社長の一言集

第96号 「経営は常に変化への挑戦。」

2014/05/30
----------------------------------------------------------------------
 「経営は常に変化への挑戦。」
                                                       2014年96号
----------------------------------------------------------------------
十数年前、ある地方都市のショッピングセンターの戦略立案のお手伝いをさせ
て頂いていた時の話しです。
顧客分析で会員動向をまとめていたのですが、年代別の会員分析で、ある地区
の20代の会員数の減少原因がなかなか掴めず、頭をかかえていました。
社内・社外の色々な資料を調べたところ、行政の年齢別の人口推移データで
その地区の20代の人口が大幅に減少して、分析数値に影響していたことが分か
りました。
競合や景気が原因でなく、商圏の人口減少がお店の業績に影響を及ぼし始めた
ことを、実データで確認した瞬間です。

今月(5月)、NHKで放映されたクローズアップ現代の「極点社会〜新たな人口減少
クライシス〜」は衝撃でした。
人口減少問題検討分科会が発表した少子高齢化の最新報告に基づく番組です。
元総務相で東大の増田客員教授らが、2040年には全国1800市区町村の半分の存続
が難しくなるとの予測をまとめました。
深刻なのは、出産に適した年齢といえる「20〜39歳」の若年女性の人口動態です。
2040年には全国の約50%にあたる896の市区町村で20〜39歳の女性が5割以上も
減り、523市区町村は人口が1万人未満の消滅都市になるという恐ろしい予測です。

既に地方では高齢者そのものが減少し始めており、高齢者の年金で成り立ってき
た地方経済が縮小。連動して地方の若年層の雇用の受け皿である介護・医療等の
求人が減り始めています。
地方で仕事の場を失った若年層が首都圏・都市へ移動をはじめ、地方の若年女性
の減少に更に拍車をかけます。
首都圏は未婚人口が更に増大し2040年には超高齢且つ無縁都市になってしまうと
いう、「極点社会」到来の警鐘です。

一方、マーケットの減少だけでなく、飲食、小売、工場、建設、介護等の職場で
深刻な人不足が進み、一部の企業では店舗の閉鎖や人事倒産が始まっています。

人口減少問題検討分科会 報告書
http://www.policycouncil.jp/pdf/prop03/prop03.pdf

毎日新聞 消滅可能性自治体一覧
http://mainichi.jp/feature/news/20140509mog00m040001000c.html

高齢化社会は、元気で生活に余裕のあるお年寄りばかりではありません。
追い打ちをかけるのは、一人暮らしの高齢者と認知症患者の増大です。
65歳以上の高齢者の約15%が認知症で、85歳以上になると認知症の割合がなんと
40%を超えるという試算が厚生労働省研究班の調査で出ています。
又、身内の介護のために離職しなければならない現役世代も年々増え続けています。
こんな時代は今までなかった、予測すらしていなかった、という厳しい変化の波が
既に押し寄せています。

ドラッカー博士はそれらの変化を予見し、その著書『明日を支配するもの--21世紀
のマネジメント革命』に以下のようなメッセージを残しています。
---------------------------------------------------------------------------
 変化はコントロールできない。
 できることはその先頭に立つことだけである。
---------------------------------------------------------------------------
2040年は未来の話ではなく、既に始まっています。
今まで誰も経験した事のない、未知なる時代(機会)の到来です。
この機会は「危機」であると同時に、「転機」でもあり、「好機」でもあります。

自社にとって、未知なる時代はどんな機になるのでしょう?
機を活かす経営のキーワードは、変化への「挑戦」、「革新」、「創造」です。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

+-------------------------------------------------------------------------+