社長の一言集

第165号「リーダーシップの神髄」

2020/04/28

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「リーダーシップの神髄」
                            2020年165号
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新型コロナウイルスは、私たちの想像以上の規模とスピードで、負の連鎖を世界中に撒き散らしています。

コロナウイルスそのものより、経済危機、常軌を逸した秩序と理性の崩壊が一番恐ろしいです。

こうした危機的状況下では、リーダーシップを発揮できる指導者が存在しているかどうかで、その組織・集団の運命が決まります。

致知『特集 リーダーシップの神髄』(致知出版社,2016年1月号巻頭)
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そこにどういう人がいるか。
大は国家から小は家庭に至るまで、複数の人間からなる集団は、
それがどのような組織であれ、そこにどういう人がいるかで決まる。
リーダーシップのあり方、その神髄が問われる所以である。

神髄とは奥義のこと。辞書にそうある。
本誌もリーダーシップにいて度々取り上げてきたが、
では、その奥義とは何だろうか。

まず第一は、リーダーは方向を示す人でなければならない。
理想、夢を掲げることができる人、とも言える。
目指すものを持たない組織に発展はない。
リーダーは理想、夢を熱く語れる人でありたい。

第二は、人生には様々なことが起こる。
自分の手に余るような想定外のことも起こる。
リーダーは何が起ころうと倒れない、へこたれない人でありたい。

その人望を高く評価されていた
住友生命の新井正明氏が言われたことを思い出す。

「人は窮地に立つと、逃げるか、ごまかすか、
あるいは病気になるか。
そのいずれかを辿る人が多いが、追い詰められた時に、
その人の本当の値打ちが分かる」

本誌十月号でも渡部昇一氏が同じことを言われている。
頭がよく、人柄がよくても、ガッツのない人はリーダーたり得ない、と。
ガッツこそ、あらゆる条件に先立つリーダーの神髄といえる。

第三は、「君子、未萌に見る」。
まだ事が起こらない前に、その前兆を察知して手を打っていく。
時代の流れを読むことも、リーダーに欠かせない資質である。

第四は、「君子、時中す」。
「中」には「当たる」の意がある。
「時中」は時に当たって、その時に適ったことをすること。
また、「中」には「結ぶ」の意もある。
相矛盾するものを結んで、より高いものを創造することである。

まだ事が起こらない前に予兆を察知し、
それに相応しい手を打ち、新たな価値を創っていく。
リーダーに不可欠な資質であろう。

これに付随して明代の哲人、呂新吾にこういう言葉がある。
「福を無形に造り、禍を未然に消す」

人の知らない間に福を造り、それが起こる前に禍を防いでおく。
リーダーシップのあるべき姿を示してこれ以上の言葉はない。

第五は、私心がないこと。
組織のことより自分の都合が先立つような人はリーダーたり得ない。
言い換えれば、リーダーは集団のために
損な役回りを引き受けられる人でなければならない。

以前、稲盛和夫氏(京セラ創業者)の言われたことが焼き付いている。
会社は無機質の生命体。会社が自分からこうしてほしいと言うことはない。
何も言わない会社に代わり、会社はどうしてほしいと思っているのかを考える。
それが経営者である、と。

最後に、これらに先駆けて大事な条件がある。
それは「真摯さ」である。

ドラッガーは、リーダーにはマネジメント能力や先見性など
幾つもの能力が求められるが、
リーダーが絶対に持っていなければならない資質として、
真摯さを挙げている。

真摯さとは真剣で誠実であるということ。
先に挙げた五項目は、真摯さがあってこそ光を放つ。
そして、この真摯さの一貫持続こそが、その人の徳望の基になる。
徳望こそがリーダーシップの神髄の至高である。

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私たちは、2011年の東日本大震災の時も、激しい余震が続き、最悪の原発事故を抱え、まったく出口が見えない時期がありました。

その時に、現場を必死に支え、鼓舞し続けた素晴らしいリーダーの皆さん方のお陰で、今日を迎えることが出来ています。

置かれている状況や規模も、当時とはまったく違いますが、どんな逆境、試練でも「きっと、乗り越えられる!」という決意が不可欠です。

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社長の一言 2011年3月 第58号「三つの縁」より

私は、これからは第二の津波(経済・社会環境の激変)が、
更に押し寄せて来ると思います。

こんな波が来るから、こっちへ舵を切って全力で乗り越えろ!
というリーダーの、必死のメッセージが必要だと思います。
状況を冷静に捉え、果敢に危機に取り組むリーダーがいない組織は崩壊します。

出来る限りの情報を集めて、最悪の事を想定して、未来への布石を
きちんと打っておく事に全神経と、時間を集中させる。
大きな危機の訪れを、社員さんに知らせて、お客様のためにも、
全力で大きな波に備える事を、最優先で取り組む事が今、必要だと思います。

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まさに、「世紀の一大事」です。

この逆境を、尊い試練として全てを鍛え直す大きな節目に出来たらと願います。

  

                        

株式会社リゾーム

代表取締役 中山博光