社長の一言集
第166号「当たり前の日常が、本当に有難い。」
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「当たり前の日常が、本当に有難い。」
2020年166号
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数年前の冬、晴れ間の日差しが温かい日曜の午後の思い出です。
急ぎの資料づくりのため、近所の図書館の二階の自習机でPCを広げていると、窓から、図書館に隣接している公園の人の動きが、目に留まりました。
30代の夫婦らしき男女が手をつなぎ、公園の広場をゆっくり横切っています。
小学生くらいの男の子が、元気に夫婦のまわりを走り回っています。
やれやれ、人前で手をつないで、仲良く散歩か...。 と思った瞬間、夫の歩き方のぎこちなさに、ハっとしました。
妻が寄り添いながら、盲目の夫の手を引いていたのです。
あまりにも、二人の穏やかな光景に、その状況を見落としていたのです。
更によく見ると、妻が夫の耳元で、我が子の元気に走り回る様子を、話しているようです。
盲目の夫は、元気に走り回る我が子の声に耳を澄まし、静かに笑みを浮かべていました。
その後、広場の端にある、古い鉄棒で、盲目の父親は勢いよく逆上がりをして、下から見上げている子供と妻にやさしく何か声をかけていました。
その時の三人の姿が、私には少し輝いて見えたのです。
ただ、それだけの出来事です。なぜかその時の風景が今も私の中に残っていました。
「ありがとう」の反対語は? 新卒の会社説明会で参加者の学生さんに質問します。
「ごめんなさい」、「すいません」がほとんどの学生さんの答えです。
間違ってはいません、これが正解だという答などなくていいと思います。
それぞれが、生きてきた中で見つけた自分の答えでいいと思います。
「ありがとう」の反対語は「当たり前」、それが私の答えでした。
昨年の今頃、
カープが大好きで、試合結果とルーキーの活躍が翌朝の挨拶代わりだった。
新入社員の初々しい姿が街にあふれていた。
公園で遊ぶ沢山の子供達の笑顔がまぶしかった。
会社の近くの居酒屋で、仕事終わりに社員みんなと盃を交わした。
近所のスナックで、知り合いの常連さんとカラオケを一緒に歌った。
コロナ感染の「緊急事態宣言」が発令され、日常の「当たり前」の風景が街から消えました。
「しばらくの間、休業します。」の張り紙が街にあふれています。
あの冬の、三人のご家族を含め、体のご不自由な方々のコロナ感染対策は、どのようにされているのでしょう?
ご苦労されているのではないかと気になります。
「当たり前」がこんなに「ありがたい」とは。
「当たり前」が、こんなに「有難いこと」だったとは。
今まで、気づかなかった「有難い」が日常に溢れていたことに気づかされました。
「当たり前の日常が、本当に有難い。」 と、改めて思います。
コロナウイルス感染でさまざまな制約がある中、有難い取り組み事例がありましたので、ご紹介させて頂きます。
私の地元、広島県福山市のスーパーのエブリイさんは、コロナウイルス感染拡大で客数が減った飲食店さんを支援するために、地元の飲食店さんがつくった弁当をエブリさんの店舗で販売する取り組みをはじめました。
日頃、食材の仕入れで、自店をご利用いただいている飲食店さんの厳しい状況に、何かお手伝いが出来ないか、という恩返しとありがとうの気持ちでのお取り組みです。
飲食店さんの営業自粛の中、このような取り組みは是非、他でも拡げてほしいですね。
鳥取県中部の倉吉市の「エリア9」というバッティングセンターさんの事例です。
リゾームの新事業で準備を進めているスポーツセンター計画で、色々お世話になっている、まだ創業して2年目の会社さんです。
4月から児童発達支援、放課後デイサービスの「SWITCHES(スイッチーズ)」という事業を、バッティングセンター施設内で立ち上げられました。
子供向け英語教室や、夏休み教室等、地元のための取り組みも以前からされています。
https://www.facebook.com/baseballgym.area9/
いずれも、「それも又よし、陽転発想」「世のため、人のため」の志を持った企業だからこそ生み出せた、コロナ感染でお困りの方にとって本当に有難い取り組みだと思います。
明治時代の俳人、正岡子規の病床で最後に残した随筆集「病床六尺」の中の好きな言葉です。
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余は今まで禅宗のいわゆる悟りといふ事を誤解して居た。
悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違いで、
悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった。
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今の世の中、平気でなくても、平気で生き抜く胆力が必要です。
凡人には、悟ることは大変困難ですが、どんな時でも平常心を保ち、未来を信じて生きていく覚悟と、行動が必要です。
株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光