社長の一言集

第65号 現状維持は退歩

2011/10/31
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現状維持は退歩
                                            2011年65号
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「人間は進歩か退歩かのいずれかであって、その中間はない。
現状維持と思うのは、実は退歩している証拠である。」と哲学者の森信三先生は
語られています。
これは経営にも同じ事で、成長・変化を目指さなくなった企業は衰退、廃業への
道を選んだことになります。
現状を維持できれば、売上微減でも「そのうちなんとかなる」という他力本願的
な考え方は、正に「茹でガエル」状態で、大いなる危機だと認識すべきです。
業績の低迷は、景気や震災、競合店の影響だけではなく、人口減少、少子高齢化
という社会構造の変化に影響を受けている事も事実です。
しかし、どんな状況であったとしても生き残りをかけて前進するしか残された道
はありません。立ち止まり、いつまでも傍観していると、未来へのバスに乗り遅
れてしまいます。但し、どのバスに乗るかが問題です...。
予測の難しい大きな意思決定では、経営理念とビジョンに照らし合わせて決定す
る事が重要です。

10月19日にマザーハウスの山口社長を講師にお迎えし、弊社セミナーを開催させ
て頂きました。23歳で起業され、誰もが絶対無理と反対した最貧国のバングラデ
シュで、単独でバッグ工場を立ち上げ「途上国から世界に通用するブランドをつ
くる」というミッションを掲げ企業活動を展開されています。
多くの失敗、裏切りの中でも、マザーハウスの理念に共感して協力・参画して下
さった人々との出会い、そして山口社長の強い信念によって、今の成功を勝ち取
られました。
しかし、更に劣悪な環境のネパールで新たに衣料の工場を立ち上げ、より深い困
難に立ち向かわれています。
今の成功に満足し、現状に甘んじる姿は微塵もありません。

最近の山口社長の著書「自分思考」(講談社)で、とても印象に残った文章が
あります。
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もうすべてが嫌でどうしようもなく心身共に疲れ果てていたし、誰を信じること
もできなかった時期があった。でも、そんな時のバングラデシュの出張先で、
無理に笑顔をつくっていると、サンプルマスターのモルシェドが作業をしている
私に対してぼそっと言った。
「マザーハウスの挑戦は、はじまったばかりだねぇ」って。
私のさまざまな葛藤を見透かしているかのように出てきた一言だった。
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経営者としての孤独、苦悩の中で、常に自分を奮い立たせ続けた山口社長の現場
の姿です。素敵な笑顔で講演されるお姿からは想像も出来ません。

詩人の坂村真民先生の
「創造する人間は絶えず危機の中に身を置いていなければならない」という言葉
が山口社長と重なります。

理念とは、理想と信念の組み合わせです。
経営者の理想へ向けた「挑戦」と、未知なる変化を乗り越える「強い信念」が企業
の未来をつくります。

「経営者」は「挑戦者」であり続けなければなりません。

                        株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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