社長の一言集

第83号 人生も経営も積み減らし

2013/04/30
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 人生も経営も積み減らし
                                                       2013年83号
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1970年、私が中学1年生の時に日本万国博覧会が大阪で開催されました。
6,422万人もの人々が訪れた過去最大の国際博覧会です。
私も一度だけ訪れたことがありますが、一番印象的だったのは、入り口正面の
屋根から突き出た岡本太郎氏の「太陽の塔」です。
建築界の巨匠、丹下健三のモダンな構造の大屋根を突き抜け、豊かさや進歩
主義に沸き上がる国家イベントに対して、自分の哲学と思想を貫いた岡本太郎
氏のベラボーな世紀の作品です。

更に、岡本太郎氏は数々の名言も遺しています。
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人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。
ぼくは逆に、積み減らすべきだと思う。

財産も知識も、蓄えれば蓄えるほどかえって人間は自在さを失ってしまう。
過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きが出来なくなる。
人生に挑み、本当に生きるには瞬間瞬間に新しく生まれ変わって運命を開くのだ。
それは心身とも無一物、無条件でなければならない。
捨てれば捨てるほど いのちは分厚く 純粋にふくらんでくる。 
今までの自分なんか、蹴とばしてやる そのつもりでちょうどいい。 
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先日、任天堂が発表した2013年3月期の連結決算は、営業損益が364億円の赤字
となりました。
90年代に家庭用ゲーム機で圧倒的に収益モデルを確立した優良会社でしたが、
最近はスマートフォンを利用した新しい携帯ゲーム会社にマーケットを凌駕され
ています。
ゲーム機をベースとした収益モデルをなかなか捨てきれないのでしょう。

今月出版された細谷功氏の著書
「会社の老化は止められない」は、とても興味深い本です。
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本文より
会社で起こっている「老化」には、なぜ気づきにくいのか。
一つには「老化プロセス」は「成長プロセス」からつながるプロセスだからだ。
つまり成長の延長線上に老化がある。
「成長して大きくなる」ことは、ある年齢までは健全な「成長」とみなされる。
例えば人間であれば、精神面や知恵の面では死ぬまで成長することは可能だが
「肉体的な成長」に限っていえば、ほとんどの人は二十歳ごろまでには、ほぼ
成長が終わり、そのあとはゆるやかに「老化」が始まる。
成長プロセスでは、栄養分を摂取することが成長に寄与するわけだが、肉体的な
成長が終わったあとは、栄養分を摂取しすぎると肉体的な健康の面でネガティブ
に働く。これは知識面でも同様で、成人するまでに身につけた「常識」は、
やがて新しい考え方に対する拒絶や適応を阻むといった負の影響が出始める。
つまり「資産の負債化」が起こり始めるのである。

人間の心理について
 ●変化に抵抗し、それまでの習慣に(根拠もなく)固執する
 ●一度得たものは手放せない(なければないで何とかなるにもかかわらず)
 ●期待値(という「合理的な損得」)ではなく、リスクの大きさに反応する
 ●低きに流れる
 ●手段が目的化する
 ●縄張り意識を持つ
 ●知れば知るほど近視眼的になる
 ●自分中心に考える
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人間の心理の部分は面白いですね。
精神的老化のバロメーターかもしれません。
自分自身に当てはめてチェックすると、私はかなり老化が進んでいるようです。
みなさんはどうですか?

岡本太郎氏からのメッセージを最後に。

 自分の中にどうしても譲れないものがある。
 それを守ろうとするから弱くなる。
 そんなもの、ぶち壊してしまえ!
                      
                                                 株式会社リゾーム
                             代表取締役 中山博光

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