社長の一言集

第111号 「最高の処世術は、妥協することなしに、適応することである。」

2015/08/31
----------------------------------------------------------------------
最高の処世術は、妥協することなしに、適応することである。
                                                        2015年111号
----------------------------------------------------------------------
25年以上も昔、関東地方のあるお客様のご依頼で、大規模な消費購買調査を
実施したことがあります。
数千件の回答者のご意見の中に「私の家から近くのコンビニまで歩いて10分も
時間がかかるので、もっと近くにコンビニをつくって欲しい」という要望が
明記されていました。
その時は、正直「随分わがままな意見だな。」と感じた事を今でも覚えています。

しかし現在は、都心・住宅街だと隣接するようにコンビニが存在し、小型の
ディスカウントストア、宅配サービス、巡回ストアまで登場しています。
最近では楽天㈱が、都内の4区で最短20分からお届け可能という即時配送
サービスまで開始しました。

お客様は新しい商品、サービスを経験することにより、更なる欲求を
生み出します。
これは決してわがままではなく、不変の原則だったのです。

更に技術進歩、情報環境の進化により、今までの固定概念、常識を超えた
商品づくり、新サービスが次々と生まれています。

片方善治先生の著書「続・経営の着眼点」(マネジメント社)より
-----------------------------------------------------------------------
 大いなる転換の時代、それが現代である。
 もとより、万物は流転するこの世の中ではあるが、この転換期にあっては、
 万物の流転は目を奪うばかりの激しさだ。

 このような時代における企業の思考と行動が、
 これまでと同じであってよいのか、
 生き残りの戦略とその展開に期待が出来るのか。

 いま新しい゛力゛が問われている。
 第一にいくつかの仕事を同時に片づけることができる゛多重処理力゛、
 第二にチームを組んで集中的に事態を打開する゛協働打開力゛、
 第三に複雑な問題に素早く解決策を示す゛問題解決力゛である。
 企業はこの三つの゛力゛で、転換期の流れに棹をささねばなるまい。

 では、どこから、どのようにして、この゛力゛を得るのか。
 われわれには、二つの目が備わっているが、この二つの目でものごとを
 見るのではなく、二つの目をさらに複眼として働かせて見ること、
 複眼で見たことを反復熟慮すること、それに従って現実処理をすること。
 このことを私は複眼的発想と言っている。

 もちろん人間の目は複眼として機能することはないだろう。
 しかし、この転換の時代に行くべき道を探すためには、複眼的発想が
 ぜひとも必要なのである。
 道が見つかれば、その道の行き方、進み方を考えなければならない。
 この時もまた複眼的に考え、行動することだ。

 生き残るための゛力゛----多重処理力、協働打開力、問題解決力----は、
 創造力という名の゛力゛でもある。
-----------------------------------------------------------------------
システム工学の第一人者である片方先生は、なんと昭和55年の高度成長期に
この文章を残されています。
経営の本質的な考え方は35年の時を経ても色あせたり、変わる事はありません。

片方先生が述べられている複眼とは、多面的に見るという意味ではなく、
過去に縛られずに見る、従来の常識・固定概念に囚われずに見る、
日本だけではなく世界視点で見る、さまざまな立場の視点で見る
という事ではないでしょうか。 

そして、複眼的発想力がある人材は
「常に自分の仕事に好奇心を持って、新しい事に前向きに挑戦出来る人」です。
私たちは、めまぐるしい変化に妥協することなく、創造力を発揮して
勝ち残らなければいけません。

ドイツの哲学者「ゲオルク・ジンメル」の言葉より
-----------------------------------------------------------------------
最高の処世術は、妥協することなしに、適応することである。      
-----------------------------------------------------------------------

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

+-------------------------------------------------------------------------+