社長の一言集

第42号 未来をアートする

2009/11/26
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 未来をアートする
                                            2009年42号
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ファーストリテイリングは2020年に連結売上高5兆円、経常利益1兆円を
目指す新事業方針を打ち出しました。
一方、百貨店業界は続落状態で、現在7兆4千億円の売上が、
予測では2020年には5兆円になってしまいます。
大企業、老舗の百貨店が、新興の地方発の一企業に売上・収益ともに
抜かれてしまう状況です。

しかし、世界にはもっと巨大な企業が存在します。
28兆円の売上を誇る、サム・ウォルトンが1945年に始めた
「ウォルマート」です。
店舗数は4400店、130万人の超大企業です。

サム・ウォルトンは「小さなことから考える」、「1店舗から考える」ということを
重要視しました。
そして、コミュニケーションによって、1店舗の小さな成功事例を
全店で実行し大きな成果を生み出すことを徹底したのです。

そして、こうも述べています。
結果は分かる。しかし、その結果から、原因を読むことはできない。
経営判断に必要なことは原因である。
原因は、推論による仮説からしか得られない。
その推論と仮説を正確にするには、
店舗現場に実際に出かけるフィールドワークが必要になる。

「情報を分析して戦略に活かす」と私達は言います。
しかし、氾濫状態の膨大な情報を読み込んで、戦略に的確に活かせているか?
という問いに、私を含め多くの企業が不十分だと言わざるを得ません。

「情報を分析して戦略に活かす」ためには、情報を客観的視点で捉え、
直観的視点で言葉・方針に表現しなければなりません。

 情報=結果    戦略=いい原因づくり
 情報=サイエンス  戦略=アート 
 情報=過去    戦略=未来
 情報=知識    戦略=知恵

情報を戦略に変えるというのは、太陽光から電気をつくり出すくらい、
実は大きな変換機能(コンパーター)が必要だと私は思います。
変換機能(コンパーター)の能力の差が、結果の差になって現れます。
この部分が実はブラックボックスだったのです。

私はお客様との戦略立案研修を行っていく中で、この部分の大きな要素は
コミュニケーション力ではないかと気付きました。
不確定な未来に向けた創造的戦略づくりは、
「自らの存在価値を信じ、信念を持ったリーダー」と
「お客様視点で現場を熟知した人材」の融合会議によって生み出されるのです。

※最近、サム・ウォルトンの言葉に触れて更に確信を持ちました。
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−サム・ウォルトンの言葉より
もし、ウォルマートの経営システムの全体を一言で表せる概念に煮詰めろと
言うなら、それは対話ということになるだろう。
対話(communication)こそ、われわれの成功の本当の鍵のひとつであるからだ。−
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これからの時代は、少子高齢化という未だかつて経験したことのない社会変化と
景気低迷、環境問題等と、不安要素が山積みです。
しかし、その未知なる大地に新しいマーケット創造の種を蒔く
チャンスの時代でもあります。
良き未来を描く(アートする)ことが、
今からの時代の経営者に求められることなのかもしれません。

そして、良き未来とは、覇道の経営ではなく王道の経営を目指すことから
実現されると私は思います。

                        株式会社リゾーム
                        代表取締役 中山博光

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