社長の一言集
第228号「進んでいく方向が、正しいか、正しくないか」
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「進んでいく方向が、正しいか、正しくないか」
2025年228号
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関税問題、日産の大量リストラ等で混迷する自動車業界に、爽快なニュースが6月17日に飛び込んできました。
ホンダが自社開発の再使用型ロケットを用いて、高度300メートルまでの離着陸実験に成功したのです。
ホンダのロケット事業への取り組みは、現在の自動車業界が直面する閉塞感の中で、非常に注目されるものとなっています。
多くの自動車メーカーがEVや自動運転技術に注力する中、ホンダは自社のコア技術を活用して、宇宙という新たな領域に挑戦してきました。
これは、本田宗一郎氏の「挑戦する心」を受け継いだ戦略であり、彼が生前に掲げた「夢を追い続ける姿勢」そのものです。
ホンダの技術者たちの中には、燃焼技術や制御技術などを駆使してロケットを開発したいという「夢」を抱く若手が多く、彼らの情熱が新たな事業の立ち上げに繋がりました。
さらに、ホンダは単にロケット開発だけではなく、宇宙でのデータシステム活用の拡大を見据えています。
すでに現代社会では、人工衛星を介したデータ通信等の重要性が増しており、今回のロケット事業はその基盤を築く大きな布石となります。人工衛星経由でのデータ活用が進むことで、ホンダが持つコア技術が新たなビジネスチャンスへと繋がります。
ホンダがただの自動車メーカーにとどまらず、未来の社会をより豊かにするITインフラ企業として大きく飛躍する可能性を秘めています。
また、これが実現しなければ、世界はイーロン・マスク氏のテスラやスペースXによる一強となってしまう恐れもあります。
ホンダには、なんとしてもこの挑戦を成功させてほしいと願っています。
実は、12年前、2013年12月に配信されたメルマガ91号「社長からの一言」の中で、ホンダのジェット機参入の記事を取り上げていました。
『悲しみも、喜びも、感動も、落胆も、常に素直に味わうことが大事だ。』(2013年12月26日配信 RHIZOME PRESS / Vol.091)より
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先週、20日にHondaの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフトカンパニーは米国連邦航空局より型式検査承認を取得しました。
2015年から、いよいよホンダジェットの販売開始が実現します。
1962年(昭和37年)に本田宗一郎氏が航空機事業への参入を宣言してから実に50年以上の歳月を経ての夢の実現です。
本田宗一郎氏と世界のホンダを育てた藤沢武夫氏の
『松明(たいまつ)は自分の手で』PHP出版社より
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われわれが知らなければならないことは、われわれのおかれている位置が、
われわれの進んでいく方向が、正しいか、正しくないか、
ということを知るのが、一番大事である。
だから、いま現在、繁栄しているかどうかということは、
それは二番目になってしかるべきである。
(中略)
オートバイというものなんかは、そんなに需要があるということを
だれも考えもしなかった。
しかし、三年なり五年なり、だんだん積み重ねて、
これが将来伸びるという確信を持って進んできた。
もちろんその時分には、もっとほかにいい商売がいくらもあった。
あれならもうかる。砂糖だとかセメントだとか....。
そういうものを作れば十分企業として成り立つということもわかっていた。
しかし、それでは近代産業というものは成り立たない。
みんなが将来ほしいであろうというものを、じっくり考えて、
それに向かって進んでいくことが必要である。
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みんなが将来ほしいであろうというものを、じっくり考え、それに向かって愚直に進んできた経営者や企業の素晴らしさを改めて実感させていただきました。
私の中で、そんな経営が出来る人物が、もう一人います。故スティーブ・ジョブズ氏です。
アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、自動車を普及させた立役者、ヘンリー・フォード氏の言葉を好んで用いていました。
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」と。
交通手段が馬車だった時代、自動車を知らない人々は、早い馬を求め、「自動車をつくってくれ」とは言わない。
顧客が欲しいと言うものではなく、自分が欲しいもの、顧客に欲しいと思わせるものを自分で考えることが重要でクールだとジョブズ氏は信じ、実践しました。
ジョブズ氏の有名な「ハングリーであれ、愚かであれ」のメッセージには、ジョブズ氏の深い知性と素直さが根底にあります。「常に挑戦者であれ」、「まわりの誰もが信じることに反してでも自分の信念に従え」と突き進んできた天才経営者でした。
「進んでいく方向が、正しいか、正しくないか」、「自分の信念に従え」は、数十年後の成功のための正に羅針盤ですね。
株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光