社長の一言集

第192号「 一志一道 」

2022/06/30

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「 一志一道 」

                2022年192号
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円安に歯止めがききません。日米の金利差等の理由があげられていますが、根本原因は日本という国の価値の低下に尽きると思います。日本は失われた30年の間、世界に通用する新しい独自商品、サービスをつくりだすことができませんでした。誰も経験がない、うまくいくかどうか目途もない中で、新たにモノづくりを行うのは、とても困難なことです。

「難しい」「できない」「今はその時ではない」という言葉が当たり前になっている企業からは、独自性があり、価値のある商品やサービスはほとんど生まれません。

「難しいからおもしろい」「誰もやらないからチャンスだ」「まずやってみよう」という言葉と行動が組織に良い緊張感と、ワクワク感をもたらすのではないでしょうか。

先が見えずに迷ったときに、困難な道を選択することにより、独自性、特異性、自立性のあるビジネスが生まれ、その体験を通して真の人財が育ちます。

熊井英水氏 近畿大学名誉教授「不可能を可能にするための三条件」
出典:『1日1話、読めば心が熱くなる 365人の仕事の教科書』致知出版社より
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この三十二年間、もうダメじゃないかと絶望しかけたことは何度もありました。

ただ、その時その時、発生するいろいろな問題について、脳みそのない頭で考え、そして所員の英知を結集する。そうやって一つずつクリアしていったということですね。

そんな中で、自らを支えたのは、やはり「不可能を可能にするのが研究だ」という初代総長からいただいた言葉ですね。

私が二十五歳の時でした。ある日、総長から「昆布の養殖をやってみないか」と言われたんです。それに対して私は「そうは言っても、昆布は北海道のものですから無理ですよ」と難色を示してしまった。そうしたら後日、総長から手紙が来ましてね。中に新聞の切り抜きがあって、兵庫県の水産試験場が瀬戸内海で昆布の養殖試験を開始したと書かれていました。

それですぐに総長に謝ったのですが、その時に言われたのがこの言葉だったんです。
私はハッとしましてね。それ以来、いまもなおこの言葉を信条にしています。

不可能を可能にするために大事なことの第一は「忍耐」。
やっぱり研究でも仕事でも、何かを成し遂げようと思ったらいいことも悪いこともあるわけです。その時に何が何でもやり通すんだという忍耐、ブレない継続、これが非常に大事だと思います。

私の好きな言葉に「一志一道」というのがありますが、一度志を立てたらこれを一筋にやり続けないといけません。


二つ目は「観察眼」。
原田先生がよくおっしゃっていたのは「魚に聞け」ということです。魚は言葉を発しない。だから、抗議する時は死んで抗議する。だから、いまこの魚はどういうアピールをしているのか、何を求めているのか、それをよく観察し、知るのが本物の研究者だと。


そして、最後は「愛情」。
やっぱり手間暇をかければかけるほど、魚は我われ飼育している者の意思を分かってくれるし、よく育ってくれるんです。

完全養殖したクロマグロを初めて出荷する時、「どういう気持ちですか」って新聞記者の人に聞かれました。私は「我が子を嫁に出すような心境だ」と言ったんですけど、本当に我が子を育てているような気持ちがないとあらゆる仕事は成功しないと思います。

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堀井良教氏(総本家 更科堀井9代目店主)の言葉
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つくり手の商品に対する愛情の大きさを何で測るかといえば、
どれだけの時間を費やしてつくったか、
どれほどの手間暇をかけてつくったか

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「一志一道」という言葉は本当にいいですね。意志あれば、道ありです。
愛情を持って長く手間をかけるからこそ、どんな時代が来ても生き残るロングセラー商品になるのではないでしょうか。

「我が子のような本物の商品、サービス」に、目先の損得、勝ち負けはありません。

株式会社リゾーム
代表取締役 中山博光