社長の一言集

第195号「地獄の底から、これからの日本を見てるからな。」

2022/09/29

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「地獄の底から、これからの日本を見てるからな。」

                2022年195号
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朝夕、ふと漂う金木犀の芳香に秋の訪れを感じます。金木犀の花言葉は「謙虚」、「気高さ」だそうです。

過去、素晴らしい経営者の方々の経営観、人生観等を書籍等で学んできましたが、「気高さ」という言葉で真っ先に頭に浮かぶ経営者が二人いらっしゃいます。

お一人は、稲盛和夫氏です。
稲盛氏は、皆さんご存じのように京都セラミック(現・京セラ)、第二電電(現・KDDI)の2社を創業、更に78歳にして経営破綻したJALの再建に着手し、見事に成功させた戦後を代表する名経営者です。

私がリゾームを創業する前に、京セラの子会社の京セラ電子機器(現・京セラコミュニケーションシステム株式会社と合併)という会社さんと二年ほどお仕事をする機会がありましたが、アメーバ経営を徹底され、特に人材育成については、社内研修のみならず禅寺での精神研修等、「社員」というより「人」としての生き方、考え方に徹底した取り組みをされている会社さんという印象が今でも残っています。
※稲盛和夫氏は今年8月24日に老衰のためお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

KYOCERA 稲盛和夫 OFFICIAL SITEより
「人は何のために生きるのか」愛媛市民フォーラム(2014年8月6日)要旨
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私たちは、自分の意志とは無関係に人生を生き、運命と因果の法則が織りなす人生の布を伝いながら、今日まで生きています。
その人生において、自分自身の魂を磨き、美しい心、美しい魂を作り上げていくことが、人生の目的ではないかと思うのです。

心を磨くとは、魂を磨くことです。言葉を換えれば、人格を高めるということです。
人間性を豊かにし、美しい人間性をつくっていくということです。
死にゆくとき、生まれたときよりも少しでもましな美しい魂に、またやさしい思いやりに満ちた美しい心を持った魂にしていたいと思います。

そのように心を磨こうと思っても、実際にはなかなかうまくいかないのが人間です。
しかし私は、人格を高めていこう、自分の心、魂を立派なものにしていこうと、繰り返し繰り返し努力をしていく、その行為そのものが尊いのではないかと思っています。
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「気高さ」という言葉で浮かんだもう一人の経営者は、土光敏夫氏です。石川島播磨重工業、東京芝浦電気(東芝)を再建し、経団連会長も務め、"財界の荒法師"とも呼ばれた人物です。赤字国債が82兆円にまで膨れあがっていた昭和50年代、第2次臨時行政調査会の会長を務め、"増税なき財政再建"を基本理念に掲げ、国鉄·電電公社の民営化等を打ち出し、日本の財政再建と行政改革に大きく貢献されました。


PHP研究所発行の「信念の言葉」より
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計画とは「将来への意思」である。

将来への意思は、現在から飛躍し、無理があり、実現不可能にみえるものでなくてはならない。現在の延長線上にあり、合理的であり、実現可能な計画は、むしろ「予定」と呼ぶべきだろう。将来への意思としての計画は、困難を受け入れ、困難に挑み、困難に打ち勝つモチーフを、自らのうちにもたねばならない。計画は、自己研鑽の場をつくる高い目標を掲げ、何がなんでもやりぬく強烈な意思の力によって、群がる障害に耐え、隘路を乗り超える過程で、真の人間形成が行われる。艱難汝を玉にす。そして艱難を自らに課し続ける人間のみが、不断の人間的成長を遂げる。------------------------------------------------------------------------------------------私は人の夢には三種類あると思います。一、自分の喜びの為の夢→欲(得ることが目的)二、自分以外、世の為人の為の夢→志(与えることが目的)三、自分を成長させる為の夢→磨(高めることが目的)人は、必ず三つの夢を持ち合わせていますが、その比重は人によりまちまちです。又、経験・年齢・出会いにより、夢の比重は変化して、生き方に現れてきます。欲を求める行為・生き方は努力です。志を求める行為・生き方は修行です。磨を求める行為・生き方は鍛錬です。稲盛和夫氏も、土光敏夫氏も「磨」を求める生き方を死ぬまで貫かれたのですね。「地獄の底から、これからの日本を見てるからな。」は土光氏の晩年に残された言葉です。気高き先人達に恥ずかしくない日本にするために、「艱難」を覚悟しなければいけません。

株式会社リゾーム代表取締役 中山博光