社長の一言集

第198号「幸福になる四つの因子」

2022/12/26

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「幸福になる四つの因子」

                2022年198号
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2022年もあと僅かとなりました。一年間、本当にありがとうございました。
今年は、今まで経験したことのない出来事が続きました。コロナ禍、ウクライナ問題、物価上昇、景気の減速等です。残念ながら収束の目途がつきません。この状況が自分にとって逆境であり、忌まわしい苦難と捉えるか、次の幸せのための機会、自らの成長のチャンスと捉えるかで、個々人の行動も結果も変わってくるのではないかと思います。

どんな時代も、人は「幸せでありたい」と願います。幸せになるために、色々な説、考え方が昔から議論されてきましたが、「幸せになる」ための方法について、データに基づき科学的に四つの因子にまとめられた研究がありました。最先端のロボットや、脳科学の研究者だった前野隆司先生が、人の幸せのために取り組まれた「幸福学」です。


「幸福になる四つの因子」 前野 隆司氏 慶應義塾大学大学院教授『1日1話、読めば心が熱くなる 365人の仕事の教科書』致知出版社より
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一つのテーマを掘り下げていくことはもちろん大切ですが、バラバラに研究したままでは、その成果を社会で生かすことは容易ではありません。それなら、自分が過去の幸せ研究を体系化しようと思い、そのために活用したのが"因子分析"という手法でした。因子分析は、多変量解析(たくさんの量的データの間の関係の解析)の一つで、多くのデータを解析し、その構造を明らかにするための手法です。そう言うと難しそうに聞こえますが、統計ソフトを用いれば、因子分析は簡単に行えます。具体的には、幸せに関する過去の研究やアンケート結果をコンピュータにかけ、専用ソフトで計算するということを行いました。学生たちと共に因子分析を行った結果、2012年頃、この要因を満たせば誰もが幸せになれるという因子が得られました。それは次の四つの因子です。第一因子『「やってみよう!」因子』(自己実現と成長の因子)第二因子『「ありがとう!」因子』(繋がりと感謝の因子)第三因子『「なんとかなる!」因子』(前向きと楽観の因子)第四因子『「ありのままに!」因子』(独立と自分らしさの因子)第一因子の『「やってみよう!」因子』は、人生の大きな目標や日々の目標を持ち、それを実現していくための自分の強みが分かっている、また、強みを生かすために学習・成長しようとしている人は幸せであることを示しています。第二因子の『「ありがとう!」因子』は、人に感謝して、人のために何かをしたい、誰かを喜ばせたいという気持ちが強く、様々な人と交流を持っている人は幸せであるということです。第一因子が自己実現や成長といった自分に向かう幸せだったのに対して、第二因子は感謝と利他、他人に向かう幸せだといってよいでしょう。第三因子の『「なんとかなる!」因子』は、幸せには前向きさや楽観性が必要だということを示しています。自己実現や成長、他者との繋がりを育む場合にも、「よし、何とかなる!」と、前向きで楽観的にチャレンジしていけることが必要です。そういう意味では、第三因子は幸せになるためのスパイスのようなものだと言えます。最後の第四因子『「ありのままに!」因子』は、周りの目を気にせず、自分らしく生きることが幸せに繋がることを示しています。例えば、第二因子の実現のために周囲の人と仲良くすることはよいのですが、それが人のペースに合わせてばかりになっては幸せになれないでしょう。人と仲良くしつつも、同時に自分らしさも持つことで幸せになれるのです。
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「ありがとう」の反対語は? 弊社の会社説明会で学生さんに質問したことがあります。「ごめんなさい」、「すいません」、「・・・・・」学生さんの答えです。どれも間違ってはいません、これが正解だという答えはどこにもありません。それぞれが、生きてきた中で見つけた自分の答えでいいと思います。「ありがとう」の反対語は「あたりまえ」というのが、私の答えです。今まで私たちが「あたりまえだった」ものが「あたりまえでなくなる」時代の到来です。今後、平和、安定、安全、豊かさ、健康、国・会社の保証等が「あたりまえ」ではなくなります。私たちは、自らの責任で「情報を持ち」、「考え」、「決定し」「行動」することが必要となります。このときに、「やってみよう!」・「ありがとう!」・「なんとかなる!」・「ありのままに!」が活かせます。「あたりまえ」の生き方は、愚痴、不満で「不幸」が溜まります。「ありがとう(有難い)」の生き方は、思いやりと感謝で「幸せ」が宿ります。2023年は、是非「ありがとう」の年にしたいですね。

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光

※今年もご愛読ありがとうございました。リゾームもお陰様で来年は33年目を迎えさせていただきます。年末になると、いつも読み返す、実話を掲載した2008年のメルマガがあります。困難を縁として受け止め、それを活かす事を思い出させてくれるお話です。お時間がございましたら、是非ご一読下さい。「志が縁をつくり、感謝が縁を活かす」(RHIZOME PRESS〔Vol.026〕)