社長の一言集
第157号 「本物は続く。続けるから、本物になる。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「本物は続く。続けるから、本物になる。」
2019年157号
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
私の好きな言葉に「鍛錬」という言葉があります。
鍛錬とは、深い技術、技を得るために多くの日数を要する意味で、千日の稽古では、
まだ「鍛」のレベル、万日の稽古を積んで「錬」の域に達するそうです。
石の上にも3年と言いますが、千日でやっと一人前、30年の万日でやっと一流に手が届く。
正に日々の積み重ね、続ける事の大切さを伝える言葉です。
今の時代、「鍛錬」という言葉は、時代遅れのようですが、本物の会社、よい商品づくりを
目指すためには、最も大切な考え方ではないかと思います。
『理屈はいつも死んでいる』
ユニ・チャーム(株) 元取締役 ファウンダー 高原慶一朗氏著 サンマーク出版
---------------------------------------------------------------------
ー量を積み重ねると質が生まれるー
繰り返しやることの効用を、私がしつこく説くのには理由があります。
量というものはたくさんこなすと質に変わる、というのが私の考えだからです。
つまらないと思える基本作業も、まじめに繰り返すうちに、人より早くできるようになり、
また、人より深くできるようになります。
つまり、量の積み重ねが質に転化するのです。
そうして質の高い仕事がこなせるようになると、さらに、その質を落とすことなく量を
こなせるようになる。
つまり、こんどは逆に、質を量に変えることが可能になる。
そうやって私たちは、仕事の質と量の階段を交互に上りながら、能力を高めていくことが
できるのです。
その第一歩は量を重ねることから。だから、じれったくても、つらくても、一段一段
上っていくしかありません。
ひとつひとつ、きちんと積み上げてつぎへ進む。
そうやって積み重ねた仕事だけが自信として蓄積され、仕事の質の向上に貢献するのです。
ことに、ものづくりでは、地道な作業を「徐々に積み重ねる」ことがとりわけ大切になってきます。
商品の企画にしても、ひとつの画期的なアイデアから大ヒットが生まれるようなことはまずありません。
イノベーションとは「既存のものの新しき結合である」と、シュンペーターは言っていますが、
そのとおり、無から有を生じることは少なく、頭の中にあるものを結びつけることから
新しい発想は生まれるもの。
「量の積み重ねが質を生む」ことの方が圧倒的に多いのです。
また、ものづくりでは、「完成品」というものはありません。
優れた新商品を前にして、もう、これ以上のものは出てこないだろうと思っても、やがて、
そこに必ず改良の余地が見出せるものなのです。
その改良点の指摘を消費者がしてくれることも多い。商品の実際の利用者が、その使い勝手の
よしあしをいちばんよく知っていて、ここはこうしたほうが、もっと使いやすくなると
教えてくれるのです。
お客さまからの苦情やクレームに素直に耳を傾ける必要があるのは、そのためです。
そうして、ひとつの商品、ひとつの便利の提供が新しい不満や改良点を生んでいく。
そのことが商品を無限に進歩させていくのです。
つまり、優れたものほど発展途上であり、絶え間なく変化している。
不変なもの、ロングセラーほど変化しているのです。
たとえば車も、需要の変化に合わせて絶えずマイナーチェンジを重ねています。
フルモデルチェンジは技術的にははなやかなものですが、それが一般に受け入れられる
確率はむしろ低い。少しずつユーザーの需要に対応していくことがロングセラーを生むことに
つながるのです。
これは食べ物などでも同じでしょう。人は、それがどんなにうまいものでも、同じ味のものを
五回続けて食べると飽きるそうです。ということは、食品では、常に味を変化=進化させていないと
ロングセラー商品になりえないことになります。
かりにベストセラーは出せても、ロングセラーにするのはむずかしいのです。
「はやりもの」と「よいもの」の違いが、このへんにあります。
はやりものはすたれるが、よいものは続く。したがって、ものづくりでは、一度きりの「改革」を
花火のようにぶち上げるよりも、十回の「改良」を地道に重ねるほうが大事なのです。
---------------------------------------------------------------------
今後、私たちを取り巻く環境は、人不足、大手企業の淘汰・再編、AIをはじめとした
ニュー・テクノロジーによる従来のビジネスモデルの破壊と、寡占化が更に拡大すると思います。
そんな時代だからこそ、「お客様に愛され、持続的成長の出来る会社づくり」を目指したいと思います。
そのためには、基本を大切に鍛錬を続け、お客様に愛され続けるロングセラー商品(ビジネス)を
創り続ける事が必須です。
今を活かし、素直に、信じて。
「本物は続く。続けるから、本物になる。」─東井義雄
株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光
+----------------------------------------------------------------------------+