社長の一言集

第61号 見切り千両

2011/06/24
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 見切り千両
                                            2011年61号
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アメリカのジョン・F・ケネディ元大統領が、日本人記者団の「最も尊敬
する日本人は?」という質問に対して、上杉鷹山と語ったことは有名です。
鷹山公は、極貧の米沢藩を立て直し、藩士・農民など身分を問わず学問を
学ばせ今でいう行政改革を実現した江戸時代の名君です。
『為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり』
という言葉を残したことでも有名です。

そして、鷹山公は「仕事の価値」について次のような考え方も残しています。
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 働き         一両
 考え         五両
 知恵借り        十両
 コツ借り       五十両
 ひらめき        百両
 人知り         三百両
 歴史に学ぶ      五百両
 見切り        千両
 無欲         万両
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ただ真面目に指示された通りに働くことには一両の価値がある。
しかし、自らが考え、工夫しながら働く事は5倍の五両の価値がある。
部下や上司、同僚、社外の人々の衆知を用いると10倍の十両の価値がある。
と続いてきます。

「見切り千両」とは、どういうことでしょう?
この言葉は、株関係でよく引用されているようですが、なかなか理解し
づらいですね。
私は、この言葉を聞いた時にドラッカー博士の言葉が浮かんできました。
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最初に行うべきは、
もはや成果を上げられなくなったものや、
貢献できなくなったものに投入している資源を
引き揚げることである。
【出典】『明日を支配するもの--21世紀のマネジメント革命』(1999年)

昨日を喜んで切り捨てる企業はまずない。
したがって、
明日のために役立てる資源を持っている企業もまずない。
【出典】『乱気流時代の経営』(1980年)

変化はコントロールできない。
できることはその先頭に立つことだけである。
【出典】『明日を支配するもの--21世紀のマネジメント革命』(1999年)
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見切りとは「従来のビジネススタイル・固定概念に囚われず、お客様の新
たなニーズに適応するために自らの意思で変革する事」という解釈をしま
した。未来へ向けた戦略的意思決定が「見切り」であり、千両の価値があ
るということです。

更に「無欲万両」ですが、無欲は無私にも置き換えられます。
「世のため、人のため」で取り組む志は万両の価値があるという解釈です。
正にビジョン経営です。

そしてドラッカー博士は現在の混沌とした社会の状況を予見したかのよう
なメッセージを残しています。
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もはや、単なる社会的な転換を超えている。
人間の存在そのもののあり方の転換である。
われわれはまだ、この転換が何を意味するのか知らない。
そのような社会における価値観、献身、問題がどのようなものであるかを
知らない。
【出典】『未来への決断----大転換期のサバイバル・マニュアル』(1995)
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このように先が見えない時代のキーワードは何だと思われますか?

私は「素直」ではないかと思います。
あるがままを素直に受け入れて、それを志を持って活かす事。
これが出来れば、最高の経営の境地です。

「素直 百万両」というのはどうでしょう?

                        株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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