社長の一言集

第93号 一沈一珠(いっちんいっしゅ)

2014/03/03
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  一沈一珠(いっちんいっしゅ)
                                                       2014年93号
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ソチ五輪が無事終了しました。心配されていたテロもなく本当に良かったです。
フィギュアスケートの浅田真央選手のフリープログラム演技は、オリンピック
という枠を超え、大きな感動のドラマを世界中に提供してくれました。

競技終了後、あるニュース番組で、浅田選手の最後のフリープログラム演技の
開始から終わりまでのそれぞれの表情を時間差で捉えた三枚の写真が放映され
ました。その時、浅田選手の三つの表情が私には三つの仏様に見えました。

〇演技中の極限状態での自分との闘い、それは厳しい阿修羅のお顔
〇演技終了直後の涙は、修羅場を乗り越えた如来のお顔
〇そして、最後の満面の笑顔。全ての苦しみ、迷いを超越した地蔵様のお顔
そのように見えたのです。
浅田選手のいつもの幼さの残る温顔とはまったく別の表情でした。

藤尾秀昭氏の「心に響く小さな5つの物語?」致知出版社発行より
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 一沈一珠(いっちんいっしゅ)
 海女がいったん海に潜ったら、どんなに息が苦しくなっても、一個の真珠貝を
 見つけ出すまでは決して浮上しない、ということからできた言葉。
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浅田選手のショートプログラム連続ミスによるまさかの16位の時は、人生の
どん底の深い海の中で、苦しみもがき正に息絶え絶えだったと思います。
その苦しみは凡人の想像を超えるものだったと思います。

しかし、最後のフリープログラムで最高の「至宝の珠」を掴むことが出来ました。
人々に勇気と努力の尊さ、恩の大切さを教えてくれた完璧な演技は、国を超え
多くの感動の灯明を灯しました。

「一沈一珠」は、経営、家庭等、人生の様々な場面にも存在します。
松下幸之助翁の言葉 「松下幸之助成功の金言365」PHP研究所発行より
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 道端の無心な石ひとつ、草一本にも、
 それがそこにある事にはいろいろの事情があり、流転があったに違いない。
 そして、草に心があり石に口があったならば、われわれにその流転を語り、
 今日ここにあることの事情を切々と話しかけるに違いない。
 われわれは事をなすにあたって、その事の成果を大事にすることはもちろん
 である。
 けれども同時にその成果を生むまでの過程をも、もっと重視したい。
 そうすることによって、自然な謙虚さが生まれ、軽率な判断も、これを避ける
 ことができるようになるであろう。
 松下電器が今日ここにあるまでには、やはりいろいろの道程をたどってきたの
 である。
 苦しみもあったし喜びもあった。狭く暗いトンネルを、半ば這うようにして
 くぐり抜けてきた事もあった。
 しかし、そんな時も、お互いが伝統の精神に生きて身を寄せ合い、心をしっかり
 と結びあい、隠忍自重、絶え間ない努力を続けてきたのである。
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光が届かない深く暗い海の底で、息も出来ずに苦しみもがきながらの必死の経営、
這うような辛苦の人生は、耐え難く潰されそうになります。
今までとは、見える世界がまったく違ってくる....。
しかし、その体験には必ず「光り輝く珠」が存在している。

大切なのは、その珠の存在に自分が気付くかどうか、そして掴み取る事を信じ
切れるかどうかです。

「その苦難には成長のための深い意味がある。」
                 それを教えてくれたソチ五輪でした。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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