どの業務でも、専門用語の理解はその業務をスムーズかつ正確に進めるために欠かせない基盤です。専門用語を理解していないと、コミュニケーションの齟齬や誤解が生じ、業務効率の低下につながるリスクがあります。
特に、商業施設における売上管理業務は、施設とテナントの双方に関わるお金を扱う重要な業務であり、専門用語を正しく理解することがスムーズなやり取りや正確な対応につながります。
今回は、売上管理業務に焦点を当て、初めて担当する方が押さえておくべき専門用語を簡潔にご紹介し、実務で役立つ基礎知識をまとめました。
また、運営業務に関する専門用語についてはすでに一部記事を公開しており、今後も順次ご紹介していく予定ですので、ぜひご注目ください。
■商業施設運営業務において知っておきたい専門用語集
・リーシング業務 編(記事を読む)
・施設・テナント管理業務 編(記事を読む)
・販売促進業務 編(記事を読む)
※その他、各業務の専門用語についても近日公開予定です。
商業施設の売上管理業務に関する専門用語
商業施設における売上管理業務では、テナントの売上に関する用語を中心に、売上に連動した賃料方式や各種手数料、売上処理に関わるシステム・機器など、様々な用語が使われます。
ここでは、特に重要と思われる専門用語をまとめてご紹介します。
テナント管理
テナント管理とは、デベロッパーが商業施設の運営において行う、幅広い管理業務を指す。日常的な業務には、賃料・共益費・水道光熱費などの請求や入出金の確認、館内ルールの指導、店長会の運営、テナント会費や共同販促費の管理などが含まれる。
また、売上報告の確認や賃料計算に関わる売上管理業務も、テナント管理の重要な業務のひとつである。
施設・テナント管理業務に関する専門用語はこちらから
【担当者必読】商業施設の施設・テナント管理業務において知っておきたい専門用語集
売上管理
売上管理とは、各テナントや施設全体の販売状況を把握し、売上金を適切に扱うための管理業務を指す。日次や月次の売上データを活用し、部門別・時間帯別・客層別などの分析やABC分析を通じて、売上の課題を把握し、改善につなげていく。
売上金管理
売上金管理とは、テナントが日々の売上を報告し、売上金を運営側に預ける運用を指す。
デベロッパーは一定期間その資金を保管し、賃料や共益費などの諸経費を差し引いた後、残額をテナントに返金するのが一般的で、通常は半月ごとの返還方式が多い。この仕組みにより、売上把握の精度が上がり、債権回収も効率化されるという利点がある。
売上日報
売上日報とは、テナントが毎日の売上金額やその内訳を運営側に提出する報告様式や手段を指す。現金、クレジット、掛売、商品券などの項目別に金額を記載し、内容に誤りがないかを運営側が確認する。報告形式はデベロッパーごとに異なり、書面による提出のほか、電子端末などを用いた方法も採用されている。
歩合賃料
歩合賃料とは、売上高に対して設定された一定の割合(歩率)を掛けて賃料を算出する方式を指す。例えば、月の売上高が80万円で歩率が10%の場合、80万円に10%を掛けた80,000円が賃料となる。売上高に連動するため、売上が高い月は賃料も増え、逆に売上が低い月は賃料も減少する。
このため、デベロッパーは収入の安定性を図るために、固定賃料と歩合賃料を組み合わせる形式が一般的。また、最低保証額を設けて一定額以上の賃料を確保する「最低保証付歩合賃料」といった運用もある。
固定賃料についてはこちらから
【担当者必読】商業施設のリーシング業務において知っておきたい専門用語集
最低保証付歩合賃料
最低保証付歩合賃料とは、歩合賃料の一種で、最低限の固定額をあらかじめ設定し、そのうえで売上に応じた割合の賃料を加えて徴収する方式を指す。
売上データが賃料に直接関係するため、正確な売上管理が欠かせず、デベロッパーによる戦略的な運営が重要となる。単独で運営される商業施設において導入されることが多い。
完全歩合賃料
完全歩合賃料とは、最低保証額を設けず、売上に応じて賃料を決定する方式を指す。デベロッパーは、テナントの売上向上を目指して、経営支援やアドバイスを行う役割を担う。
歩率を高めに設定できるため収益の可能性は高いが、その分デベロッパー側のリスクも大きい。ただし、成功すれば大きな利益が期待できるため、最も先進的な賃料徴収の方法といえる。
POSシステム
POSシステムとは、商品の販売と同時に、商品名・価格・ブランド・販売時刻などの情報を記録・管理するシステムを指す。
通常は、レジに設置されたスキャナーでバーコードやICタグを読み取り、その情報をコンピュータに送信する仕組みとなっている。リアルタイムでの販売データ収集が可能で、在庫管理の効率化や売れ筋の分析などに活用されている。
POSレジ
POSレジとは、POSシステムに対応したレジ端末を指す。商品コードをスキャナーで読み取り、その情報を即座にコンピュータに送信することで、販売時点のデータを自動的に記録する。
レジスター手数料
レジスター手数料とは、POSレジの利用に対してテナントが支払う使用料を指す。POSシステムを採用している商業施設では、全テナントに共通仕様のレジを設置してもらう必要があり、デベロッパーがその機器を貸与するケースも多い。この際に発生する利用料がレジスター手数料となる。
クレジット手数料
クレジット手数料とは、クレジットカードでの決済において、消費者ではなく加盟店側が売上に応じてカード会社へ支払う手数料を指す。
クレジット包括加盟を行っている商業施設では、各テナントのCAT端末から送信された取引情報をデベロッパーが集約し、カード会社ごとに一括処理する形式がとられており、手数料の支払いもデベロッパー経由で行われるケースが一般的である。
CAT
CAT(キャット)とは、クレジットカードによる決済時に、カードの有効性や限度額などを確認するための信用照会端末を指す。端末はオンラインでホストコンピュータと通信し、リアルタイムで取引の可否を判断する。これにより、不正利用の防止や処理の迅速化が可能となる。
CAFIS
CAFIS(キャフィス)とは、クレジットカードやデビットカード、ポイントカードなどの各種決済を処理するために、全国の店舗とクレジット会社・金融機関をつなぐネットワーク型のシステムを指す。
カードの有効性確認や利用限度額のチェック、売上データの中継処理、代行売上の管理などを24時間体制で提供し、資金移動や出金処理にも対応している。
入金機
入金機とは、テナントが日々の売上金をデベロッパーに預け入れるために使用する専用の機器を指す。
営業終了後、現金売上と釣銭用の準備金を分け、現金売上のみを機械に投入するのが基本で、一部には商品券やギフトカードの預け入れにも対応した機種もある。商業施設では、館内に複数の入金機を設置した専用スペース(入金機室)を設けているケースが多い。
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まとめ
本記事では、売上管理の業務に関する専門用語をまとめてご紹介しました。専門用語の理解は業務を円滑に進めるための基本です。
今回ご紹介した用語は、売上管理に関するもの中心に、売上に連動して変動する賃料方式や各種手数料など、日々の業務で使用されるものが多いです。
特に、初めて業務を担当する方にとって、これらの知識は業務の基盤となり、理解を深め基礎を固めることが、業務の成功と効率化に繋がります。