社長の一言集

第225号「そうではない峠の時代」

2025/03/27

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「そうではない峠の時代」

                2025年225号
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最近、山陰地方の飲食店経営者の方とお話をする機会がありました。
既に十数店舗、地元にお店を展開されているのですが、「人口減少に備え山陽、関東に出店エリアを増やし、業績の下落をなんとか止めたい。」というお話でした。
飲食業界はM&A等含め、大きな転換期を迎えているようです。

令和6年10月25日の人口問題研究所資料第349号によると、鳥取県の人口は2025年52.7万人、2035年47.9万人、2045年43万人となり、2025年と比較すると2035年は90%、2045年は82%となります。毎年約5,000人ずつ人口が減少していくことになります。

又、今年2月に厚生労働省が発表した2024年の日本での出生数(外国人を含む)は、前年比5.0%減の72万988人でした。
9年連続で過去最少を更新し、日本人だけに限れば70万人を割る公算です。10年前(2014年)の出生数100.3万人と比較すると、およそ3割の減少です。今後の日本にとって、人口減少、高齢化よりも事態は深刻です。

人生には、「三つの坂」と、その節目ごとの「峠」があります。
三つの坂とは、上り坂、下り坂、そして「まさか」という坂です。
峠とは、今までの坂が次の坂へ移る時に、それまでの坂はどのような坂であったのか、なぜ終わってしまったのか、次の坂はどのような坂になるのか、を冷静に整理して、次の坂に備えるための意思決定と準備を行う重要な場です。

米国でトランプ大統領が再就任したことは、世界中に激震を起こしています。
日本も、まさかの坂どころではありません。2002年に著書『ネクスト・ソサエティ』(上田 惇生氏訳 ダイヤモンド社刊)でP・F・ドラッカー氏が警鐘を鳴らしていた「歴史が見たことのない未来が始まる」という予測が、今、正に現実のものとして世界を揺るがし始めました。


歴史が見たことのない未来のポイント
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■ 少子高齢化、企業組織の短命化による、雇用形態の変化
■ 移民の受け入れに関する社会問題の勃発
■ 人も企業も、高度な競争社会となる
■ 競争はITによって、グローバルになる
■ 製造業の地位低下による新たな保護主義の発生
■ 顧客の方が多くの情報を持つ事になる 等

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P・F・ドラッカー氏による「歴史が見たことのない未来が始まる」は、現在のトランプ大統領やイーロン・マスク氏の登場による影響、日本や世界の情勢を的確に予見しています。特に移民問題、保護主義による関税措置、AI、X(旧Twitter)など、多くの要素が"歴史が見たことのない未来のポイント"に当てはまります。
今後のビジネス環境や社会にどのように影響を与えるのか、引き続き注視する必要があります。

更に、P・F・ドラッカー氏は、著書『新しい現実』(上田惇生・佐々木実智男氏訳 ダイヤモンド社刊)の中で、峠を例に時代の本当の変化の訪れを以下のように語っています。


P・F・ドラッカー著『新しい現実』(1989年 ダイヤモンド社刊)より
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平坦な大地にも上り下りする峠がある。
そのほとんどは、単なる地形の変化であって、気候や言葉や生活様式が変わることはない。
しかし、そうではない峠がある。本当の境界がある。
そして歴史にも境界がある。
 
目立つこともない。気づかれることもない。
だが、ひとたび越えてしまえば、社会的な風景と政治的な風景が変わり、気候が変わる。
言葉が変わる。新しい現実が始まる。

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1989年に発刊された著書ですが、今の私たちへの警鐘だったのでしょうか。
現在は正に「そうではない峠」を越え、今までとは違う、新しい歴史が始まっています。

又、世界的な投資家で、親日家としても知られているジム・ロジャーズ氏の著書 『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社刊)も参考になります。

ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(2019年 講談社刊)より
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変化というものは、ある日突然起きるものではない。
世の中を揺るがす大きな出来事であっても、きっかけはほんの些細な変化だ。
そうした変化は、人々が気づきロにしはじめるよりもずいぶん前から、私たちの前にいつも姿を見せている。
  
変化に目を向けることに恐れを感じる人もいるだろう。
変化は、ある者の目には社会が開かれていくプロセスとして映り、別の者にとっては閉ざされていくプロセスとして映るものだから。

しかし、「昔はよかった」と変化を嘆くことは、押し戻すことができない勢いの獨流に逆らうようなものだ。
少しの間は抵抗することができても、すぐに力尽きてしまう。
変化を受け入れ適応する者は、この世界で成功を収め、幸福に生きることができる。
逆に変化を嫌う人はたいてい成功できず、めったに幸福感を抱かない。

これが真理だ。
変化は起きるものと理解することが、成功を得る最初の条件である。
また、今起きていることも、これから起きてくることも、歴史を紐解けば見えてくる。
この認識も重要だ。

本書をお読みいただければ、この世界の現実を見る術を身につけられるだろう。
どのような仕事に就いていようと、世界を自らの目で見ることは人生の成功に不可欠だ。
国内だけでものを見ていたら、自国のことは半分しかわからない。
世界を見て初めて自国のことがすべてわかり、世界の中の自分の立ち位置を知ることができる。
変わりゆく世界の中で、自分の強みや弱み、興味、関心がわかると、成功はより確かなものになっていくだろう。

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私たちは、「そうではない峠の時代」の到来をしっかり受け止め、変化に適応しなければいけません。
適応とは、新しいことを生み出し続けることです。

今が、そのための試練の時であり、大きなチャンスの時だと思うのは私だけでしょうか?

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「生きているうち、はたらけるうち、日のくれぬうち」

              相田みつを氏のお言葉 

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株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光