社長の一言集

第112号 「人、遠き慮(おもんぱか)りなければ、必ず近き憂いあり」

2015/09/30
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人、遠き慮(おもんぱか)りなければ、必ず近き憂いあり
                             2015年112号
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『論語』に「人、遠き慮りなければ、必ず近き憂いあり」という
有名な言葉があります。
将来を思い、将来がどうなるかを考え、今、何をすべきかを常に考えておかな
いと、必ず身近に問題が起きると孔子は語っています。

経営の神様と言われた、松下幸之助翁が昭和30年代に、既に5年以上も研究
投資を重ねていた大型コンピュータ事業の進出計画を中止した際の判断が、
「将来的に、家電の総合メーカーがやるより、2.3の専門メーカーがやる方が
日本の電算機事業の発展のために良い」という理由でした。
その時の撤退の指示が、「君、先を読んでから、今どうするかを考えや。」
だったそうです。

セブン&アイHDは9月18日、傘下の㈱イトーヨーカ堂について、2020年2月期
までに、全体の約2割に当たる40店を閉鎖する方針を発表しました。
不採算店や老朽店を中心に、売却や統廃合を進め、収益改善を図る目的です。
手堅い出店を続けてきたイトーヨーカ堂で2割ですから、今後、他の量販、SCの
閉鎖はかなりの数が予測されます。

更に閉鎖の流れは、専門店でも始まっています。
今年7月に㈱ワールドが、全社員の4分の1、約500人の大規模人員削減に踏み切る
発表をおこないました。
4月に創業家以外で初めて㈱ワールドのトップに就いた上山健二社長は、
2016年3月期中に全店舗の約15%の400〜500店舗の閉鎖、現在約90ブランドの内
10〜15のブランドを廃止することを決定しました。
閉鎖は赤字の店舗だけでなく、利益が出ていても収益性の低い店舗も対象です。

しかしこの状況は少子高齢化、人口減少、円安等だけの原因ではなさそうです。
厳しい環境の中でも、積極的な出店や、新しいビジネスモデルに取り組む企業も
あります。

今年5月時点で300店のドンキホーテHDは、独自の店づくりのノウハウを活かし、
全国で立地や商圏規模に合わせ、300㎡〜10,000㎡対応の店舗フォーマットによ
る出店で、2020年にはグループで、200店舗増の500店舗を目指すと発表しています。

ファッションメーカーで「earth music&ecology」等を展開する㈱クロスカンパ
ニーは、9月16日に月額5800円で同社のファッションアイテムが借り放題となる
レンタルサービス「メチャカリ」の開始を発表しました。
レンタル後に返却された商品は、クロスカンパニーのECサイト「クロスカンパ
ニーコレクション」で、USED商品として販売するという新しいビジネスモデルです。
もう、これは従来のファッションメーカーの発想ではないですね。

ドラッガーの言葉より
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進行性の病は先延ばしにしても治らない 
思い切った措置が必要である
目標の達成と急速な成長には、事業の定義の見直しが不可欠である
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外部環境の変化は、どの企業にも同じ条件ですが、その企業が将来ビジョンに基
づき時代の変化を読み取り、どのように適応・進化していくのかが、成長の大き
な差になっているようです。

人も会社も、将来を見据え、果敢に挑戦しない限り成長はありません。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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