社長の一言集

第72号 「老いて佳境に入る」

2012/05/31
----------------------------------------------------------------------
 「老いて佳境に入る」
                                                       2012年72号
----------------------------------------------------------------------
最近、お客様や周りの知人に定年退職や、早期退職を迎える方たちが増えて
きました。リゾームを設立して21年目を迎えましたので、当時はバリバリの
40歳前後のお客様がそろそろ定年を迎えられることは予定通りなのですが...。
寂しくもあり、残念でもあります。

私が独立前にお世話になったニチイ(現イオングループのマイカル)さんでは、
2001年に会社が破たんして、多くの先輩、同僚たちが一瞬に職を失いました。
その後、大手コンビニチェーンのFCオーナー兼店長で頑張っている先輩、開発・
リーシング系の経験を活かして、SC関係の仕事に就いた上司、タクシー運転手
になった商品部のバイヤーさん、独立して音沙汰が無くなった同僚、イオンさん
で契約社員として移籍した大先輩等、様々です。
何の準備も、心構えも出来ていなかった状況での転職活動なので、大変ご苦労
されたと思います。
社会人として、人それぞれに第二、第三の人生があります。
今後の超高齢化社会、年金問題等を考えると、誰にとっても老後は決して安泰
ではありません。

中国・宋時代の哲人・朱新仲が説いたものに「五計」があります。
 一、生計=いかに生くべきかという本質的な生き方について 
 二、身計=社会生活の中での自分の身の処し方について 
 三、家計=夫婦関係、親子関係をどう築き、維持していくかについて
 四、老計=いかに年を取り、老いたる者の価値をどう活かしてゆくかについて 
 五、死計=生死を超越した生き方・死に方について

50代を過ぎると、「老計」「死計」について、どう向かい合うかが切実なテーマ
になってきます。

陽明学者・安岡正篤氏はこう述べています。
「老いてゆくということは、みんな老衰することだと思うが、そうではない。
 老という字は『(慣)なれる』とか『(練)ねれる』と読む通り、
 老熟するということである。
 老る計りごとが大切なのであって、老年はそれだけ値打ちのあるもので
 なければならない。
 そして、年を取れば取る程、良く変わっていかなくてはならない。
 硬化しては駄目だ」と。

現在の60〜70歳代の能力は完全な現役レベルです。
そして、「人生の佳境」はこの年代でなければならないと思います。
混迷化していく時代は、序列も大小も老いも関係なく、
「一隅を照らし変化適応した者」が真の佳境を迎えるチャンスなのかもしれません。

最後に、死計についての心構えの参考に。
坂村真民(仏教詩人)さんの言葉
「人間いつかは終わりがくる。前進しながら終わるのだ。」

                      株式会社リゾーム
                      代表取締役 中山博光 


+--------------------------------------------------------------+