社長の一言集

第173号「常識とされていることを信じてはならない」

2020/12/25

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 常識とされていることを信じてはならない
                            2020年173号
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

コロナ禍の第三波で、再び世界は不安を増しています。
企業倒産や失業者が増えているにも関わらず、株価が上昇するという異常な事態です。
コロナ対策のための国からの桁外れの対策費が、弱者救済ではなく株式投資にまわされ、実態無きコロナバブルと、格差による分断が危惧されます。

今年5月に世界的投資家ジム・ロジャーズの『危機の時代 伝説の投資家が語る経済とマネーの未来』が、日経BP社から発売されました。
危機の到来に対する、ジム氏の歴史観、心構えが参考になります。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------

孔子の格言に耳を傾けよう

中国には、孔子という偉大な思想家がいる。私は孔子の墓と生家とされる場所にも行ったことがある。
彼の考えは、時を超えて生き続けている。
彼の語った言葉を、何百年もの間、多くの人が高く評価してきた。

だから彼が言ったことには何らかの真実があるに違いない。

永遠に続くものには、おそらく何らかの真理がある。
もちろん孔子は今の時代に必要ないという人もいるだろう。

しかし、私は、試練に耐える際に必要な知恵が孔子の言葉に含まれていると思っている。

孔子について学んだら、「ああ、神様、私は間違っていた」と思うようになるだろう。
孔子自身も多くの間違いを犯したが、そこから学ぶ力に優れていた。

だからこそ、彼の言葉からは、試練に耐えるために役立つ何かが見つかるはずだ。

「立ち止まらなければ、あなたはどんなにゆっくり進んでも問題ではない」。
孔子はこう言った。
忍耐と辛抱強さは人間にとって最も重要だ。

「どこに行っても、心を尽くして行動しなさい」という言葉も味わい深い。

私は常に人々にこう伝えている。
「あなたが他の人よりもよく知っていると思う分野に投資した方がいい」。
私の哲学は、孔子の哲学に通じるものがある。

「わかっていることを『知っている』という。
わかっていないことを『知らない』という。
これが「知る」ということだ」。
孔子のこの言葉は、知っているものだけに投資すべきだという私の考え方に近いように思う。

孔子の言葉をもう少し紹介しよう。

「我々の一番の栄光は、失敗しないことにあるのではなく、失敗するたびに立ち上がる力にある」。
逆境でも希望を捨てず、辛抱強くあり、自殺しようなどと決して考えるべきでない。

「人間は逆境において、その真価を試される。人生の達人は逆境を楽しみ、順境もまた楽しむ」

「成功者は必ず、その人なりの哲学を持っているものだ。その哲学がしっかりしているからこそ、成功者の人生は揺るがない」

「考えのない学びは、無駄である。学ばずに考えてばかりいては、危険である」

「ふるきをたずねて新しきを知る。そうすることで人を教える師となれる」

いずれも、危機に直面した時だけでなく、人生において道標になる言葉ばかりだ。

(中略)

常識とされていることを信じてはならない

最後に改めて強調したいのは、誰もが当たり前と考えている常識は短期間で変化することだ。
歴史はそれを証明している。
第二次世界大戦、ベルリンの壁の崩壊、中国の急速な経済発展を、事前に予想できた人はほとんどいなかった。

新型コロナウイルスの感染拡大に限らず、世界を驚かせるような危機は突然起きるものだ。
そしてグローバルな社会や経済を激変させる。
歴史を振り返ると、10~15年ごとに、大きな変化が常に起きている。

くり返しになるが、今、あなたが当たり前と考えている常識は、15年経つと、何もかも間違っている可能性がある。
だからこそ、あなたは周囲の人たちが言っていることを、盲目的に信じるべきではない。
大多数の人が言っていることが正しいわけではなく、むしろそれが間違っている可能性は大いにある。
世間の常識を疑い、自ら情報を収集し、自分の頭で考え、決断できる力を磨くことが、あなたが成功する一番の近道だと私は信じている。

危機はチャンスでもある。
さまざまなものが割安になるので、うまく投資できれば、経済の回復に伴い、大きな利益を得ることができる。
あなたが日頃から自分の得意分野を磨いており、ほかの人が気づいていないような変化を見つけることができれば、
それはまたとない投資の機会となる。

疫病のように変化の兆しを見つけにくい場合もあるが、経済危機については多くの場合、さまざまな予兆を見つけることが可能だ。
私はリーマン・ショックのような経済危機が起きることを予見し、繰り返し警告してきた。

だからこそ、危機は繰り返しやってくるという前提に立って、常に備えをしておくことが大事だ。
歴史を振り返れば、危機の際に人々がどう考え、どう行動したかについて、さまざまな学びを得ることができる。
危機の時の人間の行動には、驚くほど共通点が多いものだ。

今後数年は、私の人生で最悪の相場になる可能性がある。
それでも、危機の最中であっても、変化を見極めてチャンスをつかみ、成功した投資家は何人もいる。

あなたが危機を乗り越え、成功したいと願うなら、他人の意見や常識に振り回されてはならない。
大きな失敗をしても、環境は必ず変わるので絶望しなくてもいい。
あなたが世界と自分自身についてよく学び、危機が起きても目を覚まし続ければ、きっとチャンスは見つかるはずだ。

-------------------------------------------------------------------------------------------------

私たちは投資家ではないので株で利益を得る決断はしませんが、経営では、危機的状況化でも勝ち残り本当の成功を手にする決断をしたいと切望します。

松下幸之助翁の愛弟子の、木野親之氏の文章がジム氏の文章に重なります。


『松下幸之助に学ぶ指導者の三六五日』木野親之氏著 コスモ教育出版より

-------------------------------------------------------------------------------------------------

「君、それは自分で決断せんとあかんな」
私が助言を求めに行った時に、幸之助に言われた言葉です。

指導者たるもの人に助言を求めることも大切だが、
決断は自分でしなければならないと教わりました。

決断は指導者の一番大事な仕事です。
決断を経営理念に照らして行えば、成功することは間違いありません。
経営理念が熟慮の基(もと)となり、断行の勇気となるのです。

-------------------------------------------------------------------------------------------------

経営理念に照らした時に、その決断の本質的な理由に気付くことが出来ます。
そして、難しい決断の裏付けになりますから、勇気が百倍となります。
正に今の決断は、終わりではなく、栄光の未来への始まりなのです。

限られた時間と、自社に与えられた経営資源を、いかに機会に集中させるか。
非常識さと妄想を信じて、「自分の決断」です。

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光