなければという強い信念を持って十分な準備を行い
 実行したということである。                    
         トヨタ自動車(株)名誉会長 豊田英二氏 『トヨタ経営語録』より
----------------------------------------------------------------------------
豊田喜一郎氏の信念を引き継いだトヨタ自動車(株)は1997年から環境対応の
エコプロジェクトを立ち上げ、「あしたのために、いまやろう。」という
素晴らしいスローガンで、未来の車づくりをすすめています。

いつの時代も未来を信じ、目標へ向かって「自らの道を貫く志と始めるスピー
ド」が勝ち残る企業の条件だと思います。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

+-------------------------------------------------------------------------+