社長の一言集
第232号「幸運の最大化」と「不運の最小化」
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「幸運の最大化」と「不運の最小化」
2025年232号
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2025年10月、第104代総理大臣に自民党の高市早苗氏が選ばれました。
公明党との離別、立憲民主党との対立等、色々な経緯がありましたが、私が最も感慨深く感じるのは、
厳しく予測のつかない環境下で、松下政経塾卒塾生の高市氏に日本の未来が託されたという事です。
松下政経塾は、46年前の1979年に国家100年の大計を立てる実践者を育てるため、
現 パナソニックホールディングス株式会社(当時 松下電器産業株式会社)の創業者松下幸之助氏が設立した政治塾です。
高市氏をはじめ、多くの国会議員・地方首長・経営者・大学教員・マスコミ関係者など、各界で活躍する人材を輩出しています。
松下幸之助氏は、運を味方につける、運を磨く、運のいい人を用いる等、誰よりも「運」を大事にされた方です。
「成功したら運のおかげ、失敗したら自分のせい。」と常に自分に言い聞かせ、
日本の政治、経済の未来を憂い、半世紀近く前に、松下政経塾を創設されたことに心から感謝いたします。
今年7月に発刊された、PPIHグループ(旧 株式会社ドン・キホーテ)創業会長兼最高顧問の安田隆夫氏による
対談集『圧勝の創業経営』(文春新書 1500)は、自らの余命を知り、おそらく最後の著作として世に残された名著です。
本書は、安田氏と日本を代表する創業社長の北尾吉孝氏、似鳥昭雄氏、藤田晋氏、経営学者の入山章栄氏との
対談形式で構成されています。
作中では、「運」についても味わい深く、学びのある言葉が数多く述べられています。
本書の中で特に印象的だったのが、「幸運の最大化」と「不運の最小化」というテーマです。
以下は、安田隆夫氏とSBIホールディングス北尾吉孝氏との対談の一節です。
安田隆夫 他著 『圧勝の創業経営』(2025年 文藝春秋 刊)より
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「幸運の最大化」と「不運の最小化」
北尾:もう何年前になりますかね。
ある出版社の人が、「ぜひとも会うべきだ」と安田さんを紹介してくれたんです。
安田:私は、北尾さんってすごく怖い人だろうと思っていたんですよ(笑)。
でも、実際にお会いしてみると穏やかな方だし、自分と似たタイプかもしれないと感じました。
北尾:年齢も近くて、同じ慶応義塾大学の出身だから親近感を持ったんだけど、決定的だったのは『源流』です。
安田さんの会社の理念集。
安田:初めてお会いした時に差し上げたんですよね。
北尾:もう感心することしきりだった。私は他人に対して結構手厳しいし、はっきりと物をいう人間ですが、
安田さんの考え方には心底共感できた。『源流』に磨きをかけたのが、
最近お書きになった『運 ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」』(文春新書)ですよね。
これは名著の中の名著だと思う。経営者だけでなく、あらゆる人が読むべきです。
私自身、付箋を貼ったり、色を付けたりして、ずーっと読んでいます。座右の書になっています。
安田:いやいや、ありがとうございます。
北尾:つまらない本を読む暇があったら、『運』を十回でも二十回でも読んだらいいと思います。
この本の特に重要なポイントは、「幸運の最大化」と「不運の最小化」でしょう。
誰だって持っている運の総量は同じだけど、幸運が訪れたときにいかにそれを大きく出来るか、
逆に不運が巡ってきたときにいかにそれを小さくできるかで、結果が変わってくる。
安田:運がいい人とそうではない人の違いは、与えられた運をどう使い切ったかです。
運のいい人とは「運を使い切れる人」、運の悪い人とは「運を使い切れない人」あるいは「使いこなせない人」
だと言えます。人生には幸運と不運が交互に訪れますから、不運の時には下手に動かず、チャンスが巡ってきたら
一点突破でがむしゃらに突き進む。そうすれば、自分自身でコントロールできるようになります。
北尾:自分にとって追い風が吹いているのか、向かい風が吹いているのか...
これをピッと瞬間に、的確に判断できるかどうかが大事なわけです。
安田:経営って、ピッと判断することの連続ですよね。
北尾:徳川家に仕えた柳生家の家訓に「小才は縁に出会って縁に気づかず。
中才は縁に気づいて縁を生かさず。大才は袖振り合うも縁をも生かす」という言葉があります。
すぐそこに転がっているチャンスに気づけるかどうかが、自らの運を左右します。
安田:北尾さんも私も、生まれつき運が強い人間だと思われがちです。でも、決してそんなことはない。
私たちは大谷翔平みたいな人とは違って普通の男ですよ。ちょっとしたやり方の違いだけなんですね。
幸運を最大化して不運を最小化する術を心得ているから、結果的に運の強い人間になっている。
北尾:そうです。そして『運』にも書かれているように、個人の運である「個運」をいかにして、
会社組織の「集団運」に転化・昇華させていくかが重要です。
個人としての運の強さを、いかに組織全体のものにしていくかというね。ここも大きなポイント。
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柳生家の家訓は有名ですが、「幸運の最大化」・「不運の最小化」、「個運」・「集団運」は、初めて聞いた言葉です。
安田氏の人生と経営を通した「運」という言葉の解釈の広がりを、新しく学ばせていただきました。
株価上昇の一方で、物価高や倒産件数の増加、貧困化の波が押し寄せています。
そのような中で、高市早苗氏の "災い転じて福となす" という「強運」「個運」を、是非、日本国民のために
「集団運」まで昇華していただけることを願います。
株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光