社長の一言集
第238号「熟慮断行」から、「断行熟慮」へ
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「熟慮断行」から、「断行熟慮」へ
2026年238号
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今から8年前の2018年、初めてシリンコンバレーへ研修で行った時に、スタンフォード大学アジア太平洋研究所で、リサーチアソシエイトとしてシリコンバレーのエコシステム、デザイン思考の研究をされている櫛田健児氏のお話をお聞きする機会がありました。
そのレクチャーで学んだ言葉で、今でも一番頭に残っている言葉に「Fail fast! Fail often!」があります。「Fail fast! Fail often!」は、直訳すれば「速く失敗せよ、頻繁に失敗せよ」です。
当時、シリコンバレーでは「Fail fast! Fail often!」が成功の秘訣だと考えられていました。シリコンバレーでは、失敗を経験したことのない経営者は投資家からも、他の経営者からもあまり評価、尊敬されないそうです。失敗に対する定義、価値の認識が日本とは大きく違っていました。
失敗については、国だけでなく、人、時代によって色々な定義があります。
一般的思考での失敗とは→目的が達成出来なかったこと。と定義されます。
科学的思考での失敗とは→仮説が立証できないこと。と定義されるそうです。
しかし、シリコンバレー思考での失敗とは→目的達成のためのプロセスである。と定義されるのです。誰よりも早く、より速く失敗を繰り返せば早く目的が達成できるのだと。
私が社会人になった昭和の時代、失敗は悪であり、絶対にしてはいけなかったのです。
事業に失敗したら夜逃げ、一家離散、借金地獄という悲惨な現実が待ち構えていました。
しかし、そういう時代に無一文から、挑戦と失敗を繰り返し、二兆円企業を育て上げた経営者が存在しました。ドン・キホーテ創業者の安田隆夫氏です。今の経営者、若者のために執筆された「運」という書籍は、何度読んでも毎回新しい気づきを頂ける名著です。
安田隆夫 著『運/ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」』(2024年6月 文藝春秋 刊)
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「熟慮断行」という言葉をご存じだろうか。十分に考えた上で思い切って実行するという意味だが、注意したいのは、「熟慮」だけして「断行」しないケースが往々にしてあるということだ。「石橋を叩いて渡らない」と同義に捉えてもらってもいい。
私は「熟慮断行」についても順番を逆にし「断行熟慮」を心掛けるようにしている。まずは思い切って実行してみて、その上で十分に考えるのである。この断行は、「挑戦」と言い換えることが出来よう。まずは挑戦してみないと、何も始まらないし、自らが学びとれるものは何もない。
例えば、登山家が難攻不落の山に挑戦するとして、登山前には最悪の事態を想定し、シミュレーションをおこなうだろう。そこで恐怖にびびって登山をやめてしまっては、想定は机上の空論で終わってしまうし、登頂も達成できない。まずは実際に山に登ってみて、自分が立てた想定を現場で歩きながら検証しつつ、最悪の事態を回避しようと試行錯誤して続けることでしか、道は開かれないのだ。
仮に挑戦が失敗しても、その過程で学んだことは決して無駄にはならない。挑戦した手応えと、失敗した悔しさを噛みしめ、新たな方向や方法を模索することに繋がれば、それでもう十分だ。第二章で触れた「再挑戦万両」である。
得た教訓を糧にすれば、次の挑戦や熟慮もレベルがどんどん上っていく善循環が生まれ、結果として`盛運`を引き寄せることになるのだ。
(中略)
実は、いまだ自分の中に残っている「欲」もある。それは、ヒリヒリするような刺激に対する欲望だ。
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正に、「Fail fast! Fail often!」の日本の先駆者です。
「石橋を叩いて渡らない、叩きすぎて壊してしまう」時代に、安田氏は「断行熟慮」を掲げ、私たちには想像すらできない高い次元の「人生の大博打」を打ち続けたのですね。
株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光