社長の一言集

第155号 「理念を掲げ、過去に囚われず。」

2019/06/26

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「理念を掲げ、過去に囚われず。」
                            2019年155号
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政治の混乱、社会構造の変化、ITの目覚ましい進化は、不確実で、理不尽な
時代の本格的な到来を感じます。

株式会社日立製作所取締役会長兼執行役で経団連会長の中西宏明氏の、
気になる記事がありましたのでご紹介させて頂きます。

日本経済新聞 2019年5月3日 『変化を受け止め、次の革新』
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 平成の約30年はものすごく変化が大きかった。
 冷戦が終結し、国際秩序を主導する存在がいない「Gゼロ」の世界になった。
 日本は働けば豊かになる時代が終わり、お金を持っている人も金利では稼げず、
 リスクをとらないとリターンが得られなくなった。

 電機業界も激動だった。
 良いモノを作れば売れるという価値観が通じなくなり、大赤字になった事業
 が次々と消えた。
 特に半導体の製造は他国にも可能になり、市場構造ががらがらと変わった。
 社会や文化の基盤が変わり、過去に固執したらロクなことがない。
 そこに気がついた人と気づかなかった人がいた。

 デジタル活用へ
 日本は社会基盤が変化するというデジタル革新の本質を受け止めきれないまま、
 ここまできてしまった。
 いまこそ変化を受け止め、先端技術で課題を解決する社会を目指すべきだ。
 経団連が2018年11月に示した成長戦略はこの変化を受け止めようという内容だ。

 いかに知恵でメシを食うか。日本は世界のなかで決して悪いポジションに
 いるわけではないが、高度成長という世界でもまれな成功体験があるので、
 なかなか変われない。
 いったんご破算にしたほうがいい。採用の問題も教育の問題もそうだ。

 教育では科学技術、工学、数学だけでなく、芸術も融合した「STEAM教育」が
 重要になる。
 デザインという言葉があるが、うまく人をコーディネートして新しい文化をつくるような
 仕事の組み立て方が注目される。
 日本には、これをお手本にすれば食べていけるという産業がない。
 ちがう発想で考えないといけない。産業政策も今あるものを守る発想は全部やめ
 たほうがいい。
 次に挑戦する分野をどのように創っていくかという発想に立たないと、ずるずる後退
 していく。

 科学技術をうまく使ったイノベーション(革新) は大きなヒントだ。
 消費者の需要を引き出すことが、そのもとになる。新しい商機をつくる責任は民間が
 負う。
 環境を整えるのが政府の役割だ。

 新時代を見通したとき、懸念するのはエネルギーの問題だ。
 かつての電力会社は電力債の発行で得た資金で投資し(総括原価方式で)確実に
 回収できた。
 いまは将来を十分に見通せないため、15年間も投資が停滞している。
 電力会社に投資能力がないのに他の会社が入ってくる環境もない。

 競争力の危機
 経験から言えば、15年間も投資しなかった産業部門は国際競争力をなくす。
 経済は投資して回収するというお金が回る仕掛けのなかで技術が発展して
 資本が蓄積する。
 この仕組みが壊れている。
 民間の投資を呼び込むため、インセンティブをつけてグリーンエネルギーに転換す
 る総合的なシナリオを作り直すべきだ。
 再生エネルギーを普及させるには、発電した電気をどう運び、どう蓄えるかという
 全体を設計しないといけない。
 送配電網もデジタル技術で次世代化する投資が要る。

 原発ももっと長い目でみた議論をすべきだ。
 化石燃料を使いきったあと、原子力以外に生活や工業を支えるエネルギーはない。
 日本は変わらなければならない。
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同じ時代に生きていても、人それぞれで意識、知識、見識の違いで、生き方に
大きな差が出ます。
会社経営も同様で、ビジョン、理念、コアコンピタンスの違いで、戦略、業績、
そして会社存続そのものに影響します。

変化が当たり前の時代に、「変化を見過ごすか」、「変化に適応するか」、「変化
を創り出せるか」は会社の実力そのものです。

理念を掲げ、過去に囚われずに、知恵を絞り出さなければなりません。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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