社長の一言集

第156号 「100年人生の醍醐味」

2019/07/29

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「100年人生の醍醐味」
                            2019年156号
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最近、高齢者ドライバーの暴走事故、老後2,000万円問題等、人生100年時代の

深刻な課題や、数々の矛盾が表面化しています。

中国の宋時代に、朱新仲という人物が、より良い人生を生きる為には、

五つの計(はかりごと)が必要であると説いています。


 一、生計=いかに生くべきかという本質的な生き方について 
 二、身計=社会生活、仕事の中での自分の身の処し方について 
 三、家計=夫婦関係、親子関係をどう築き、維持していくかについて
 四、老計=いかに年を取り、老いたる者の価値をどう活かしてゆくかについて 
 五、死計=生死を超越した生き方・死に方について

五計が説かれた時代は、日本では約1000年前の平安時代の後期ですが、

朱新仲が残した人生の五計は、そのまま現在にも通用します。

人生の節目節目に訪れる課題やリスクを認識し、その本質を理解した中で、

打ち手を考え、備えて(計)おくことの大切さは、1000年昔も、今もまったく同じです。

但し、昔は年金も国の保証もない時代ですから、「老計」・「死計」も含め、

全て自分で考え、自分で備え、必死に対処するしかなかったはずです。

備えとは、最悪の状態(ショック)を想定して、「どうしたらそれを回避できるのか」、

「もしその状態になったらどう対応しなければならないのか」を想定し、

事前にしっかり手を打っておく事です。

更に、2016年126号のメルマガで掲載させて頂いた、当時欧州中央銀行(ECB)

第2代総裁ジャン=クロード・トリシェ氏の言葉の中には、備えが通用しなかった時の心構え、

活かし方について述べられています。

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 若者たちへの伝言が3つある。

 第1に
 列挙したような驚くべき変化に備えよう。
 人生に全く予期しない転換が来る。
 特に地政学や科学、技術、社会構造などだ。

 第2に
 世界の格段に速い変化を予期することだ。
 情報技術や人工知能は急激に進化する。
 グローバル化で新興国の成長はさらに速まるだろう。
 世界の勢力図はそれゆえにもっと劇的に変わる。

 第3に
 3つの素養を磨いてほしい。
 逃れられないショックが起きた時の十分な復元力、
 さらに新たな仕事や社会の条件に対する柔軟性、
 さらに新しい変化を好機に変える創造性と素早さだ。
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ジャン=クロード・トリシェ氏の3年前のこの伝言は、今、読み返してみても、

正に今の時代を予見したメッセージだと思いますし、私たちへの貴重なアドバイスだと

実感します。

GAFAや、特定の覇権国による支配社会の到来、今後起こるかもしれない財政・金融破綻、

超高齢化問題等、今まで人類が経験したことのない尋常ではない社会の到来は、

私たちにどのような状況をもたらすのでしょうか?

たとえ、どのような状況であったとしても、ジャン=クロード・トリシェ氏の

第3の伝言のように、それを素直に受け止め、自らが人生で培ってきた創造性を発揮し、

好機に変えていくことが必要です。

老いも決してマイナスばかりではありません。
人間としての素養を磨き上げた素晴らし人物も沢山いらっしゃいます。

人は人生で得た貴重な知見や体験を活かして、世の中に貢献し、死ぬまで成長を

続けられると思います。

それこそが100年人生の真の醍醐味、目的ではないでしょうか。

100年人生の議論は、年金や2000万円問題だけではなく、選挙権のない子や孫たちの

未来づくりについても、しっかりおこなってほしいものです。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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