社長の一言集
第216号「オリンピック」と「五輪」
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「オリンピック」と「五輪」
2024年216号
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7月のパリ2024オリンピックに向け、最終準備が整いつつあります。
史上初めて競技場外で開催される開会式ですが、政治的不安要素も多く、無事に成功することを願います。
日本では、「オリンピック」以外に、「五輪」という日本独自の表現が用いられることがあります。
これは、五つの輪や、五大陸を意味するだけではなく、日本の、文化と、歴史的な背景を持っているようです。
又、オリンピックを含め多くの世界大会では、日本人選手たちは「サムライ」として日々鍛錬してきた人間力を発揮し、
私たちに大きな感動を与えてくれます。
『真訳 五輪書 自分を超える、道を極める』 宮本武蔵著 アレキサンダー・ベネット訳・解説 PHP研究所
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世界が憧れる一人のサムライとの遭遇
「五輪」といえば、ほとんどの人が、宮本武蔵の著作とされる『五輪書』ではなく、オリンピックを先に思い浮かべるであろうが、実は、この二つはまったく無関係というわけでもない。一九三六年のカイロで行われた国際オリンピック委員会総会で、一九四〇年夏季オリンピックの東京開催が決定したとき、川本信正(故人)という伝説のスポーツジャーナリストが、六文字の「オリンピック」の代わりに、「五輪」という略称を一九三六年七月二十五日の読売新聞の記事のタイトルに使用した。それは、宮本武蔵の『五輪書』からインスピレーションを受けたからだという。
今も日本だけではなく世界中で広く読まれているその『五輪書』は、私のような武道家だけでなく、日本のサムライが切り合いをした時代に関心を持つ一般読者にも愛読されている。武蔵によるストラテージは、現代の軍事指導者や、株式市場で大儲けしようとしている投資家たちにまで影響を及ぼしてきた。さらには、競技スポーツの場での戦績を向上させるためのスポーツ心理学の観点からも注目されてきた。
(中略)
地の巻 結
これまで述べてきた二天一流という兵法の道を、朝に晩に修行することで、自然と心を広くすることになって、集団戦、個人戦の兵法として、世に伝えたいという意志を持ったのだが、初めて書き表すうえで、地・水・火・風・空の五巻とした。なお、わが兵法を学ぼうとしている人にとっての、修行のルールは、次の通りである。
①不当ではないことを考えること
②兵法の道を鍛錬すること
③様々な芸に携わること
④色々な職業の道を知ること
⑤物事のプラスとマイナスを知ること
⑥見識を養うこと
⑦目に見えないものを察知すること
⑧些細なことにも注意を払うこと
⑨役に立たないことをしないこと
およそ、以上のようなルールを心がけ、兵法の道を鍛錬すべきである。
この道に限っては、広い視野を持って、ベーシックなことを考えることができなければ、兵法のマエストロにはなりにくい。
だが、この道をしっかり学べば、一人で二十人や三十人の敵でも、負けることはない。
まず、気合を入れ、ただひたすらこの道の修行に努めたなら、優れたスキルで勝ち、物を見る眼力でも勝ち、さらに、鍛錬を積み重ねたなら、全身が、自由自在になるから、身体でも人に勝ち、また、この道によく馴染んできたなら、ハートでも人に勝つことになるのだから、そこまで到達できて、どうやって人に負けるというのか。
なお、大将としてのリーダーシップの兵法は、卓越した人材を持つという点で勝つ。
大勢を使うことにも勝つ。
正しい行動・振る舞いにおいて勝つ。
国を上手く治めることにも勝つ。
民を養ううえでも勝つ。
そして、世のしきたりをよく行うという面でも勝つ。
どの道においても人に負けないことを知って、身を立てて、名をあげることこそが、正に兵法の道である。
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特に 「⑦目に見えないものを察知すること」についてはアレキサンダー・ベネット氏から興味ある解説がされています。
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肉眼では明らかに見えないものを知覚できるスキルがあること、そして目が簡単に騙されることを武蔵は知っていたようだ。例えば、天才とされた起業家のスティーブ・ジョブスは、直観のことを、知性よりも強力だといったという。誰もが経験したことのある「直観」とは、理由も方法も知らされないまま、無意識のうちに、何かを推し進める理性である。しかし、直観の本質は、長い間、私たちに理解されておらず、哲学や心理学の分野で何世紀にもわたって研究や調査が行われてきた。思考や理論、分析とは異なり、知らずに知っていること、見ずに見えることだからである。
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私自身、宮本武蔵の『五輪書』は武士の剣術の奥儀のような印象を持っていたのですが、人の一生を通して、道を極めていくものだったのですね。
さらに、『五輪』をもとに、道を極めることにより。
国を上手く治めることにも勝つ。
民を養ううえでも勝つ。ことができるのです。
新しい時代の、各国の政治のリーダー、日本の政治リーダー、東京都知事には、是非、真の勝利を手にしてほしいものです。
株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光