社長の一言集

第114号 「尖ったものは丸くなる」

2015/12/01
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尖ったものは丸くなる
                             2015年114号
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最近、認知症をテーマとしたTV番組が増えてきました。
私も、80歳を過ぎた義父母と同居していますので、他人事と思えず、つい番組に
見入ってしまいます。

暗い番組が多い中、「日本認知症ワーキンググループ」共同代表の佐藤雅彦さん
(61)のドキュメンタリー番組には、とても共感を覚えました。
佐藤さんご本人が若年性認知症患者なのですが、ご自身の認知症としての生き方
についてのお話を「認知症とともに、よりよく生きる」というテーマで講演され
ています。

佐藤さんは認知症の物忘れ対策として、Googleカレンダーに予定を入れ、出かけ
る時間を忘れないようにしたり、移動先での会話のメモ、風景写真等を携帯電話
に残し、忘れてもすぐに読み返せるよう色々な工夫をされていました。
認知症という現実から逃げることは出来ません。しかし、常に「だからどうす
る。」という生き方です。
厳しい認知症生活から、身近な携帯電話という「便利」ツールを使い、認知症
とともに生きる喜びを得られた事は素晴らしいことだと思いました。

話は変わってしまいますが、流通業では色々な「便利」が、マーケットを席巻し
ています。
その「便利」のキーワードは「ワンストップ」や「ワンクリック」等です。

セブンイレブンは「近くて便利」のキャッチコピーで、コーヒーやドーナッツな
どの品揃えを強化し、宅配の受け取りや、ATM、公共料金の振込みなど様々な
サービスが利用できる「ワンストップ」戦略を強化しています。

Amazonは、圧倒的な品揃えと、購入のし易さ「ワンクリック」で既存の小売店の
存在そのものを脅かしはじめています。
又、「当日お急ぎ便」の投入等で益々「便利」が加速しています。

お客様の「便利性」の評価を勝ち得ると、別の商品、サービスをどんどん投入す
ることが出来るようになります。両社の成長、拡大により業界のマーケットの寡
占化が更に加速する状況です。

「会社の老化は止められない」細谷功氏著 亜紀書房より
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 川の石は源流となる山の上流では尖ってごつごつしているが、下流に行くに
 したがい、あるいは同じ場所でも長年水に流され、洗われ、風化されること
 でどんどん丸くなっていく。
 ここでのポイントもやはり「不可逆」ということで、尖った石が丸くなること
 はあっても、丸い石が年月を経た後に尖ってくることはない。

 人材についても同様のことがいえる。これは個人レベルと集団レベルの両方に
 関していえる。
 まず、個人レベルでは若いときには「尖って」周囲の人間と衝突していたの
 が、年ともに「丸く」なっていく人間は多いだろう。若いうちに温和だった人
 が年配になってから攻撃的な性格に変わる場合もあるが、逆に比べればはるか
 に少ない。

 同様のことが集団レベルでも起こる。
 ここではカルチャーを考察の対象とする。ベンチャー企業は、主に創業者や
 少数の創業メンバーの性格を反映して「尖った」カルチャーを持っているが、
 成長とともにそれは良くも悪くも「丸く」なっていく。そして成熟した大企業
 となれば、どこも似たり寄ったりで特徴がなくなっていく。
 伝統的大企業の「みんな同じ」度には驚くものがある。日本の場合はいまだ
 「純潔主義」が色濃く残っているので、終身雇用のまま社会人生活を終えてい
 く人が少なくない。
 その場合、一社しか知らないわけだが、そういう人ほど「うちの会社は特殊で
 ある」と思っている・・・・・というところまで「どこも一緒」なのである。
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危機感の欠如、マンネリ、硬直化する組織の結末は自滅です。
そのような組織は、外部より内部の事に気を取られ、未来よりも今の事(目先)に
目が奪われ、リスクより安定を優先します。
あの企業が?という大きくて歴史のある会社が今まで多く倒産してきましたが、
倒産するまでほとんどの社員がそんな事態になると本気で考えていなかったよう
です。

2006年NBC出演のジョブスのメッセージより
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 何かをして、
 それがとても上手くいったとする。
 そしたら、
 何か別の素晴らしいことを始めるべきだ。
 あまり長くそこに留まっていちゃいけない。
 次を探すんだ。
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経営も人生も、一生懸命に「時代と己の変化に挑戦すること」が大事ですね。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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次回のリゾームプレスから、毎月中旬の配信となります。
そのため、このメルマガが今年最後の配信となります。
少し早いご挨拶ですが、今年一年本当にありがとうございました。
皆様のご健康と、新しい年のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

年末になると、いつも読み返す実話を掲載した過去のメルマガがあります。
困難を縁として受け止め、それを活かす事を思い出させてくれるお話です。
よろしかったら、是非ご一読下さい。

「志が縁をつくり、感謝が縁を活かす」(RHIZOME PRESS〔Vol.026〕)
 http://www.rhizome-e.com/topics/hitokoto/hitokoto026.html

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