社長の一言集

第84号 物の興廃は必ず人に由る 人の昇沈は定めて道にあり

2013/05/31
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 物の興廃は必ず人に由る 人の昇沈は定めて道にあり
                                                       2013年84号
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同じ九州の出身ということもあり、親しみを感じ、尊敬する経営者に
「博多一風堂」店主の河原成美氏がいらっしゃいます。
おもてなしにこだわるラーメン店「博多一風堂」は、国内のみならず海外出店
も加速して大躍進中の優良企業です。
過去、二度ほどしかお会いしたことはありませんが、還暦を過ぎても博多弁で
語られる人生論、仕事論は益々力強くなっていくように感じます。

河原成美氏のお話の中で好きなメッセージは、
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 『どうやったら繁盛店が出来るか』より
 『繁盛店よりも、まずは潰れない店にすること』が大切。
 なぜなら、潰れない店の先に繁盛店への切符がある。 
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という言葉です。
成功して話題になった企業がいつの間にか倒産したり、他社に吸収される
ケースはいつの時代でもたくさんあります。
急速な多店舗展開、価格競争、本業以外の事業展開、人材不足等、様々な
要因がありますが、後で考えるとどれも同じような原因が多いようです。

経営者は、「繁盛し成功すること」をまず目標にします。
多くの経営者にとって「繁盛し成功すること」は事業の大目標であり、
人生の夢の実現なのです。
しかし、河原氏の場合は「潰れないために自己成長すること」が経営の優先
目標だったのではないでしょうか。
それが、博多一風堂の店主としての「商売道」の信念なのだと思います。
繁栄を継続させるためには、まず潰れない経営基盤の確立が先だったのです。
経営は創業することは簡単ですが、何十年と継続させることは本当に大変な
事だと、私自身心から痛感します。

そしてもう一人、九州出身の偉大な経営者がいらっしゃいます。
京セラを創業された稲盛和夫氏です。
第二電電(現・KDDI)の創業、日本航空再建等、数々の経営の実績と
素晴らしい名言を残されています。

稲盛和夫氏の著書 (致知出版社) より
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 才能やパワーがあればあるほど、進むべき方向が間違っていたら、破滅や没落
 への途(みち)は加速する。
 正しい方向とは、人生の「王道」を行くこと。
 「王道」とは、労多くして益少ない途であり、その逆の「覇道」は労少なくして
 益多い途。
 コツコツと積み重ねる努力を嫌って、一攫千金や、濡れ手に粟ばかりを狙うなら、
 いつか大失敗をすることになる。
 王道を往くには、道徳や理念、思想という正しい哲学が必要となる。
 人として正しい哲学を身につけ、人生の王道を歩みたい。
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アベノミクスのお蔭で、株価や円安で一喜一憂する人たちが毎日TVに映されます。
今、日本全体が覇道の道へ加速していることに危うさを感じます。

弘法大師が1200年も昔に著作「性霊集」の中で残された言葉があります。
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 「物の興廃は必ず人に由る 人の昇沈は定めて道にあり」
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国家も、会社も、その興廃はそれを担う人材によるし、
人の人生の浮き沈みはその人がどのような道を選び、定めて歩んできたかである。
と解釈できるのではないでしょうか。

今年は、国も、会社も、個人も、自らが選んだ道を問われる年になりそうです。
                      
                                                 株式会社リゾーム
                             代表取締役 中山博光

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