社長の一言集

第233号「フジテレビ問題では、ホリエモンに悪いことをした」

2025/11/27

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「フジテレビ問題では、ホリエモンに悪いことをした」

                2025年233号
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前月ご紹介した、PPIHグループ(旧 株式会社ドン・キホーテ)創業会長兼最高顧問・安田隆夫氏による対談集『圧勝の創業経営』(文春新書1500)において、安田氏とSBIホールディングス北尾吉孝氏との対談の中で、ぜひお伝えしたい一節がありましたので、改めてご紹介いたします。

安田隆夫 他著 『圧勝の創業経営』(2025年 文藝春秋 刊)より
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「フジテレビ問題では、ホリエモンに悪いことをした」

北尾:私は一九九五年に野村證券を辞めた後、まずソフトバンクに役員として入ったんです。
孫正義さんが声をかけてくれてね。役員会では私がいちばん孫さんに反対することが多かったけれど、あれこれ言い合いながら、ずいぶん勉強させてもらいました。
安田:ソフトバンクで学んだのは、たとえばどんなことですか?
北尾:まず、インターネットと金融の親和性ですね。
私は、ずっと野村證券にいたらパソコンもまともに使えないままだったかもしれない(笑)。
ソフトバンクに入ったおかげで、テクノロジーの重要性、新しいものを導入することの重要性を知ることができた。
私が金融とITを融合させて成功できたのは、孫さんのおかげです。
安田:なるほど。そういう経緯があったんですね。
北尾:この話に関連するけれど、私はホリエモン(堀江貴文氏)に悪いことをしたなと思っている。
二十年前、彼がニッポン放送の株を買い占めてフジテレビの経営権を握ろうとしたとき、ウチの会社(ソフトバンク・インベストメント=現SBIホールディングス)がホワイトナイト(敵対的な買収者から企業を守る友好的な買収者)として出ていってね。
安田:フジテレビを助けましたよね。
北尾:そうです。でも、あれは私の間違いだった。それ以来、フジテレビという会社は少しも進歩していない。
あのときホリエモンは、ITと金融と、それからメディアのドンになりたいと言っていた。
当時の私は、野心ばかりで志のない奴だと思ってしまったけれど、いま思うと彼が正しかった。
それこそイーロン・マスク氏にせよ、あるいはドナルド・トランプ氏にせよ、自分がメディアを持っているわけですよね。
私も最近はメディア・IT・金融の融合が新しいビジネス領域になると思うようになって、改めてフジテレビに働きかけていこうとしている。
ホリエモンにも力を貸してもらおうとか思っています。

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北尾氏が過去の判断を公に「間違いだった」と認めたご発言に、改めて名経営者北尾氏の成長の源を学ばせて頂きました。

歴史に「もし」はありませんが、2005年、堀江氏が株式会社ライブドアによるフジテレビ買収に成功していたら、サブスクリプション型のビジネスモデルを育て、オールドメディアと呼ばせない、新たな収益構造を確立していたかもしれません。
さらに、後年の不祥事も防げたかもしれません。何が本当に正しいかは、未来の結果でしか分かりません。

企業の意思決定は、過去の経験や成功体験に基づきがちです。
ホリエモンの挑戦を退けた判断は、当時の論理では正しかったかもしれません。
しかし、真に問われるべきは「個人」ではなく、「IT時代がもたらすビジネス革新の兆し」についての議論を重視しなかったことかもしれません。

松下幸之助氏は「経営において一番大切なのは、時代の変化を素直に受け入れる心だ」と語りました。

予測不能な時代だからこそ、成果は行動からしか得られません。当然、失敗も伴います。
だからこそ北尾氏の「失敗や逆境を隠さず、学びに変える」という姿勢を大切にし、
「勝ち負け」ではなく「勝ち学び」を目指して精進したいと思います。

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光