社長の一言集

第172号「戦略とは、人間の生き方そのものなのです。」

2020/11/30

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 戦略とは、人間の生き方そのものなのです。
                            2020年172号
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禍福は 糾える(あざなえる)縄のごとし 史記(南越伝、賛)

人生には災いと福があるが、実は撚り合わせた縄のように表裏一体であり、入れ替わり変転するという伝えです。
世の中は、私達が予測しているよりも早いスピードと規模で、予測不能な時代へと変わり始めているようです。
糾える(あざなえる)縄のように、災いと福が入れ替わり変転するというより、災いが連続して続いて行く、出口の見えない閉塞の社会の到来を感じています。

人口減少、高齢化、景気減速に加え、GAFAの台頭、コロナ禍、国民不在の覇権政治、経済・教育格差の拡大等、誰も経験したことのない世界をむかえています。

しかし悲観ばかりしていても、禍は福に転じる事はありません。
閉塞の社会の扉は、自らの努力で開くしかありません。

週刊ダイヤモンド
「賢人100人に聞く!日本の未来」一橋大学名誉教授 野中郁次郎氏のインタビューより

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>>コロナ禍に求められるリーダーの資質を教えてください。

"人間くさい戦略"を立てましょう。

戦略を立てるとき、多くの人が徹底的に分析しようとします。
環境が固定していればそれでも一定の効果はありますが、今のように環境が変化しているときは、もっとダイナミックに動くべきです。
考えてから動くのではなく、動きながら考える。戦略は物語です。

メンバーがワクワクするプロット(筋書き)と、腹にガツンとくるスクリプト(行動指針)で構成して下さい。


>>ワクワクする戦略を立てるには、どうしたらよいのでしょう。

「イソップ寓話」に、「3人のレンガ積み職人」という物語があります。
3人の男が同じようにレンガを積んでいるのですが、その目的が全員異なるんですね。
1人目の男は「親方の命令で積んでいる」。
2人目の男は「金のためにやっている」。
そして3人目の男は「後世に残る大聖堂を造っている」。

一目瞭然でしょう。より大きな善い目的(パーパス)を掲げることが戦略になる。
戦略とは、人間の生き方そのものなのです。

>>環境が変わりつつある中で、戦略を立てるのには勇気が要るように感じます。

京セラもエーザイも米マイクロソフトもみんな、生き方から戦略を決めています。
ROE(株主資本利益率)や、SDGsなどは、しょせんまね事にすぎません。
演繹的です。

善い目的を追求し、現実を直感する。
そして、共感できる場をつくり、物語を実現していく。
このスパイラルを組織に浸透させることが、"実践知リーダーシップ"なのです。

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ドラッカー博士は「文化は戦略に勝る」という有名な言葉を残しています。
いくら緻密な戦略を立てても、予測のできない情勢、大きな変化で、戦略だけでは意味をなさない事態になる事があります。
しかし、"善い目的・良きカルチャー"が、会社にしっかり根付いていれば、環境がどのように変化しても、企業は常に価値を発揮できるのです。

今、企業の「生き方の本質」が、どんどん表面化、露呈してきています。
後世に語り継がれるはずの今を「どのような物語」として遺せるか。

規模の大小、業種に関わらず、全ての企業の一刹那正念場です。

ワクワク、ガツンでいきましょう。

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光