社長の一言集

第180号「転換の時代の四つの力」

2021/06/30

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転換の時代の四つの力

                2021年180号
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2020年1月、国内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されました。
今月で一年と半年を越えようとしています。
7月23日から、開催が予定される東京2020オリンピックが、2021年後半以降に大きな禍根を残す結果にならないことを祈るばかりです。
政治の力、企業の力、個人の〝真の力〟がますます求められます。

片方善治氏著『続・経営の着眼点』マネジメント社より
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大いなる転換の時代、それが現代である。
もとより、万物は流転するこの世の中ではあるが、この転換期にあっては、
万物の流転は目を奪うばかりの激しさだ。

このような時代における企業の思考と行動が、
これまでと同じであってよいのか、
生き残りの戦略とその展開に期待が出来るのか。

いま新しい〝力〟が問われている。
第一にいくつかの仕事を同時に片づけることができる〝多重処理力〟、
第二にチームを組んで集中的に事態を打開する〝協働打開力〟、
第三に複雑な問題に素早く解決策を示す〝問題解決力〟である。

企業はこの三つの〝力〟で、転換期の流れに棹を、ささねばなるまい。

では、どこから、どのようにして、この〝力〟を得るのか。
われわれには、二つの目が備わっているが、この二つの目でものごとを見るのではなく、
二つの目をさらに複眼として働かせて見ること、
複眼で見たことを反復熟慮すること、それに従って現実処理をすること。
このことを私は複眼的発想と言っている。

もちろん人間の目は複眼として機能することはないだろう。
しかし、この転換の時代に行くべき道を探すためには、
複眼的発想が
ぜひとも必要なのである。

道が見つかれば、その道の行き方、進み方を考えなければならない。
この時もまた複眼的に考え、行動することだ。 

生き残るための〝力〟----多重処理力、協働打開力、問題解決力----は、
創造力という名の〝力〟でもある。

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システム工学の第一人者である片方先生は、なんと昭和55年の高度成長期に著書『続・経営の着眼点』に、この文章を残されています。
経営の本質的な考え方は40年の時を経ても、色あせたり変わる事はありません。

色々な課題、前提条件を抱えながら、組織間の壁、慣習を越え、チームとしてより創造的に解決策を見出し、
迅速に取り組んでく事は、正に今の政治、企業に求められる〝真の力〟そのものです。

又、片方先生が述べられている複眼とは、多面的に見るという意味だけではなく、
過去の経験、従来の常識・固定概念に囚われずに見る、日本だけではなく世界視点で見る、
さまざまな立場の視点で見るという事ではないでしょうか。 

私たちは、コロナ禍で始まった未知の変化に、妥協することなく、
創造力を発揮して〝妥協〟ではなく、創造性をふり絞り、〝適応〟していかなければいけません。 

更に、私は、片方先生の三つの〝力〟に加え、未来に向けた四つ目の〝備える力〟も必要だと思います。

時代の転換期を活かし、着実に成長を続けている経営者の言葉があります。

アイリスオーヤマ代表取締役会長 大山健太郎氏「私の履歴書」
『日本経済新聞』2016年3月12日より
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どの業界にも、好不況の波が必ずある。
好調の時はどんどん人を採用し、不調になると事業を縮小し人を切るのは、
私の目指す経営ではないと思われた。

「好調のときにもうけることより、不況のときでも利益を出し続けることを大事にする会社」。 
一つの答えが出た。

この姿勢は後にアイリスオーヤマの企業理念の第一条として明文化した。
全文を引用すると「会社の目的は永遠に存続すること。
いかなる時代環境に
於いても、利益の出せる仕組みを確立すること。」となる。

社員は全員、これを暗唱できる。
その裏には40年前のリストラを繰り返すまいという私の決心がある。

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ニトリ創業者。ニトリホールディングス代表取締役会長 似鳥昭雄氏
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私は景気が良くなる予測は一度もしたことがありません。
景気が悪くなった時に何をするかだけです。

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実体のない株価や仮想通貨での業績に一喜一憂している場合ではないようです。
シンプルに、「今からの社会を幸せにする」挑戦を始めなければいけません


<Steve Jobs (スティーブ・ジョブズ)の言葉>
シンプルであることは、複雑であることよりもむずかしいときがある。
物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。
だが、それだけの価値はある。
なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光