社長の一言集

第97号 「高い塔を建ててみなければ新しい水平線は見えない」

2014/06/30
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 「高い塔を建ててみなければ新しい水平線は見えない」
                                                       2014年97号
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先月、吉野家ホールディングスの安部修仁会長が、経営の一線から退く発表が
ありました。
アルバイトを振り出しに1992年に社長に就任し、BSE発生に伴う米国産牛肉の
輸入禁止など、度重なる危機を乗り越え吉野家を牽引してきた、正に「ミスター
牛丼」です。

牛丼へのこだわりが強いと思われていた安部社長ですが、一方では「はなまる
うどん」や、ステーキチェーン「どん」、寿司・弁当の「京樽」などを展開し、
事業の多角化への取り組みも着実に行ってきました。
既に売り上げに占める国内の牛丼比率は、50%強まで低下しています。

2013年に発売した「牛すき鍋膳」は、従来の牛丼より食べ終わるまでの時間が
二倍かかり、これまでの「早い、うまい、安い」ではなく、キャッチフレーズを
「うまい、安い、ごゆっくり」に変え、見事ヒットさせました。
縮小していく国内市場の中で、過去の成功パターンにこだわらない、牛丼だけ
ではなく積極的に業態の幅を拡げる事は、未来へ向けての不可欠な戦略です。

今月に入ると、海外市場へ向けた取り組みも色々発表されています。
一つはサントリーの社長にローソン会長の新浪剛史氏が招かれた事です。
創業家以外で経営トップを務めるのは、今回の新浪氏が初めてです。
新浪氏の、国際感覚、海外人脈等の期待もありますが、明るく挑戦的で
会った人を一瞬で包み込んでしまう人間性も大きな魅力です。
今後、サントリーでのグローバル戦略の新たな取り組み、活躍が楽しみです。

もう一つ気になる発表は、住友商事がアパレルウェブのシンガポール子会社に
資本参加して、アジアのファッションECを今秋から本格的に展開する記事です。
日本から直接アジアの消費者に商品を届ける「越境型ECモール」事業です。
若年女性の大幅な減少が予測される中、海外市場への展開、インバウンドへの
取り組みは、国内小売業の重要なテーマです。

又、人口減少に伴い、小売・飲食業の人材確保難は日々切実さを増しています。
人材不足を支えてきた外国人アルバイトも、一部では争奪状態です。
人的資源を大量に投入しなければならない業種、ビジネスは今後、大きな試練を
乗り越えなければいけません。

セコム創業者 飯田亮氏の言葉
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 漁師の精神を学ばなければいけない。
 漁師は釣れなければ、狙う魚を変え、道具を変え、場所を変える。
 いつも同じところにじっとしていて、「魚が無いね」と嘆いているだけでは
 ダメだ。
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川口淳一郎氏の言葉
(宇宙航空研究開発機構「はやぶさ」プロジェクトマネージャ)
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「高い塔を建ててみなければ新しい水平線は見えない」

 いまのレベルに安住して、足元を固めることばかりに一所懸命になっていたら、
 絶対にその先にある地平線は見えません。
「未来」とは「未だ来ない」と書きます。未来は見えないわけです。
 その水平線の向こうの、見えないものを自分たちの手で見ようとする活動が未来を
 つくるのです。
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今まで、誰も経験した事のない新しい時代の到来を感じます。
40年近く流通業関連で仕事をしてきましたが、このような大きな社会構造的な
転換期は経験したことがありません。

未来から振り返った時に、この転換期が「ピンチだったが、チャンスだった」と
言えるようにしなければなりませんね。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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