社長の一言集

第109号 「みんなが賛成することはたいてい失敗し、反対されることはなぜか成功する。」

2015/06/30
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みんなが賛成することはたいてい失敗し、反対されることはなぜか成功する。
                                                       2015年109号
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今月4日、日本創成会議首都圏問題検討分科会から「東京圏高齢化危機回避
戦略」が発表されました。
2020年以降、東京圏では高齢化率が26%を超え、急激な高齢化局面に突入する
という報告です。
特に、団塊の世代を中心とした75歳以上の後期高齢者の増加が著しく、
日本全体で後期高齢者は2015年の1646万人から、2025年には2179万人へと
533万人増大するそうです。(※この数は北海道の人口540万人相当数です。)
このうち、東京圏は2015年の397万人が2025年には572万人へと、175万人増加
することが見込まれますので、東京圏の増加数は全国の増加数の実に1/3を
占めることになります。
貧困老人や独居老人も年々増加傾向を示していますので事態は更に深刻です。

それと連動して、東京圏の入院需要が今後10年で20%、介護需要が50%も増える
予測です。それは、深刻化な医療体制(施設・人材)不足への警告でもあります。
東京都では、既に介護分野の有効求人倍率が4.06倍を超え、飲食、サービス、
流通業等との人材の争奪戦となっています。

㈱セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文CEOは、セブン-イレブン40周年
式典において、「社会変化がわれわれの業態が拡大するのには大変なプラスに
なった」と述べた上で「これからは人口減少、老齢化、少子化の変化に踏み込
んで、過去とは異なる成長を演出していかなければいけない」と強調しました。
その後も、さまざまな挑戦を続けられています。

鈴木敏文氏の著書「売る力」(文春文庫)より
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 新しいことに挑戦しようとすると、なぜ周囲の反対にあうのか。
 「ストーリーとしての競争戦略」というご著書がベストセラーになった
 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建さんと対談させて
 いただいたとき、その理由を次のように的確に説明されていました。

  教科書では「戦略とは人と違うことをやること」とあるのですが、
  しかし人と違っていても、儲からないのでは意味がありません。
  ですから、正しくいえば、「人と違った儲かることをやりなさい」
  ということになりますが「儲かるいいこと」だとすぐにわかること
  だったら、とっくに別の誰かが思いついているはずです。
  あるいは、まだ誰も思いついていなかったとしても、すぐに「いい」と
  わかることだったら、みんながその事業に参入してきて、追いつかれて
  しまいます。

  そう考えると、本当に新しい産業を生み出すイノベーターが出てきた場合、
  その人が始めようとしていることは、多くの人からはすぐに、「儲かる
  いいこと」とは受け止められないのではないかと思います。
  鈴木さんがセブン-イレブンを始めた時が、まさにそうだったのですね。

 経験的に「いい」と思われることはみんながやるから、競合になってしまい
 ますます厳しい状況になる。
 みんなが「いい」と思うことなどやる必要がなくて、むしろ、「そんなの
 だめだろう」と思うようなことに意味がある。
 みんなが賛成することはたいてい失敗し、反対されることはなぜか成功する。
 それは私の経験に限ったことではないようで、これまでお会いした方々も
 同様の経験をお持ちのようでした。
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㈱セブン&アイ・ホールディングスの2015年2月期決算では売り上げが10兆円
(106.6%)を超えました。   ※( )内前期比、以下同様
連結営業利益3,433億円(101.1%)の内、収益の柱であるコンビニ事業の営業利益
2,767億円(107.5%)、金融関連事業471億円(105.1%)で営業利益の94%を占めて
います。

イオン㈱は2015年2月期決算では売り上げが7兆円(110.7%)を超えました。
営業利益は1,413億円で(82.5%)です。
内訳は総合金融事業 530億円(129.6%)、ディベロッパー事業432億円(99.8%)、
サービス・専門店事業245億円(105.2%)の三事業で営業利益の85%を占めて
います。
両社とも、金融事業が大きな成長の柱となっていますが、本業であった
GMS事業では両社ともなかなか利益が出せず、苦戦を強いられています。

人口減少、老齢化、少子化が進む中、
「近くて便利」 セブンさんのコンビニ戦略、
「大黒柱に車をつけろ」 イオンさんのディベロッパー戦略は、更なる進化を
求められます。

江戸時代の陽明学者「中江藤樹」の言葉より
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 「悔やむなよ ありし昔は 是非もなし ひたすら正せ 当下一念」
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                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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