社長の一言集
第231号「求めるのは「安定」、捨てるのは「挑戦」」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
求めるのは「安定」、捨てるのは「挑戦」
2025年231号
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
今月は、中国のハルピンでこの原稿を書いています。
当社のグローバルメディア事業のグループ会社、MaruMaru JAPANの社員の結婚式に出席するため、20年ぶりの訪中です。
前回の訪中は2005年で、上海でした。
当時の上海は、中心エリアにビルが立ち並び始めた時期で、周辺には土塗りの昔ながらの家々が残っていました。
世界の工場としての労働力で外貨をどんどん稼ぎ始めた時期で、平均給与は月額3,000円ほどだったと思います。
私は当時、BRICS諸国について強い関心を持ち、実際の国々を見て回りたいと考え、中国やブラジル、インドなどを数年おきに訪問していました。
また、バングラデシュなど成長著しい国々も実際に見て回っていました。
あの頃、現在の中国の驚異的な経済・技術発展を予測した人はほとんどいなかったのではないでしょうか。
BRICSの始まりは、2001年にゴールドマン・サックス社のジム・オニール氏が、将来の世界経済を牽引すると予測したブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の頭文字を取り「BRICs」と名付けたことにあります。その後、2006年に非公式会合が始まり、2009年には初の首脳会議が開催されました。
2011年に南アフリカ(South Africa)が加わり、初めて「s」を大文字にした「BRICS」となり、欧米主導の国際秩序に対抗する新興国の発言力を強化する枠組みとして発展し、今に至っています。
今までの経済の流れを振り返ると、国力や経済発展の大きな要因のひとつに、「人口の伸び」が大きく影響していることが分かります。
以下は、2000年から2024年までのBRICS諸国と日本の人口推移です。
中国 2000年 12億6700万 ➡2024年 14億800万 111% +1億4100万
ブラジル 2000年 1億7500万 ➡2024年 2億1300万 122% +3800万
インド 2000年 10億6000万 ➡2024年 14億4200万 136% +3億8200万
ロシア 2000年 1億4700万 ➡2024年 1億4600万 99% ▲1百万
南アフリカ 2000年 4500万 ➡2024年 6300万 140% +1800万
日本 2000年 1億2700万 ➡2024年 1億2400万 98% ▲300万
2009年に発行された私のメルマガ40号「2030年に向けて」を読み返すと、当時の予測を上回るスピードで人口問題が深刻化していることが分かります。
リゾームプレス第40号 社長からの一言「2030年に向けて」より
--------------------------------------------------------------------------------------------
「日本では誰もが経済の話をする。だが、日本にとって最大の問題は社会の方である。」
2002年のドラッカー博士のメッセージです。
2009年も残すところ3ケ月余りとなり、そのメッセージは益々大きな意味を持ち始めています。激変の時代にはどうしても短期的な目先の視点からマネジメントを考えてしまいますが、短期的視点と長期的視点でバランスを図ることの大切さをドラッカー博士は指摘しています。
改善、展開、イノベーションの全てを同時に行う必要があります。
「変化を観察し、未来を予測し、準備する。」
今から20年後の2030年は、どんな時代なのでしょう?
厚生労働省の推計では2030年の人口は、現在よりも約1,200万人少ない1億1,522万人となり、少子高齢化はさらに進み、65歳以上の高齢者は現在の
5人に1人から3人に1人となります。
65歳以上の高齢者人口と、働き手となる生産年齢人口(15〜64歳)の割合は1960年代には1人の高齢者に対し10人程度だったが、現在は約3人、2030年には2人を切ると予想されます。
さらに、戦後生まれの「団塊の世代」が80歳を超え、その子供の世代に当たる団塊ジュニアの1期生が60歳に差しかかるという年でもあります。
その他、気になる公開資料としては、
■日本の労働力人口が2004年の6,642万人より約1,050万人減少する
■日本の世帯総数が4,880万世帯に減少する
■一人暮らし世帯の数が1,824万世帯に増加する(2005年の1.26倍)
■一人暮らし世帯の全世帯に占める割合が37.4%に拡大する
■後期高齢者(75歳以上)世帯の数が1,110万世帯に急増する(2005年の2倍)
■50代女性の5人に1人が未婚になる
この数値は、更に地方と都市部では大きな格差となって影響を及ぼすこととなります。
人口減少、高齢化、一人暮らし世帯の増加、労働人口減少が社会構造を根底から揺さぶります。
そして、誰もが70代半ばまで働かなければならない時代の到来でもあります。
フルタイムの勤務だけではなく契約、非常勤、臨時、パート、アルバイト等の様々な雇用形態で働くこととなり、短命な企業よりはるかに自分の寿命が
長くなる時代でもあります。
これは日本だけの問題ではなく中国も転換期を迎えます。
2030年は中国の人口が14億6,500万人程度に達し、人口増加率がゼロになり人口減少が始まる年でもあります。
--------------------------------------------------------------------------------------------
ハルピンの結婚式では、新郎新婦とそれぞれのご両親、計6人がひな壇に立ち、ご挨拶がありました。
一人っ子同士の結婚という事で、二人の子供が両家4人の親、場合によってはその祖父母の老後を支えなければなりません。
中国の少子化や高齢化問題は、今後の中国の課題であり、世界経済にも影響を及ぼしそうです。
今、中国では大学卒業者の約半数が就職難に直面し、経済低迷による突然の解雇や大量リストラの苦境が押し寄せ、若者たちの多くは安定を求めるために、国家公務員(体制内)への就職を目指すようになりました。
体制内の試験倍率は、最も倍率の高い職種で1万6,000倍にもなっています。
かつて、IT企業で世界に羽ばたく夢を追った高スキル人材の多くが、公務員を目指す社会に変わりつつあります。
彼らが求めるのは「安定」であり、捨てるのは「挑戦」です。
これは、将来への不安や経済情勢が、人々のキャリア選択に大きく影響を与えていることを示しています。
一方、日本でもリーダー選びの局面が訪れています。
国の未来を見据え、国民に寄り添いながら安定と成長を両立させるリーダーの誕生を期待したいものです。
株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光