社長の一言集

第94号 「永遠であるものはない」

2014/03/31
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 「永遠であるものはない」
                                                       2014年94号
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景気は消費税の駆け込み需要、インバウンドの伸び等もあって上向きですが、
4月からの反動が心配です。

流通業は着実に寡占化が進んでおり、体力のない企業の吸収、統合は更に加速
しています。人口減少、高齢化が進む地方企業の衰退は深刻です。

食品・飲料、日用品などのメーカーは、コンビニや100円ショップ、流通大手の
PB商品と競合し、自社商品の売り場確保が厳しくなってきています。

又、SCで店舗展開するテナント専門店は、大家であるSCデベロッパーの大手
流通企業の専門店子会社の脅威にさらされ始めています。

しかし、その大手企業ですらECとの戦いを余儀なくされているのが実情です。

松下幸之助翁と禅宗の高僧との対談です。
松下幸之助「社長になる人に知っておいてほしいこと」PHP研究所発行より
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 それは十数年前のことですが、ある高徳な禅僧と対談したことがありました。
 その時に私は、「和尚さん、禅宗は将来どうなりますか」とお尋ねしたんです。
 そうすると、「それは自然消滅でしょうな」という答えが返ってきたんです。
 それには私も驚きました。
 他の人ならともかく、現に禅宗に身をおく、しかも高僧といわれるような人が、
 そう言い切られるのですから。
 その私の驚きを察したのか、その人はこうつけ加えられました。

 「松下さん、それは寿命ですよ。すべてのものに寿命がある。それがお釈迦様
  の説かれた諸行無常という事です。
  だから、禅宗といえども、時が来れば消滅するのです」

 「しかし、和尚さん、そんなことではあなたご自身、布教やお説教に力が入ら
  ないのではないですか」

 「いや、そんなことはありません。いつ寿命が尽きるか分からないけれども、
  その最後の瞬間まで私は禅宗に生きます。それが私のつとめですからね。
  しかし、それはそれとして『禅宗は将来どうなるか』と聞かれたら、
  今のようにお答えするしかありません。それが仏教自体の教えなのですから」

 「そうすると和尚さん、わたしのやっている松下電器もいつかは消滅すると
  いうことですか」

 「そのとおりです」

 というようなことで、最後は笑い話になったのですが、私はこの会話から
 非常に啓発される思いがしました。
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何事にも「素直」を心掛けた松下幸之助翁は、この無常観から『日々新た』と
いう未来に向けた言葉を大切にしました。
更に、同一の形態の事業では長期的な永続は難しいと、喝破しています。

過去の成功体験に囚われず、新たな挑戦を続ける経営の難しさを痛感します。

桜もそろそろ満開の時期を迎えます。
江戸中期の俳人、大島蓼太(りょうた)は世の中の移り変わりに掛けて桜の句を
残しています。

    「世の中は三日見ぬ間の桜かな」 (大島蓼太)

変化を見過ごすか、変化に適応するか、変化を創り出すか。
それが、企業力の差になっているようです。

                       株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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