社長の一言集

第186号「最悪の時こそ最高である」

2021/12/24

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「最悪の時こそ最高である

                2021年186号
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人生、経営を成功させるための時間管理について、物事を重要度と緊急度の二軸で、更に四つの領域に分けて考えようと、『七つの習慣』の筆者スティーブン・R・コヴィー氏は述べています。

四つの領域

第一の領域 重要であり、緊急な事
第二の領域 重要であるが、緊急でない事
第三の領域 重要でないが、緊急な事
第四の領域 重要でない、緊急でもない事 です。


昨年から続くコロナ禍、連発する地震・異常気象、米中問題の悪化等、今の時代は正にコヴィー氏の唱える「四つの領域」の第一の領域「重要・緊急=危機」で、私たちはそこに生活しています。

しかし、危機に対しての認識、備えについては国によって、大きな違いがあるようです。
昨年、コロナのパンデミック時に、各国の知人たちから聞いた話です。

米国の人たちは、危機に備えて「銃」を買い求め、自分・家族を守ろうとしました。
中国の人たちは、危機に備え日頃から「お金」を蓄えていました。
中国の人々はコロナに関わらず、危機時の国からの支援など、期待も当てにもしていません。
日本の人たちは、危機に備え「食料品とトイレットペーパー」を買い求めました。

一部の声で偏っているとご指摘を受けるかもしれませんが、東日本大震災から学んだ危機管理は、私自身、ほとんど活かせていない、備えが足らないと猛省しています。

正垣泰彦氏 サイゼリヤ会長
インタビュー「最悪の時こそ最高である」『月刊誌 致知』致知出版社 2021年12月号より
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ー コロナ禍で外食産業は苦境に立たされていますが、サイゼリヤは今期の通期予想によると前期比で業績が回復する見通しで、健闘されていますね(十月十三日決算発表=売上高千二百六十五億円、経常利益三十四億円)。

正垣)コロナ禍って確かに営業時間が短くなったり売り上げが下がったり、いろんなことが起こるでしょう。だけど、創業期に何をやってもお客さんが全く来なかった時のほうが、よっぽど経営は大変でした。その頃に比べたら大した苦境ではないと思っています。

一つ意識してきたのは、資産と人財を蓄積すること。創業間もない頃、この会社を将来どうしていくかって自分で考えた時、小さいなりに、資産と人財を集めていればどんな危機が来ても乗り越えられると思って、資産と人財を蓄積することをずっと目標にしてきました。その積み重ねがあったからこそ、堀埜社長体制の下、テイクアウトや宅配サービスを新たに導入したり、様々な感染対策を打ち出すことができています。

ー 将来の危機を見据えて備えを怠らなかったと。

正垣)うまくいかない、思い通りにならない、それが人生ですよね。つまり失敗することが前提にあるわけです。失敗して失敗して失敗すると、最後は成功に漕ぎ着く。人間ってうまくいくとダメになっちゃうんですよ。エントロピーの法則(物事は放っておくと無秩序な状態に向かい、自発的に元に戻ることはない)と同じで、これでいいと満足したところから進歩はなくなってしまう。

 大学で物理の勉強をやっていたんですけど、量子力学によれば、この世に存在するすべてのものはエネルギーでできています。エネルギーって何かというと、中心がなくてみんなと繋がって、よりよい調和に向かって永遠に変化し続けている。ただこれだけなんです。「俺はすごいだろう」なんて有頂天になると自分中心になっちゃう。こういう人はエネルギーの法則に反するから落ちぶれていく。

 同様に、自分の店の料理をおいしいと思った瞬間から衰退が始まってしまう。とよく言うんです。常にこれ以上のものはないと思って料理をつくってお客さんに提供する。だけど、その直後からは、もっとおいしいものは出せないかと考えて創意工夫する。その繰り返しです。

ー 道の追求に終わりはない。

正垣)例えば、年間販売数約七万食を誇る人気ナンバーワン商品の「ミラノ風ドリア」は、少なくとも年に十回以上、一九八三年の発売からこれまでに千回を超える改良を続けています。

乗り越えられない困難は来ない

ー このような困難な時代にリーダーとして求められることは何だとお考えですか?

正垣)なぜ困難が起きるかというと、そこには必ず原因があります。多くの人はその原因を人のせい、世の中のせい、あるいはコロナのせいにするんですけど、実際には自分にあるんです。失敗の理由を他に押しつけていては一歩も前に進めない。原因は自分の中にある。そう考えることが最も建設的だと思います。

 普通は自分を変えるってなかなかできません。ただ、うまくいかない原因が自分にあると腹落ちすれば、自分の考え方を変えなければならない。困難な状況に直面すると苦しいですよね。でも、苦しい時にしか本当に自分を変えることはできないんです。

 だから、困難や辛苦の時は自分を変えるチャンス。周りの人をより幸せにできる、会社を大きく成長発展させるチャンス。いままで自分が考えてやってきたことの結果として、困難な現象が起きていると捉えたほうがいいんです。

 そうやって捉えると、何が起きるか。いいことも悪いことも人生で起こることはすべて最高、常に最高だって思える。最悪の時こそ実は最高なんです。

ー 最悪の時こそ最高である。

正垣)そして、乗り越えられない困難は来ない。自分を変えることによって必ず目の前の困難は乗り越えられる。これはいままでの自分の経験の中で実感し、かつ信じていることです。

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トップの危機についての捉え方、日頃の備えの違いが、「最高」と「破滅」の分岐点になります。

単なる財産、お金ではなく、どんな時でもお金を生みだし続ける「資産」を持っているか。
指示待ち人材ではなく、自立し、未知の課題に挑戦できる「人財」を持っているか。
そして、次の事態を予測し、進取果敢に挑戦する「トップ」が存在するかですね。
どんな時代でも、備えなくして明るい未来はありません。

来年は寅年ということで、最後にフーテンの寅さんの名セリフを
「どうした みんな元気を出せ もうすぐ青い鳥が見つかるぞ。」
出典:第37作『男はつらいよ 幸福の青い鳥』より

来年も心新たに、大切なご縁に感謝して、日々精進していきたいと存じます。

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光

<追伸>

年末になると、いつも読み返す実話を掲載した過去のメルマガがあります。
困難を縁として受け止め、それを活かす事を思い出させてくれるお話です。
お時間がございましたら、是非ご一読下さい。

「志が縁をつくり、感謝が縁を活かす」(RHIZOME PRESS〔Vol.026〕)