社長の一言集

第62号 初心忘るべからず

2011/07/28
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初心忘るべからず
                                    2011年62号
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人生や、経営で、悩んだり戸惑ったりした時に、それを明快に諭す言葉が
欲しい時があります。

室町初期、能を大成した世阿弥が、晩年60歳を過ぎた頃に書いた「花鏡」に
「当流に、万能一得の一句あり。初心忘る可からず」と述べています。
※普段何気なく使われる「初心忘るべからず」は、世阿弥が残した言葉です。

世阿弥にとっての「初心」とは、自分が今まで経験したことのない困難や、
試練に直面した時の心の持ち方や、克服した時に会得した考え方・物事の
解釈を意味しています。

花鏡では更に「三つの初心」が続きます。

是非の初心忘るべからず
時々の初心忘るべからず
老後の初心忘るべからず

「是非の初心忘るべからず」
若い時の失敗や、未経験による苦労によって身につけた芸(経験)は決して忘れ
てはならない。それが、後々の成功の糧(基)になる。

「時々の初心忘るべからず」
歳と経験を重ねていく過程で会得した芸を、「時々の初心」という。青年期、
壮年期、老齢期に至るまで、その時々に合った演じ方を常に初心の心で身につ
け成長していくことが大切である。

「老後の初心忘るべからず」
老齢期には老齢期でなければ分からない試練や葛藤がある。その芸風を新たに
身につけることが「老後の初心」である。歳をとったから、経験があるから
完成されたということではなく、老齢期を迎えてこそ分かる事や初めて習う事
があり、乗り越えなければならない芸の境地である。

このように、「初心忘るべからず」とは、単に新人向けの戒めの言葉ではなく、
人生そのものを貫く世阿弥の人生の万能のメッセージです。
経験のない未知なる事に対して、過去の成功体験を脱ぎ捨て、新たな心で挑戦
し、取り組んでいく事が大切であり、更に失敗から学び取る強かさを持つ事が
必要です。
その姿勢を継続し、貫くことにより「風を掴み花を咲かせる」事が出来るの
です。

私は、
是非の初心を「経営理念」として表し、
時々の初心を「ビジョン」として掲げ、
老後の初心を「素直」で締めくくる、とすれば
私たちの会社経営にも当てはまるのではないかと思います。

誰もが経験したことのない「これからの日本」に、いかに貢献していけるか。
経営理念を大切にして、ビジョンを掲げ、素直な心でお客様の課題解決に取り
組み、人の成長を大切にする会社づくりが三つの初心の実践です。

最後に
ダイソー矢野博丈(ひろたけ)社長の言葉
9回転職し、1977年に創業し95年から常設の100円ショップを展開しはじめた。
10年ほど前まではしょっちゅう会社が潰れる夢を見た。
いつ倒産してもおかしくないという危機感がありました。
でもこの7,8年はその夢を見なくなった。
利益がきちんと出てきて怖くなくなったんですね。
でもそこから自分の劣化が始まったんです。世の中の変化が分からんように
なった。
その油断が停滞を招いた。「これでいい」と思った瞬間に経営者はダメになり
企業の衰退が始まると言うことです。
実際、売上高も利益も頭打ちになりました。

今は、その気づきをバネにし、名経営者として常に学ばれ、精力的に行動し、
国内外含め大健闘されていらっしゃいます。

                        株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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